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CDの作り手と聴き手の間

音楽におけるプロとアマの決定的な違いとは

Writter: 渋谷ゆう子
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pablo (25)

CDの作り手と聴き手の間

クラシックを中心にCD製作を行う日常で経験した事柄を、アルバム製作をお考えの作り手と、クラシックを日常で嗜みたい聴き手の方へと綴ります。音楽を愛する全ての皆さまへ。

音楽におけるプロとアマの決定的な違いはどこにあるのだろうか。

プロ並みに上手いアマチュアオーケストラはなぜアマチュアなのだろうか。プロとは一体なんだろう。アマとプロの境目に何があるのだろうか。

「プロ並み」のアマオケはなぜアマチュアか

演奏以外の職業を持ち、趣味としてオーケストラを作ったり演奏活動をする。これはもちろんアマチュア演奏活動である。

その層は厚く、土日のお楽しみとしての活動から、その音楽への熱意や練習量がおよそ趣味の一環とは思えないようなアマオケまで多様である。

オペラシティを上までびっしり埋める人気を誇るようなアマオケもあり、もちろんその演奏スキルも高く、チケット料金も設定されている。

ここまでいくと、もはや「プロ並み」である。

では、チケット料金も払われるようなオケが、なぜアマチュアなのだろうか。

まず第一に、アマオケの観客はその演奏の対価としてだけチケット料金を払っているわけではない。

観客の多くは、「アマチュア演奏者の音楽に対する没頭性と演奏会開催までのプロセス」に感動し、これからの活動を賛助したいと思って足を運んでいる。

「千円二千円でこんな素晴らしい演奏が聴けてお得!」と喜び、「ここまで練習していてすごい!」と感動するわけである。

アマオケは演奏スキルの差や練習への取り組み方など、個々の事情があるなかでの活動である。

それを乗り越えて、音楽を作り上げる姿に感銘を受ける。そしてその姿勢が演奏に滲み出てくる。それこそがアマオケの醍醐味である。

プロオケを聞きに行って、練習のプロセスを慮ったりはしないのだから。

それからアマオケの演奏者側から考えてみると、「自分で演奏したい」「良い演奏を聴いてもらうことで自分たちも楽しみたい」という、自分たちの熱意で成り立っていることがわかる。

やりたいからやるという熱意がアマオケの真髄で、そしてそれがアマチュア精神そのものである。

アマチュア精神とは

作曲家で指揮者の芥川也寸志先生はこう言った。「アマチュアこそ音楽の本道である」と。

ここだけを取り出すと、お金貰って演奏しているプロを否定しているように思えるが、真意はそうではない。

「玄人に比べて下手」という意味でアマチュアとするのではなく、音楽を愛する者としてのアマチュア精神を誇りに思え、という激励である。

では一方でプロはどうだろうか。

私は、プロこそ「音楽を愛するもの」の最高峰として存在しているのではないかと考えている。

音楽を愛する人という意味のアマチュア精神がなければ、そもそも、長い年月をかけて鍛錬し、才能を磨き続けるような努力ができようはずがない。

そしてプロ奏者も、かつてはみんなアマチュアだった。

やりたいからこそやるという熱意、アマチュア精神の最高レベルを持っていたからこそ、今はプロなのだ。

では、そのプロの中にはもう、アマチュア精神はないのだろうか?

アマからプロへの転換期で

シモン・ボリバル・ユース・オーケストラをご存知だろうか。

南米ベネズエラで、子供を犯罪や麻薬に巻き込まれないように放課後を音楽教育にあてる運動の一環として生まれ、指揮者ドゥダメルを生み出したオーケストラである。

私がこのオケの映像を初めて見たのは、もう何年前だろう。ドゥダメルもまだ20代になったばかりの初々しさを放っていた。

その演奏から私が感じたのは、躍動感と高揚、そして演奏を楽しんでいる若者の歓喜の姿そのものだった。

一音一音に全力投球しているような力み具合、飛び跳ねんばかりの楽器。それらは、曲の解釈や演奏能力としては不十分だったかもしれないが、紛れもなく「心を打つ名演奏」だった。

演奏したくてしかたない。楽しい。そんなアマチュア精神に満ち溢れていた。

そして時は流れ、ドゥダメルは指揮者として有名になり、オケもまた世界的指揮者と共演を重ね、日本での公演もチケット1万円以上の値をつけるまでとなった。

つい最近のこと、ベルリンフィルの本拠地で公演を行った彼らの映像を、また見る機会があった。

そこには、演奏技術も向上し、重厚で厳かな成熟したオケの姿があった。情熱に溢れた演奏していた、かつての彼らではなく、演目の楽曲を冷静に受け止めて演奏し、チケット代金を払ってくれたお客様へ自分たちの演奏をきちんと提供しようとする「プロの姿勢」が見えたのだった。

アマチュアとプロフェッショナルの間に

アマチュア精神は音楽を愛する全ての人の心にあり、そしてそれを成熟させた一部の人がプロとなっていく。

そしてプロは、自分の音楽への情熱だけでなく、自分の立場を冷静に判断し、一定のクオリティ以上のものを常に提供し続ける責務と、音楽の歴史をつないでいく伝達者としての責任を負う。而して自分本意のアマチュア精神を超えていかねばならない。

高いチケット代金払ってこの演奏かと揶揄されることも、素晴らしい演奏だから高いチケットでも聞きに行くと言われることも、同時に受け止める。

体調管理など基本的はことはもちろん、どんなに指揮者が気に食わなかろうが、選曲が無茶振りだろうが、演奏会日程がハードだろうが、プロはその日その日を、一定水準を保って、ある意味淡々とこなさなければならないのだ。嬉しい楽しいだけでは務まらない。

アマチュア精神を持ったまま、さらにそこに冷静さを身につけたものが、真のプロになるのではないだろうか。

アマチュアとプロは、査定されている評価シートの項目がそもそも違う。

音楽への愛、情熱、そして自分と周りの人たちとの心地よい関係で演奏するアマチュア。

その情熱を超えて、さらに冷静さを身につけたプロ。

アマとプロが決定的に違うのは、その温度感である。

プロとアマ。その音楽の冷静と情熱の間を今、行き交う多くの観客がいる。

私はその交差地点の真ん中で、どちらの良さも味わっているのだ。

渋谷ゆう子

渋谷ゆう子

株式会社ノモス 代表取締役

作曲家・渋谷牧人のレーベル「Nomius Nomos」マネージングディレクター。アルバム制作や演奏会企画運営を手がける。プロアマを問わず演奏家とのつながりが深く、自主制作アルバムの支援も行っている。ワルター/ウィーンフィル/マーラー9番/1938年がお気に入り。3児の母。

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