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【編集者インタビュー】米田寛司さん(かんき出版)「読者の“心”を、書き手がどれだけつかめているかが大切」

書籍づくりの現場ではどのような作業が行われているのか。実際に本を出版した著者と、その担当編集者のインタビューを公開します。企画の経緯から執筆・編集・デザイン・売り方まで、生の声をお届けします。

 

書籍:『ネガティブシンキングだからうまくいく35の法則』(かんき出版)

ネガティブシンキングだからうまくいく35の法則
森川 陽太郎
かんき出版 (2013-01-21)
売り上げランキング: 200,686

 

編集者:米田 寛司さん(かんき出版)

 

 

 

───本書の著者である森川さんは、「元サッカー選手」「メンタルトレーナー」という肩書をお持ちですが、実際にお会いしてみて、どんな印象でしたか?

また、著者としての森川さんの魅力はどんなところに感じられましたか?

 

米田寛司さん(以下、敬称略):理論と実践のバランスがとれている方という印象が強かったです。

最初にお会いしたときに、本書の肝である「OKラインメソッド」の説明や、心とやる気のメカニズムをお聴きして、とても論理立てて考えていらっしゃると感じました。

一方で、もともとプロサッカー選手として活躍されていたので、結果を求められるアスリートの心情を深く理解されており、とても心強く思いました。

また、ミス・ユニバース・ジャパンの講師や女性誌の連載・寄稿、丸の内朝大学で恋愛を絡めたメンタルの講義、企業・団体の管理職への研修、スポーツトレーナーなど、幅広く活動をされているところも森川さんの特徴です。

仕事と人生における様々な悩みが増えてくる30代を中心に、これからも支持される方だと思っています。

 

───本書のタイトルにある“ネガティブシンキング”は、一般的には良くないこと、とされていますが、今回あえてそこを打ち出したのはどんな狙いだったのでしょうか?

また、具体的にはどんな読者像をイメージして制作されたのでしょうか?

 

米田:狙いとしては、従来の「ポジティブシンキング信仰」に異を唱えるポジションの本にしようということがありました。

自分を含め周りを見渡すと、本書の「まえがき」や帯のコピーでも触れているように、心に浮かんでくるネガティブな気持ちを押し殺したり、抵抗することで「ムリやりポジティブな自分」を演じている方が多数いるように見受けます。

読者対象には、努力をしている割には報われていないという、ある意味で「もったいない」方たちを想定しています。

そんな後ろ向きな彼らだからこそ、ピッタリな心の成功法則を紹介しています。

 

───本書『ネガティブシンキングだからうまくいく35の法則』には、これまで「常識」とされていたことが覆されるような、メンタルマネジメントに関する目から鱗の法則がいくつも紹介されています。

その中で、米田さんがとくに共感された法則は何ですか?その理由も含めて教えてください。

 

米田:とくに印象が強かったのが、「『不安を打ち消すための努力』をやめる」というものです。そもそも「ラクして成功すること」に対して罪悪感を持つ人が多いと聞いたとき、思わず「ドキッ」としました。

抱えている心の課題に対する森川さんの分析が鋭く、そのほかにも「自分で限界を決めるのは悪いこと」「常にポジティブ(シンキング)じゃなきゃいけない」といった思い込みに知らず知らずのうちにとらわれているというお話には、とても納得しました。

 

───本書執筆にあたり、森川さんはアスリートの事例を、ビジネスパーソンからも共感を得られ、役立つように書くのが難しかったとおっしゃっていました。

米田さんからは、具体的にどのようなことをアドバイスされましたか?

 

米田:この本のなかでの事例の重要性をお伝えしました。

今回の本に限らずですが、読者の悩みや「~したい」という欲望を、どれだけ書き手がつかんでいるかが、その本に読者がつくかどうかを左右すると思っています。

そのために挿入する事例は、まるで読者の斜め後ろに著者がいて実況中継しているかのような臨場感あるものにすることで、読者に「自分のことだ」「自分のことをわかってくれている」ととらえてもらいたいと思っていました。

 

───今回のカバーは、イラストが印象的なデザインですが、どんな狙いや意図で、このようなコンセプトになったのでしょうか?

また、販売面や告知なども含めて、工夫された点や苦労された点がありましたら、教えてください。

 

米田:イラストは野田節美さんという方にお願いしました。

読者が「ネガティブシンキングだからうまくいく」というタイトルを見て、「ネガティブシンキング」をより連想することができ、あまり悲観的にならず「なーんだ、ネガティブでもいいんだ!」と思ってしまうようなイラストを入れたいと考えました。

ゆるいタッチでも、どことなくコミカルな要素が入った雰囲気が今回のイメージに合うと思い、野田さんに依頼しました。

 

───米田さんが最近(※)手がけられたのはどんな本ですか? 簡単にご紹介ください。

 

米田:いくつかありますが、今春発刊いたしました『死ぬ気で働いたあとの世界を君は見たくないか!?』(著・早川勝)は、多くの方に手に取っていただいております。

ありがたいことに、いまのところ毎月重版がかかっていて、ロングセラーを目指しています。(※編集部注:2013年10月時点)

 

───米田さんは、普段企画を考える際、どんなことを大事にされていますか?

また、今後手がけてみたいテーマがあれば、教えてください。

 

米田:基本的なことだと思いますが、自分が読者の代表となれるかどうか、企画するテーマに自分自身が強い関心を持っているかどうかです。

そのテーマに対して、いわゆる他人ごとではなく「自分ごと」として向き合うことができれば、自ずと、どういった構成、見出し、本文がベストなのかが見えてきます。

今後ですが、本書のような「人の心」を扱ったものも、引き続き考えていきたいテーマの1つです。

 

───「一緒に本をつくってみたい」と思う著者はどんな人物ですか?

逆に、こんな著者とは一緒につくりたくない」と思うのは、どんな人物ですか?

 

米田:「一緒に本をつくってみたい」と思う著者は、「引出し」の多い方です。

弊社の大西編集長の言葉を借りると「埋蔵量の多い方」です。そういう方であれば、打ち合わせや何気ない雑談を交わしているときに、本の「核」になりそうなキーワードやアイデアが出てきて、互いに増幅している感覚を共有できます。

「この著者にこのテーマを書いていただけたら、どんな風に話が広がっていくんだろう…」と、こちらのワクワク感を高めてくれる方をいつも探しています。

とはいえ、選り好みするほどたくさんの方にお会いしているわけではないので、気になる方には、どんどん会いに行こうと心がけています。

 

───本作りにエージェントが関わることのメリットにはどのようなことがあると思われますか?

 

米田:企画の方向性が定まっていることと、著者の特徴やファン層を把握されていることです。

それと、今回の件でも、メディア関連へのPRをしていただける点はたいへん心強く感じました。

 

───最後になりますが、ビジネス書作家を目指す読者のみなさまに、メッセージをお願いします。

 

米田:「これでどうだ!」とご自身の企画や原稿を、自信を持ってロジカルに説明できる方をお待ちしています。

 

───米田さん、ありがとうございました!

 

ブログをお読みの皆さんで、本にしたら絶対売れる!!という企画・原稿をお持ちでしたら、弊社あてにご応募ください。

くわしくは企画原稿検討の要項をご覧ください。検討させていただきます。

ご意見・ご感想は(info@appleseed.co.jp)までお願いいたします。

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鬼塚忠

アップルシード・エージェンシー代表。大学在学中に英国留学し、卒業後は働きながら、4年間で世界40か国を巡る。帰国後、海外の本を日本に紹介する仕事を経て、独立。「作家のエージェント」として、多くの才能を発掘している。自身でも小説を執筆し、著書に『Little DJ』『カルテット!』『花いくさ』『風の色』等がある。

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