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インターネットを巡る旅

ウェブ上に「遊び場」を作り出す、任天堂のネットマーケティング事例

Writter: けいろー
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Illustration by 増山慶彦

インターネットを巡る旅

web集客を知るならば、恋せよ旅せよインターネット。ninoyaライターのけいろーが送るインターネットの世界。ネットとリアルの接点が当たり前のものとなったいま、企業と私たちが目指すコミュニケーションの姿とは?

2015年もそろそろ終盤を迎えようかという頃合いですが、インターネット上で今年、特に大盛り上がりしていたトレンドのひとつに、『Splatoon(スプラトゥーン)』の存在があるのではないかと思います。任天堂が5月に発売したWii U専用ゲームですね。マンメンミ!

普段、ゲームをやらない方は「なんのこっちゃ?」と思われるかもしれませんが、そういった人の目にも触れるくらいには、ネット上の各所で話題になっていたという印象。Twitterでは何度もトレンド入りしていましたし、極彩色の「インク」が印象的な広告も広く展開されていました。

そんな『スプラトゥーン』、そして9月に発売された『マリオメーカー』も含めて、昨今のネット上で話題になる「ゲーム」と言えば、決まって任天堂の作品がよく挙がってくる印象。

もちろん、ユーザーの手によって流行が形作られているのも事実なのではありますが、その「流れ」を生み出す前提として、任天堂側もあれこれとマーケティングを講じている様子。どのような活動をしているのか、この数年の事例に絞ってまとめました。イカ、よろしくー。

ユーザーに情報を“直接!”伝える「ニンテンドーダイレクト」

会社情報:Nintendo Direct リンク集

任天堂がネット上で存在感を発揮することとなったきっかけのひとつに、「ニンテンドーダイレクト」の存在があります。

一口に言えば、任天堂公式のネット番組。最新作のプレゼンテーションに加えて、PV動画の配信あり、放送内で初めて明らかになるゲームの存在あり、謎の茶番劇ありと、ファンを飽きさせない番組構成になっています。岩田聡さんの決め台詞(?)である「直接!」を楽しみにしていた人も多いのではないでしょうか。

メーカー公式の放送、かつ他ではまだ出ていない情報をいち早く入手することができるという特徴もあり、放送されるやいなやユーザーによってTwitterで実況されたり、ゲーム情報サイトでまとめられたりと、話題性も抜群。

3年前の2012年に行われた決算説明会での質疑応答によれば、“1週間で60万人とか100万人規模”の閲覧がある、という回答もあり、その宣伝効果は確実に出ていると言えるのではないでしょうか。

オンライン体験・試遊イベント「完成披露試射会」

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Splatoon(スプラトゥーン) | 完成披露試射会

昨年の発表以来、マリオやカービィといったおなじみのキャラクターが出ない任天堂のオリジナル最新ゲームとして注目の的となった、『スプラトゥーン』。その話題性を確実なものにしたのが、今年5月の発売前に開催された、「完成披露試射会」です。

これは、あらかじめ専用のデータを無料でダウンロードし、指定された日時にソフトを起動することで、発売前の同ソフトを体験できるというイベント。ただでさえ注目を集めていたゲームを一足先にプレイできるということで、Twitterをはじめとするネット各所で大盛り上がりとなっていました。

このイベントの特徴は、「無料」で「全世界同時」に「対戦ゲーム」を「時間指定」で配信したことだと言えるでしょう。ゲームの体験版を無料配信することは珍しくありませんが、本作は4対4の対戦ゲームというジャンルで、しかも時間を限定した形での配信。

配信時は自分のタイムラインでも盛り上がっていた記憶がありますが、当時の記録と感想を見るかぎりでも、ユーザーが夢中になっていたことは間違いありません。あえて時間を限定することで、プレイが終わったあとに一挙にSNSで話題になる、という構図だったようです。

ユーザーのプレイ動画を公式で許可&収益の分配「Nintendo Creators Program」

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Nintendo Creators Program

YouTubeに代表される動画サイトにゲームのプレイ・実況動画を投稿することは、もともと著作権的には限りなく黒に近いグレーゾーンの行いでした。

それが昨今、主に海外での流行や「Twitch」といったプラットフォームの普及、そしてゲームメーカー側が公式で許可するケースも徐々に増え始めたことで、その流れが変わりつつあります。ゲーム機自体にシェア機能を持たせた、2014年発売の「プレイステーション4」の存在も大きいですね。

任天堂の場合は、2015年初頭に始まった「Nintendo Creators Program」があります。これは、“YouTubeから得られる広告収益を任天堂と動画制作者との間でシェアするサービス”。

ゲームのプレイ動画を公開することを許可するだけでなく、その動画から発生した広告収益をユーザーにも分配するものです。YouTubeに限らず、同様に動画を収益化することのできるニコニコ動画の「クリエイター奨励プログラム」においても、任天堂は動画の投稿を許可しています。

ゲームプレイ動画に関しては、他企業からの投稿許可の例がまだ少ないこともあり、先んじて参入した任天堂がその宣伝効果の恩恵に預かっているという形です。対戦・パーティーゲームを引っさげて、ユーザーを巻き込んだ形での周知につながっていると言えるのではないでしょうか。

実際にニコニコ動画などを見ていても、(一部層からの不満もあるようですが)2015年に入ってからは任天堂のゲームのプレイ動画が話題になりやすい印象を受けますしね。

まとめ:ネット時代の「遊び場」を整える

僕らが子供のころ、友達の家に行って遊ぶ「ゲーム」と言えば、ファミリーコンピューターにスーパーファミコン、ニンテンドー64といった、任天堂のゲーム機でした。2人から4人、それ以上の人数で集まって、テレビを前にわいわいと楽しんでいた思い出。

今でも街中の公園などを覗いてみれば、携帯ゲーム機を持ち寄って友達同士が集まっているような光景は普通に目にするものです。そんな携帯機とは逆に、今や家庭用ゲーム機は1人で楽しむか、家族の中でたまにプレイする程度の位置づけになっているのではないでしょうか。

インターネットの普及によって、遠い友達あるいは見知らぬ他人とも、自宅にいながらにして一緒にゲームをすることのできる現在、家庭用の対戦ゲームならではの「わいわい」を楽しむことも少なくなりました。ネットを通して一緒にプレイしていることに変わりはないのですが、ゲーム中での「交流」だけではその場の興奮や熱量を感じ取りづらいんですよね……。

その点、今回ご紹介したような任天堂の取り組みを見てみると、ゲームメーカーの「中の人」が“直接!”情報を伝える動画にオンライン体験会など、現代のSNSと非常に親和性の高いマーケティングを行なっているという印象があります。

普通ならば、動画は動画、体験は体験と、それぞれ見るかプレイするかしたらそれで終わってしまう行為に過ぎません。しかし、任天堂が展開しているコンテンツを見てみると、TwitterをはじめとするSNS上での告知を積極的に行うに留まらず、それを見た・プレイした人が思わず「話したくなる」ような内容となっているとも言えます。

さらに、それまではアングラ的にしか楽しむことのできなかった「プレイ動画」を公式に認めたことによって、ネット上に当時の「わいわい」感を擬似的に可視化させているような印象すら受けます。自分でプレイするのもそうですが、やっぱり他の人のプレイを見るのもおもしろいんですよね。

そういった任天堂の施策を振り返ってみると、単純にゲームで遊ぶだけではなく、「ゲームを使って友達とコミュニケーションを取る」というところに立ち返っているようにも感じられました。ネット上でその「わいわい」感を演出するべく、メーカーとしてとにかく「遊び場づくり」に徹しているようにも見えます。

大人になっても、みんなと遊んで話す「ゲーム」はやっぱりおもしろい。任天堂の、これからのイカしたゲームとマーケティングにも期待大です。

けいろー

けいろー

ninoyaライター

平成元年生まれ。新卒入社した大手メーカーで1年半働いた後、退職。現在、ライターの道を行かんと日々精進。ネット、アニメ、音楽、着物が好き。

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