フリーランスとして活躍していきたい。でも何を意識したらいいのか、どんな努力をしたらいいのかと悩む人も多いのではないでしょうか。
フリーランスとして仕事を広げていくために大事なことは何か、成功していく人はどんな人なのか。
アーティストや芸人さんなど幅広くヘアメイクを担当されている石橋遥さんに、フリーランスとして成功をおさめた秘訣をお伺いしました。
月3万円も乗り越えられた。必要とされる人になることの喜び
───フリーランスで働くとなると、お仕事を取ってこれるのかと不安になる人も多いと思います。遥さんはどんな風にお仕事をされているのでしょうか。
石橋遥(以下、石橋):そうですね。お金が原因で諦めて辞めてしまう人も多いです。わたしも、フリーランスになった当初、お給料3万円なんて月もあって、生活するのが大変でした。
でも、1つでも呼んでいただけるお仕事があるのだから「必要とされている!」というわずかな自信が、その辛い時期を支えてくれたんです。
今では、ありがたいことにお仕事を紹介でいただくことが多いです。わたしは“楽しいと思えるかどうか”を重視しているので、あえてジャンルに制限は設けていないんです。
ダンサー、アーティスト、芸人さんやバラエティータレントさん、今年からはティーン向けの雑誌など、幅広く任せていただいています。
自分でピンと来たら仕事をつかみに行くこともありました。某事務所のシンガーを担当させてもらうために、何度も何度も事務所に通ったんです。
「この子の魅力を引き出すヘアメイクをしたい!」って直感で思って。自分のアイデアや想いをプレゼンしました。
大御所さんが担当するのが当然という空気の中、その子のマネージャーが海外育ちで新しい文化を取り入れることに積極的な方だったこともあり、私にお仕事を任せてもらえることになって。「やっぱり熱意や一生懸命さは伝わるんだ!大事にしよう!」って思った瞬間でした。
───生活が厳しい時もあったのに、諦めずにお仕事を増やしていくことができた秘訣はあるのでしょうか?
石橋:ヘアメイクといっても、現場ごとに求められるものは変わるので、自分で判断して対応することが必要なんですよね。
フリーランスでヘアメイクをはじめた当初、「何か他にも役に立つことを身につけよう」と思って、ネイルも学びました。
普通なら担当がヘアはヘア、ネイルはネイルと変わるところ、私なら現場でいきなり爪のケアをお願いされても、対応できるという強みになるように。
色んな対応ができるからこそ“自分にしかできない”作品が生まれるんだと思います。
あと、1つ1つの仕事を大事にすること。準備や仕込みは必須ですね。事前に洋服を見て髪型のイメージを作ったり、ちょっとした努力が自信にもつながるんです。
少しずつ任される仕事が大きくなって、「良いものが作れなければ次はない」という厳しい現場を経験したとき、「ただ呼ばれたから行く」ではダメだと思うようになりました。
自分の強みは何?成功する人は何が違うの?人と違うことしなきゃ……って悩みましたね。
そんな時に、仲の良いヘアメイクさん達それぞれの特徴を研究してみたんです。
すると、自分の特徴を理解することが大切だと気づきました!「この人はこういう人だから、こんなメイクにしました!」って自信持って出す方がカッコイイですよね。
どこかに所属していないからこそ、フリーランスでもこんな素敵な人がいますって言われるように、自分の想いを作品に込めています。
人のせいにしない。自分の責任で切り拓いていこう
───厳しいお仕事を経験しても辞めずにご自身を改善していかれたのですね。昔から忍耐強い性格だったのでしょうか?
石橋:そうですね。親の影響が大きいかもしれません。わたしの両親は「何ごとも自分の責任」という考え方の人なんです。
昔から何か悪いことが起こっても「自分にも何か原因があるかもって考えてみなさい」と言われて育ちました。そのおかげで、自分で考えて改善するクセが身についてます。
とくに、フリーランスで仕事を始めたころは、どんな仕事も引き受けるようにしていたので、現場で嫌な思いをすることもありました。その時も自分に原因があるのでは?と考えるようにしてきました。
辛い現場も経験したからこそ、今では現場の雰囲気づくりにこだわっています。だから、私はよく笑うようにしています。笑顔って人に伝染するから、みんなが笑顔で仕事ができるんです。良い雰囲気の現場だと良い作品が生まれます。
───現場でのコミュニケーションを大事にしているんですね!仕事でのお付き合いの方とプライベートでも会われたりするのでしょうか?
石橋:会いますよ!仕事は仕事と割り切ろうと思ったこともありました。でも、仕事では自分の素を出さないと決めてしまうと、相手と心の壁ができてしまうんです。
仕事って人と人とのつながりだから、自分の素を出しても仕事を一緒にしてくれる人と結局長く付き合っているなって思います。
今は自分で仕事を選べるようになってきたので、お受けしない仕事もあります。良い人たちと仕事ができるようになったのも、人とのつながりを大切にしてきたからだと思います。
ヘアメイクは技術だけでなく、コミュニケーションも大事なので、こういった気づきをアシスタントさんや後輩達へ伝えていきたいです。
次世代へつないでいきたいのは「雰囲気づくり」
───アシスタントさんがいらっしゃるんですね。後輩を育てる時にどんなことを意識しているのでしょうか?
石橋:現場で出会って「遥さんのところに行きたい!」って手伝いに来てくれている子たちがいます。どの子にどの現場へ行ってもらうか、それぞれの特徴を活かせるように気を使っています。
ファッションが好きな子にはファッション系の現場をお任せしますし、自分の見た目は気にしないけど、映画のように本格的なものを作りたいという子もいますから。
自分の得意に気づいて自信をつけてくれたら嬉しいなって思っています。
わたし達が新人の時代は、現場が怖かったんですよ。ちょっと間違えただけで「お前何やってるんだよ」って怒られました。でも今の若い子は怒ると耐えられない子も多い。怒るとモデルさんも嫌な気持ちになりますし。
だから私はそういうことはせずに、後輩にも良い雰囲気の現場を作れる子になってほしいんです。
───後輩を育てていきたいと思うようになったのはなぜでしょうか?
石橋:良いものを作ってみんなが「良かったね」と言える現場が大好きなんです。過酷な現場でもピリピリするのではなく、和気藹々と楽しく過ごせるように。そんな雰囲気を後輩にも作っていってほしいんです。
それに、若い子から学ぶことも多いんですよ。若い子って良い悪いがハッキリしています。気に入ったらどんどんインスタに載せる。若い子と接していると、何が良いものなのか気づかせてもらえます。
だから、流行っているものや新しいものにアンテナを張ることも欠かせないですね。それが自分の作品に変化を与えるきっかけになるんです。
フリーランスとして前進するためには、傷つくこと!
───日頃からアンテナを張っていらっしゃるんですね。そういった意識を維持できるのは、フリーランスとしてのやりがいを感じているからなのでしょうか?
石橋:そうですね。フリーランスでの活躍を見てくれているからこそ、「はるちゃんにメイクしてもらいたい」という友達もいて、メイクしてあげたときに、目を輝かせて嬉しそうにしてくれたりして。
キラキラしていく女子、笑顔になる人を見るのが嬉しいから、辞めるなんて考えられないです。
困っている人を助けられる技術を持っているという誇りも感じています。フリーランスだと、毎回現場が違うので飽きないという楽しさもありますね。
───これからフリーランスで頑張ろうと思っている人へのアドバイスはありますか?
石橋:技術を研究することはもちろんですが、たくさん経験をして、色んな人と関わってほしいですね。わたしは、これまで経験したこと全てに意味があったと思っています。嫌なことも自分の力に変えていければ、どこの現場でもやっていけるようになるんですよね。
経験しないと人としての深みが出ない。だからこそ傷ついてもいいからどんどん飛び込んでいってほしいです。
そのとき大事にしてほしいのは、素直さです。素直に改善したり、周りを頼れる人はサポートしたくなりますよね。人との関わりの中で成長していく。その経験を次世代へ伝えていく。そんな人が増えていったら嬉しいです!
インタビューを終えて
こんにちは。今回インタビューを担当させていただいたPRライターの山崎春奈です。
遥さんのお話を伺って、フリーランスとして活躍していくためには“ちょっとした努力の積み重ね”や“熱意”がポイントだと感じました。
その努力と想いがたくさんの経験と合わさることで、自分の強みが磨かれていくのですね。
若い頃に色んなところへ行き、嫌な経験もしたからこそ今があると力強く語る遥さん。私も、とにかく経験してみようという思いで、こうしてPRライターをさせていただく機会に出会えました。
もっともっと経験して、遥さんのように素敵なフリーランス女性になりたいですね!みなさんも、傷つくことを恐れずにどんどん経験してみてくださいね!
(取材・執筆:PRライター 山崎春奈)