インターネットを巡る旅

無料で読める!書籍化もされたウェブメディアの人気連載記事まとめ

最近、「恋愛工学」という単語をよく耳にします。

 

発端となったのは、今年6月に発売された恋愛小説『ぼくは愛を証明しようと思う。』。その著者である藤沢数希さんなどが提唱しているのが、この「恋愛工学」だそうです。昔から恋愛論・モテ論はたびたび話題になりますが、賛否両論で大盛り上がりしている様子。

 

 

この『ぼくは愛を証明しようと思う。』ですが、もともとはウェブメディア「cakes」で連載されていた記事を書籍化したもの。同サイトでは、ホリエモンこと堀江貴文さんの連載が『ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく』として出版されており、こちらもベストセラーを記録しました。

 

こういった、書籍の内容を先にインターネット上で無料公開し、話題を集めた後で販売するというマーケティングが昨今、流行っているそうな。中には「最初から書籍化ありき」でなかった連載もあるかもしれませんが、他にどのような例があったのか、簡単にまとめてみました。

 

 

ITmedia ビジネスオンライン「仕事をしたら○○が見えてきた」

 

「ITmedia ビジネスオンライン」の連載記事「仕事をしたら○○が見えてきた」。土肥義則さんが数年もの間にわたって続けてきたこの連載が、今年6月に『ササる戦略』として書籍化されました。

 

有名な企業や商品がヒットした理由と秘密を、インタビュー形式で紐解いていく人気連載です。現在も「水曜インタビュー劇場」として連載は継続しており、ネットから興味を持った人が本を手にしたり、逆に本を読んだ人がウェブ連載に興味を持ったりするような構造によって、読者数を拡大していると想像されます。

 

NewsPicks「ネット四天王のすべて」

 

過去にも紹介したニュースアプリ「NewsPicks」の連載記事「ネット四天王のすべて」が、こちらも6月に書籍化されました。タイトルは、『インフォグラフィックで見るApple, Google, Facebook, Amazonの買収戦略』。

 

NewsPicksからは、過去に『iモードの猛獣使い 会社に20兆円稼がせたスーパー・サラリーマン』も書籍化・出版されています。経済に特化したニュースを取り扱うメディアということもあり、アプリのユーザー層とビジネス書との親和性は高いと言えそうです。

 

4Gamer.net「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」

 

総合ゲーム情報サイト「4Gamer」の連載記事「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」も、同名タイトルの書籍が4月に発売されました。株式会社ドワンゴ代表取締役会長の川上量生さんと、20人近くに及ぶさまざまな肩書きを持つ「ゲーマー」との対談企画です。

 

ネットとゲーム、さらにはそこにビジネス要素をも含めて、経営者をはじめとする多彩な顔ぶれが話をするという、一見するとなかなか混沌とした内容となっている点も、どこか“ネットらしい”ですね。紙の本にして500ページ超という、元がネット連載とは思えないボリューム感も驚きです。

 

ITmedia「バイナリ畑でつかまえて」

 

こちらもITmedia内の連載を書籍化したもの――ですが、内容はマンガ。山田胡瓜さんの『バイナリ畑でつかまえて』を、同名タイトルのまま電子書籍化したものです。

 

一口に言えば、ネットやアプリなどを引っくるめた、現代の私たちにとって身近な「IT」をテーマに、その生活模様を切り取った短編集。描きおろしを除けばネットで無料公開されているにも関わらず、Kindleストアでは売れ筋作品となっていることからも、その人気が窺えますね。

 

トーチ「有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。」

 

リイド社が発行するウェブマガジン「トーチ」の連載マンガ『有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。』も、9月に書籍化されました。出版社のウェブメディアでの連載ということもあり、こちらは電子書籍と紙の書籍、両方で出版されていますね。

 

作者は、水木しげるさんの絵柄を再現した作風で人気の、ドリヤス工場さん。パロディ色の強い作品がウェブ上で人気となり、あっという間に書籍化に結びつくという流れは、どこか元来の“ネット的”な王道であるようにも見受けられます。

 

まとめ

今となっては、「ウェブ連載マンガの書籍化」はあまり珍しくないですが、上記のような「ビジネス」色の強い連載記事が書籍化されるようになったのは、この数年のことなのではないでしょうか。

 

その理由としては、いくつかの要因が考えられそうではあります。スマートフォンの普及によって「ネット」が広い世代で日常的な存在となったとか。ガッツリと1冊を読みきる必要のある本ではなく、スキマ時間にスマホで読める「連載記事」にそれなりの需要が見込めるとか。出版不況への対策として、ネットでの消費を紙媒体の購買へとつなげるためだとか。

 

一方、これまでの「ネット発コンテンツ」と言えば、その多くは「インターネット上で自然と生まれ、人気を集めることとなった作品」をパッケージ化するのが主流であったように思います。2ちゃんねるの『電車男』に始まり、ケータイ小説の書籍化に、人気サイト・ブログをエッセイ風にまとめたものなどなど。

 

特にウェブマンガ界隈は今も盛況です。今回挙げた『有名すぎる~』もそうですし、最近は無料マンガアプリ「comico」の人気作品が続々と書籍化され、発売1週間で10万部を発行するなどの実績を挙げています。こうして見ると、なんだかんだでまだ「紙の本」の需要は高いのでしょう。

 

そういった現状と、これまでの実績を考慮すれば、各ウェブメディアがビジネス系の連載記事を取り扱い、書籍化展開するというのも、自然な流れと言えるのではないでしょうか。

 

ネット上の無料コンテンツであればスキマ時間に読まれやすいですし、一定数の読者は「ファン」として書籍版も購入してくれるはず。逆に、書店でたまたま目にした人が購入して、ネット連載のほうも読み始めてくれるかもしれません。紙とネットが互いに補完し合うような形での、宣伝効果も期待できます。

 

さらにさらに、関連したトークイベントが開催されるなどの傾向も見られ、こうした多方面でのコンテンツ展開はますます増えてくることが予想されます。僕ら消費者側からすれば、「読む」「買う」「聴く」と、これだけ多彩な方法でコンテンツを楽しめるというありがたい流れであるようにも感じます。筆者さん、作家さんを応援する意味でも、めいいっぱい楽しんでみてはいかがでしょうか?

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けいろー

フリーライター。ネットカルチャーと共に育ってきたゆとり世代。執筆実績として『HATSUNE MIKU EXPO 2016 Japan Tour』公式パンフレット等。

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