PRライターという仕事

感情設計で人を動かす広報・PRを。成果を出しつづける広報パーソンになるために~レバレジーズ株式会社広報部 吉田ハルカさん~

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広報・PR担当者として成長しつづけるには、どうすればよいのでしょうか。
そのための場「広報LT大会」などを主催する広報パーソン、レバレジーズ株式会社の吉田ハルカさんにお話を伺いました。

 

レバレジーズグループは、平均年齢26歳ながら年商195億円(2017年3月期)、社員620名(2017年4月時点)、国内外に13拠点を持つミドルベンチャー企業。
業界トップのエンジニア専門エージェント「レバテック」をはじめ、IT・医療・介護など幅広い分野で事業を展開しています。

吉田さんはグループ全体の広報担当者として、メディア露出やサービスユーザー数増加など、さまざまな成果を出されています。「人が動くきっかけをつくることが広報・PRだと思う」という吉田さんに、PRライター伊藤聡志が取材させていただきました。

 

 

人が動くきっかけをつくること。それが、広報・PRの役割

───「広報・PRとは何か」って、いろんな解釈がありますが、吉田さんの考える広報・PRとは、なんでしょうか?

吉田ハルカ(以下、吉田):わたしは「PR=人が動くきっかけづくり」だと考えています。そして「広報=そのための情報発信をする手段」だと考えているんです。そして、広報・PRを成功させるポイントは「人の感情にどう働きかけるか」だと思っています。

人が動くときって、何かしらの「感情」が作用していることが多いですよね。だから、感情に訴えることができれば、小さな会社やサービスであっても印象を残すことができます。

 

前職で広報を担当していた際、社内制度が新聞に取り上げられたことがあります。それを読んだ、あるクライアント企業の経営陣の方から「こんなに素敵な会社と取引できて、わたしたちもうれしいです」というお言葉をいただきました。
このように、「ステキな会社だな」とか「うれしい」という感情に作用したことで、ますます関係が良好になったんです。

 

広報・PR担当者がメディア露出を目指すのは、そもそも、このように人の感情を動かすことで、会社やサービスへの信頼度をあげることなどを目的にするべきなのではないかと思うんです。

もちろん、取り上げられ方や情報の広がり方によっては、逆に印象が悪くなることもあるかもしれません。それだけ、PRや広報は、会社やサービスのあり方そのものに関わる大事な役割を果たしています。

 

 

───「人が動くきっかけをつくる」ために、メディア露出を目指すほか、どのような広報活動すればよいでしょうか。

吉田:「teratail」というエンジニア向けQ&Aサイトでの事例をお話します。teratailはすでにエンジニアへの認知はそこそこあり、課題は「知ってもらうこと」ではなく「利用してもらうこと」でした。

 

そこでteratailチームではユーザー会や勉強会、エンジニア向けイベントなどを企画・運営しました。

利用してもらうために必要だったのは、プレスリリース配信や情報発信だけでなく、エンジニアの方々が新しい技術に触れたり、自分が質問したときに回答してくれそうな仲間を見つけられる環境づくりだったんです。こうしてニーズを適切に把握する力も、広報やPRに必要なスキルではないでしょうか。

 

広報担当者が、会社やサービスを大きくしていくために貢献できることって、たくさんあります。

「広報の仕事はここまで」という線引きをしてしまうのはもったいない。本来の課題を分析してから目標や方法などを決めていけば、できることはもっと広がるはずです。

広報・PRを成功させるには「感情を設計し、ニーズを汲みとる」

───広報活動をする際、どのようなことに重点を置かれていますか?

吉田:先ほどお話ししたように、人は感情の生き物です。だから「感情の設計」を大事にしています。参加者の感情の流れを逆算するんです。

 

たとえば、イベントを企画するなら、まずは参加者が会場にくるとき、何を思っているかなと考えるんです。「初参加だけど、馴染めるかな……」とか「今日は、知り合いがきているかな?」という、不安や期待がありますよね。

そうすると、「不安な気持ちを和らげるために何をしよう」、「期待に応えるためにどうしよう」と考えることができます。オープニングで乾杯をして交流しやすくしたり、受付で参加者一覧を配ったり。できることはたくさんあります。

プレスリリースやブログを書くときも同じで、「このリリース・ニュースを読んだ後、読者はどんな行動を起こすだろう」とか、「こういう感情を起こしてもらうためにこういう筋書きでいこう」と考えるんです。

 

 

───ほかにも、広報・PR担当者としてすべきことはありますか?

吉田:情報が集まる存在になることでしょうか。

広報活動をするには「人が何を考えているのか、感じているのか」また「どんなニーズがあるのか」を知っておく必要がありますよね。だから、やはり情報収集は欠かせません。

 

そのためには、いろんな人とつながっていることが大切だと思っていて、「広報LT大会」などのイベントを主催したりしています。それから、SNSも活用していますね。気になる会社の経営者や同業者の人をフォローして情報を得ています。

社内でもたくさん情報を集めています。弊社のSlackには、それぞれの事業部の情報共有チャンネルがあるんです。

そこで、「あの会社のこういうところが気になる」とか、「このニュースはうちのサービスと絡められるかもしれない」というように、みんなが積極的に発信しているんです。

自社のこと、世の中のことを知っているからこそ、外でのつながりを活かして広報活動の幅を広げられます。

広報担当者が、力を合わせてスキルアップできる環境を

───主催されている「広報LT大会」では、どのようなことをされているのでしょうか?

吉田:「広報LT大会」は、広報パーソン同士が日常的なナレッジを共有して、知見を積むことができる場です。広報歴に関係なく、成功事例も失敗事例も悩んでいることもオープンにアウトプットしてもらっています。

唯一ルールにしているのは『明日からすぐに実行できるナレッジやネタを話すこと』くらいですね。いろんなフェーズの会社の広報・PRのリアルな話が聞けるので、わたし自身もとても勉強になっています。

 

そもそも「広報LT大会」をはじめたきっかけは「teratail」の広報を担当していたころ、エンジニアのシェア文化に感銘を受けたことなんです。エンジニアはほかのエンジニアに役に立つ情報をカンファレンス、ブログ、本などいろんな形で頻繁に、積極的に発信しているんです。

teratailもそのシェア文化があってこそ成り立つQ&Aサービスで、見ず知らずのユーザーの質問に2時間かけて答えている方もいるほどです。

わたしも、広報担当者になって何もわからないころ、周りの人に教えてもらえたおかげでできることが増えていったなと。今度は、わたしも自分の知識や経験をシェアして誰かの役に立ちたいなと思ったんです。

 

 

───広報・PR担当者として、今後どのようなことをしてきたいですか?

吉田:まずは、広報・PR自体の社会的プレゼンスを高めたいですね。広報って、まだまだ知られていないことが多すぎる。社内外問わず、「広報が何を、何のためにやっているのかイメージできない」という声をよく聞きます。

社内に伝わっていなければ、社内からの価値ある情報が広報に回ってこないかもしれません。企業の広報担当者さんは、まずは社内での理解を得てほしいです。

 

社外に対するアウトプットも大切です。自分たちが行った広報活動自体のことを情報発信することで、人や情報が集まってくるようになるんですよ。「広報LT大会で発表を聞きました」とか「ブログに書いてたあれって……」とか。

会社やサービスのことを広めるのはもちろんですが、その裏側で何を考えどう動いたかをぜひ積極的にアウトプットしてほしいです。わたしも、もっと世の中に広報の役割を知ってもらえるよう、どんどん新しいことに挑戦してその学びをアウトプットしていきたいと思います。

インタビューを終えて

こんにちは。インタビューを担当した伊藤聡志です。

今回の取材を通して、広報パーソンが積極的にアクションを起こし、会社やサービスについてだけでなく、広報についてもアウトプットしていくことの重要性を感じました。

 

広報の役割といえば、マスコミ対応や、リリースと社内報の作成だと思っている方もいるかもしれません。

でも、吉田さんのおっしゃる通り、会社やサービスのことが好きで、広めたいと思っているのなら、業務に線引きをせずに、どんどん、積極的にアクションしていくとよいですよね。

集まってくる人も情報も増えるし、他社の広報さんとも高め合っていけそうです。

 

僕も自分について、好きなことや興味のあること、また将来は会社やサービスのことについてどんどんアウトプットしていこうと思いました。この記事が少しでも皆さんのインプット、もしくはアウトプットにも貢献できれば、幸いです。

 

(取材・執筆:PRライター 伊藤聡志/編集:吉川実久)

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