インターネットを巡る旅

ソーシャルメディアとマスメディア、「メディア」の価値とは?

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発信者と受信者、その「双方向性」が特徴とされるソーシャルメディア

 

そこでは誰もが平等に情報を取り扱うことができ、時に有意義なやり取りが可能になりますが、デマや嘘などが氾濫しやすく、それを見極めるリテラシーが必要とされます。

 

それに対してマスメディアは、「一方向的」に広く情報を伝える媒体。

 

情報の発信者と受信者が明確に区別され、質の高い情報を大勢に届けることのできる組織力・媒体力を持っています。人の手で作られるものである以上、誤情報をゼロにすることはできませんが、個人の発する情報より信頼が置けることは、間違いありません。

 

ソーシャルメディアとマスメディア。

 

両者を比較しつつ、ソーシャルメディアの本質について考える講演が、2013年に開かれました。その内容を踏襲しつつ、ソーシャルメディアについて再度、明らかにしてみましょう。

 


【130220】ソーシャルメディアウィーク024「マスって何? ~メディアの価値をどう作るか~」 #SMWTOK #SMW13 – Togetterまとめ

 

 

「メディア」?「プラットフォーム」?

本講演の中でも特に興味深く感じたのが、ソーシャルメディアが「メディア」なのか、「プラットフォーム」なのか、という話です。

 

新聞やテレビといった従来のマスメディアは、質の高い「情報」をコンテンツとして発信することで、大衆に働きかける「メディア」としての役割を果たしてきました。それは、今も変わりません。

 

一方、現存するソーシャルメディアの多くは、サービスの提供側がコンテンツを創り出しているものではありません。

 

情報だったり、音楽だったり、動画だったり、イラストだったり。

コンテンツを創造するのは、そこにいるユーザー達です。

 

そのような意味では、ソーシャルメディアは自らコンテンツを生み出さないが、コンテンツが集まる「プラットフォーム」であると言えます。

 

それを補強するのが、上記講演の中で語られた、次の指摘です。

 

Facebook、ニコニコ動画、LINEは、どれもコンテンツを自ら作らないプラットフォームであり、そこに集まったコンテンツが「マス」と化すものです。それらサービスが行なっているのは、あくまでも「場作り」。

 

要するに、ソーシャルメディアは人とコンテンツが集まる「プラットフォーム」であると同時に、そこにいるユーザー個人個人が「メディア」として活動する「場」である、と言えるのではないでしょうか。

 

サービス提供者は、あくまで「場所」を用意しているに過ぎません。

そこに集まったユーザーが相互に交流し、コンテンツを作り出し、世に向けて発信している、という形です。

 

そう考えると、そんな「プラットフォーム」における情報発信者である個人は、「メディア」であるとも言えるでしょう。

 

個人メディアの代表格、「ブログ」がまさにそうです。

「ブログメディア」とも呼ばれることがあるように、それは人やコンテンツの集まるプラットフォームでありながら、メディアとしての役割も持っているのです。

 

 

「コンテンツ」と「コミュニケーション」

また、このような切り口からも語られていました。

 

 

SNS、特にTwitterでは、基本的には自分が興味のある人だけをフォローするため、流れてくる情報も偏りがちです。

 

結果、自分の趣味や興味関心、好きなものの情報だけでなく、どことなく考え方や思想も似たようなものがタイムライン上に流れてくることになります。

 

それはノイズの少ない、心地良い空間であることは間違いないでしょう。

しかし、「見える」ものが限られてしまう情報の偏りは、デマや嘘を見極めづらくなる場合もあり、一概に良いものだとは言い切れません。

 

そこで、世の中の、大衆の、世間の興味関心を知るための手段として、マスメディアは良い役割を果たしているのではないか、と。

 

朝晩、テレビのニュースを流し見するだけでも、世間の感心事をなんとなく知ることができますし、新聞の見出しや電車の中吊り広告でも、時事問題をパッと視覚的に把握することに繋がります。

 

そこで、「こういうニュースもあったのか!」となれば、ネットと世間との関心がズレていることが分かりますし、「ネットとは報道が違うような……?」となれば、また別の視点から情報を吟味することができます。

 

インターネット、そしてソーシャルメディアが発達した今、マスメディアの情報だけを鵜呑みにするのが得策とは言えませんが、逆もまた然り。

 

ネットのバイアスだけに流されぬよう、様々な媒体から情報を得ることが重要です。

 

 

価値あるメディアの作り方

その上で、ブログでもニュースサイトでも何でも、価値のある「メディア」を作るには、どうすればいいのでしょうか。そのキーワードは、「最適化」だと僕は思います。

 

誰もが同じ番組を見て、同じ情報を入手していたのは過去のこと。

インターネットとソーシャルメディアの隆盛によって、現代では誰もが当たり前に、あらゆる情報を取捨選択できるようになりました。

 

そんな現状において、価値あるメディアを作るために大切なのは、次の3点。

 

  • 明確なターゲットを決めること
  • ユーザーにとって最適な媒体であり続けること
  • 唯一無二の存在であること

 

強い同調圧力の中、数多くのコンテンツが消費されては消えていく一方で、ニッチなものがあちらこちらで注目されている昨今。情報が溢れかえったインターネットで、人の興味関心はかつてないほどに細分化されています。

 

そのような状況で、「メディア」として価値を提供し続けるためには、あらかじめ絞ったターゲットユーザーに対して門戸を開き、彼らが常に満足していられるような「場」を作ること。

 

そして、それが続くように試行錯誤を繰り返す、つまり、「最適化」された状態を目指すことなのではないでしょうか。

 

ウェブ上のサービスは流行り廃りが激しいこともあり、おそらく、どんなメディアにも「完成形」はないのだと思います。

 

その時時の時流や、ユーザーの嗜好に合った形のコンテンツを常に提供できるよう、周囲に目を光らせ、様々な方法を試しながら、その瞬間に「最適化」されたメディア、あるいはプラットフォームとなるよう、日々、変わり続けること。

 

それが、現代の「メディア」の価値なのではないでしょうか。

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けいろー

フリーライター。ネットカルチャーと共に育ってきたゆとり世代。執筆実績として『HATSUNE MIKU EXPO 2016 Japan Tour』公式パンフレット等。

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