酒と泪と女と女

恋愛工学徒は「恋愛」の何を学んでいるのか

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もうそろそろ沈静化しているかもしれませんが、PUAや恋愛工学周辺、ここの所話題でしたね。PUAとはPick Up Artist(ピックアップ・アーティスト)、つまりナンパに勤しむ男性を指します。舶来語らしいですね。よく知りませんが。恋愛工学とは藤沢数希さんという方が提唱されている男性向けの恋愛理論です。いわゆる“女性とセックスする”ためのハウツーとも言うのでしょうか。

 

反論記事や恋愛工学やツイッターなども拝見しましたが、岡田斗司夫氏の諸々な事件とは違って心がざわつかず、その分俯瞰して読むことができました。青柳さんのブログが秀逸でした。

 


何故今回、そんなに心がざわつかなかったかと言えば、「恋愛に積極的な殿方が出てきた!と喜んでたらこれかい!」という失笑レベルで留まる事ができたからなのだと思います。
先日、会食中にこの話題が出た時に、若く可愛い女性が、
「女性と付き合いたいという欲も無く、口説いたりするのも面倒そうな、引きこもってる男性よりずっと良いのでは?」
と言っていました。

 

「目的や手段はどうあれ、男性達が動き出したのは朗報」説。
もう一つは、大した脅威には感じないからだと思います。

 

昨年ですが、「日本人女性なんて楽勝!」と自身のセミナーで言い放って話題となったアメリカ人ナンパ師のジュリアン・ブランクの騒動では、彼の入国拒否の為に3日で3万を超える署名が集まったとか。我々同胞の多くの日本人男性達も憤慨し、共に竹槍を握って下さった記憶がございます。

ジュリアン・ブランクのナンパ方法が強引で暴力的であることや、「日本女性はピカチュウと言えば落とせる。」みたいな、ナンパ理論?が成立していない事などから、日本のPUAさんや恋愛工学受講者から「一緒にするな!」と怒られてしまいそうですが、傍から見れば誰も彼もが言うなれば「ヤリチン」の「女性蔑視」です。新規恋愛営業が増えれば増えるほど、「暴力だ!」「合意の上だった!」というトラブルだって起きやすい訳ですから、女の建前を見破って行動を起こすのは十分に注意が必要で、本来相当気を付けていただきたいところなのです。

 

さて、話を戻しまして、一部の女性達が日本のPUAや恋愛工学には失笑で、ジュリアン君にはヒステリックに入国拒否を求めたその違いは、ジュリアン君は明らかに「脅威」だったからではないでしょうか。彼は白人という容姿の武器を持ち、世界を股にかけてヤリチン道を極めその教えを伝道する、「ほんまもんのモンスター」だから。そこに心が存在するとは思えないからです。

彼だけではありません。ほんまもんは日本国にもたくさん存在します。
筆頭はパラノイア、そして、病的な支配男達、女性を知り尽くしている遊び人既婚者達です。彼らに狙われたら回避はなかなか難しく、速攻で逃げる事しか術はありません。そんなモンスター達に比べたら、教祖の教えを胸に自身を奮い立たせ、勉強熱心に成果を報告し合ってる男性達なんて可愛いものではありませんか。応用の効かない「恋愛童貞」が大量生産される可能性は高いですがそれも彼らの人生の一時期。「若い頃100人斬った、200人斬った。」と豪語する「今やマイホームパパ」も相当数いらっしゃいますし、ある男性達には、カウントアップゲームが必要な時期があるということなのでしょう。

 

とはいえ、真面目に恋愛したい、結婚したいと考えている女性達が、カウントアップゲーマーのゲーム真っ最中にひっかかってしまった場合、時間の無駄もそうですが、何より悲しいですよね。優しくしてくれたと思った行動の全てが、教祖の教えをなぞっているだけで、翌日には他の女性にも同じアプローチをしていたとしたら。そして、実は彼女が複数いるとしたら。

 

彼らは教えをなぞるだけではなく、よーく女性達を観察し、その上で技の数々を決めてくるらしいです。実践が多ければ多いほど、瞬発力も上がる事でしょう。とにかく、肉体関係に至るまでの女性心理を、異常な程勉強しているということは覚えておいてください。

 

そんな男性達に貴重な時間を奪われない為にも、女性側の自衛としては彼らを上回る観察眼が必要になります。同時に、信頼関係の無い男性と個室や暗がりで安易に二人きりにならない、上っ面の優しさを連発されたら疑ってみて、センサー発動です。
「上手くやろう。さあ、実践しよう!」と意識した男性のバーバル、ノンバーバルの気負いを先ずはよーく見極めてください。他人の理論をなぞる者は、よっぽど訓練されたアクターじゃない限り、予測と違うアクションが出た場合、「あれ、おかしいな?」という形でほころびます。
そして、「森ばかり見て木を見ない」男の目の色は、どんな色をしていたか?過去のナンパ師や稚拙な男達のデータを引っ張り出し、思い出してみましょう。
また、女性側が「聞く技術」を上げるのも強力な自衛になります。彼らはモンスターではなく、所詮心の有る男性達です。「心ある」どころか、「恋愛市場の理不尽」や、「女という存在」に一番傷ついている男性達かもしれません。一人の女性に愛情は注がず、意識を分散させて余裕を意図的に作るというのも、「教えの一つ」ではあるのですが、かつて彼らの恋慕を踏みにじった女達が透けて見えるかのようです。
「恋愛工学」を仕掛けられたら、「必殺カウンセラー返し」が一番効果的かもしれませんね。
サークラや小悪魔、キャバ嬢系女子に、カウンセラー男性が一番効くのと同じように。

 

女子「あの子(気持ち)が欲しい♪」
男子「気持ちじゃわからん♪」
男子「この子(体)が欲しい♪」
女子「体じゃわからん♪」
皆「相談しよう♪そーしよー♪」

 

と、歌いながら、一方は女子会で男子をディスり、一方は教祖&ご学友にきゃっきゃと相談してる。そんな光景が何とも悲しい。思えば、「はないちもんめ」は、後の恋愛市場を暗喩するような残酷な遊びですね。
「巨大はないちもんめ」が、男女を幸せにマッチングする筈が無く、ただ男女が行きかい憎み合うだけという現実に、実に寒々しい思いがいたします。

 

子供の残酷さを抱えたまま、大人の欲望を消化していくということは、何て難しい事なのでしょうか?誰かを傷つけて、搾取することのむなしさに、男も女も早く気付かないと、「愛」があまりにも遠すぎて、結局誰も救われないように思います。搾取している側も同じように何かを搾取され、消耗するからです。そこが、「モンスター」と「心ある人間」の大きな違いなのです。

 

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川崎貴子

リントス株式会社代表。経営者歴21年。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女のプロ」の異名を取る。プライベートではベンチャー経営者と結婚するも離婚。8歳年下のダンサーと2008年に再婚。12歳と5歳の娘を持つワーキングマザーでもある。著書に『私たちが仕事をやめてはいけない57の理由』(大和書房)、『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(ベストセラーズ)、『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(総合法令出版)、二村ヒトシとの共著に『モテと非モテの境界線 AV監督と女社長の恋愛相談』(講談社)等がある。

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