酒と泪と女と女

あなたはいつまでプロポーズの「パカ」を待っているのか?幸せな結婚をつかむ女性の主体性 トイアンナ×川崎貴子対談(第2回)

更新 :

多くのメディアで連載を持つ人気ライターのトイアンナさんと、女のプロ川崎貴子の初対談。3日間に分けてお送りする対談の第2回はプロポーズの「パカ」を待っているだけでは、いたずらに時間が過ぎるだけだと危惧する二人の主体的な人生の生き方についてです。

川崎貴子
株式会社ジョヤンテ代表取締役。ninoyaブログにて「酒と泪と女と女」を連載。『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(総合法令出版)ほか著書多数。

トイアンナ
外資系OL、ライター。外資系企業にてマーケティングを約4年間担当。人気ブログ「外資系OLのぐだぐだ」ほかWebメディアでの連載多数。

(取材・文/朝井麻由美)※前回の記事はこちら

 

川崎:そうですね。そういったチェックリストや面接を経て、お付き合いをされたわけですよね。どれくらいの期間お付き合いして、ご結婚されたのでしょうか?

 

トイ:3~4年お付き合いしました。当時、相手は子どもをほしがっていたんですね。一方、私は産んでも産まなくてもいい、いたら楽しいかな、くらいに思っていました。ただ、相手が描いている家庭のイメージが、どう聞いても「30代の家庭」なんです。つまり、30代のうちに結婚して子どもがいる状態まで持っていかなければならない。

「でもさ、君、今いくつだっけ? 妊娠期間って約1年間あるよね。だから今の年齢から1歳遡るでしょう? デキ婚で入籍して即妊娠! でもいいですけど、そうじゃなかったら、2~3年は子どものいない夫婦でいたいよね? だったらたとえば夫婦期間のための3年、遡ってみましょう。するとあなた今XX歳でしょう。だいたいプロポーズから結婚まで1年かかるものだけど、今あなたの現在の年齢より前に遡っちゃってるけど、君はどうしたいの?」

という詰め方をさせていただきました。

 

川崎:目的があって、そのビジョンから逆算していって……、というのはキャリアビジョンを作るときによくやる手法ですけど、結婚も同じなんですよね。

 

トイ:逆にここまでロジカルだと気持ち悪い、という人も相当いると思いますけれども。

 

川崎:男性の度量が問われる瞬間ですね(笑)。ビジネスの現場はともかく、恋愛という、感情が一番占有する場でロジカルに物事を整理することに抵抗がある方は多いかもしれません。ですが、感情で話すよりロジックで話す方が、本来男性には伝わりやすい筈。

また、結婚へ向けての段取りを男性のほうがロジカルにやってくれるならいいんですよ。男性に任せて、ふわふわくっついていけばいい。だけど、今や彼らが一番夢見がちでふわふわしてますからね。二人してふわふわしていたら、ただ時間だけが無情に過ぎていきます。

 

――プロポーズの「パカ」を待っていると、ふわふわしながら年齢だけが重なっていっちゃう……。

 

トイ:私、自分で指輪を「パカ」しました。

 

川崎:そうなんだ、「パカ」を(笑)

 

トイ:プロポーズもそうなんですが、計画性のあることがニガテなんですよね、男性のほうが。

 

川崎:最近いろいろな独身男性に恋愛や結婚に関するヒアリングをする機会があるんですが、もう、本当にほわーっとしている(笑)結婚における情報格差も激しいです。

 

トイ:今の若い人たちって、男女ともに夢見がちなお花畑ですよね。それは彼らの責任ではなくて、どちらかというと社会が「そこまで結婚を焦らなくていいよ」とか、「結婚って人生でマストじゃないんじゃない?」という価値観を提供してきた結果だと思います。

川崎さんもご著書でおっしゃっているように、「ぼーっとしていると結婚できる」という謎のレールがあると勘違いしてしまう。もちろんその価値観がすべて間違っているとは言いませんが……。

 

川崎:そんなレールは存在しないのに、「いつか」というね。いつか、自然にできると思ってる。自分たちのフツーの親が結婚して家を買って子どもを育てているわけだから、“フツーに”自分たちもできると思い込んでしまう。でも、親世代とは収入も会社も、社会の有り方も全然違うから、当時のフツーは、今のフツーではないんだよね。

それなのに、男性の中に「お父さんはお母さんをちゃんと養っていた」という刷り込みがあって、養える自信がないと結婚しちゃいけないと思っている。だから女性のほうが、「私はこんな風にキャリアを積んでいくつもりです。二人で稼いでこんな生活ができたらいいね」と話を持ちかけられればいい。黙って『ゼクシィ』を机に置いておくんじゃなくてね。

 

――『ゼクシィ』を見せて結婚の意志を匂わせるんじゃなく?

 

川崎:そう。だって、結婚って人生の一大事じゃないですか? 会議もきちんとせずに人生の共同プロジェクトを進めるなんてリスクが高すぎますよ。ロマンティックなプロポーズや告白に拘りすぎると、プロジェクトは遅々として進みません。結婚プロジェクトはまさに現実の積み重ねですから。

ただ、男性のほうこそ、「いつか成功したら」なんて夢見がちな事言ってる場合じゃない筈。生涯未婚率で言えば、現在も男性20.1%、女性10.6%で倍近い。そして、厚生労働白書によれば、20年後の2035年、女性19.2%に対して、男性は29.0%までアップすると予測されています。

男性の方が人口も多いし、柔軟に婚活しないし、本来男性の方が状況は厳しい。だから、彼女がリアルに提案してくれたらラッキーと思わないと。適齢期の男女にとって、本当はもっとシンプルに話し合うべき事だと思うんですよね。トイアンナさんの、彼に「イエス!」と言わせた理詰めのプロポーズは、まさにそれを体現されていますよね。男女ともに、あのクロージングを「お見事!」と思わないと。

 

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トイ:そういう風に女性がふるまうことによって、はじめて女性が「選ぶ側」にもなるわけですよね。婚姻というのは、基本的に相手を選ぶということで、今まで女性は「選ばれる側」だった。それが、対等に「選ぶ女性」と「選ぶ男性」になれるということ。主体性を手に入れることでもあるわけですね。ですから、「プロポーズを待つ」ということは、自分の人生のプロジェクトなのに主体性を放棄してしまっていることになる。

 

川崎:主体性の放棄―。私はそれが女性の人生で一番危険なことだと思っています。“誰かに人生を丸投げすること”、それって、何かあったら自分の人生を誰かのせいにするということになります。それはつまり、「反省」をしないということでもあります。

 

トイ:そうですよね。自分が頑張った結果、何かを得て幸せを感じる。それが大変ベーシックな幸せだと思うのですが、それができなくなる。

 

川崎:結婚だけでなく、仕事も友人関係も趣味も、何にでも言えることなんですけど、人のせいにして伸びる人はいないですからね。女性にその「人のせいにする」クセがついてしまうと、どんどん幸せから遠ざかるんです。

常に当事者意識を持てないせいか、何かあると誰かのせい、組織のせい、社会のせいになっていく。問題解決のスキルが育たないんですね。人生なんて色々あるじゃないですか。だから、「自分の人生は絶対に他人マターにしてはいけない。」これは私のどの本でも共通のメッセージとして書いています。

 

トイ:周囲を見ていて思うんですが、幸せに育った女の子ほどハントする能力が低いような気がします。親に何でも提供されてきた子ほど主体的になる訓練を積んだことがないんです。そういう子の中には、プロポーズされたことを親に相談して、親からOKが出てはじめて承諾する子なんかもいるんですよ。

 

一同:エー!!

 

トイ:彼に「結婚してください」と言われて、席をパッと立って親に電話するわけです。「お母さん、今、私プロポーズされちゃった。どうしよう」と。「彼だったらいい人だから結婚したら?」と言って電話を切って、「じゃ結婚しましょう」と返事をする。で、それを旦那さんが誇らしげに語るんです。

 

川崎:「うちの奥さん箱入りだから」みたいな?

 

トイ:「お母さんにも気に入ってもらえて嬉しい」と。

 

川崎:うわ~! うちの娘はそんな育て方しないようにしよう!

 

トイ:ただ、それはそれで、彼女が幸せだった証でもあるんですよね。なぜなら、彼女は親の意見に従って今まで失敗したことがないからです。こういう子は主体性のないダメな子、と思ってしまいますが、単に親のいうことをちゃんと聞きたいと思うような、真面目ないい子なんですよね。

 

川崎:じゃあ、うちの娘、真面目でもいい子でもないんで大丈夫かもしれない(笑)

 

――成長して自我が芽生える中で、「自分でこうしたい」という気持ちは全く浮かばないものなのでしょうか?

 

川崎:絶大なる親への信頼があるんでしょうね。褒められて、いい成績が取れて、で、よかったねと親も喜んでくれて……というのが繰り返されている。親と二人三脚でやってきたから、母は公私共に密着なコーチなわけですね。

 

トイ:ほかのコーチに当たったこともないんでしょうね。

 

――先ほど、自分の人生のプロジェクトに主体性がないと、人のせいにするクセがつく、という話がありましたが、こういった子たちは、もし結婚がうまくいかなかったときに、親のせいにするのでしょうか?

 

トイ:このタイプだと、むしろ母親が謝ってきそうですよね。「ごめんね、お母さんがあのときプロポーズを受けてOKなんて言ったから」と。

 

川崎:そして、娘もそれを許して、更に母娘関係を深めて行ってしまう。恐ろしいね。

 

第3回へ続く)

 

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魔女の夜会 -第五夜-

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川崎貴子

リントス株式会社代表。経営者歴21年。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女のプロ」の異名を取る。プライベートではベンチャー経営者と結婚するも離婚。8歳年下のダンサーと2008年に再婚。12歳と5歳の娘を持つワーキングマザーでもある。著書に『私たちが仕事をやめてはいけない57の理由』(大和書房)、『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(ベストセラーズ)、『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(総合法令出版)、二村ヒトシとの共著に『モテと非モテの境界線 AV監督と女社長の恋愛相談』(講談社)等がある。

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