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【編集者インタビュー】岩崎輝央さん(早川書房)「圧倒的なキャリアの裏にある数多くの失敗談に、きっと共感してもらえるはず」

書籍づくりの現場ではどのような作業が行われているのか。実際に本を出版した著者と、その担当編集者のインタビューを公開します。企画の経緯から執筆・編集・デザイン・売り方まで、生の声をお届けします。

 

書籍:『考えながら走る―グローバル・キャリアを磨く「五つの力」』(早川書房 )

考えながら走る―グローバル・キャリアを磨く「五つの力」―
秋山ゆかり
早川書房
売り上げランキング: 316,593

 

編集者:岩崎 輝央さん(早川書房)

 

 

 

───本書の著者・秋山ゆかりさんはインテル、BCG、GE、日本IBMと、華々しい経歴があり、著書『ミリオネーゼの仕事術[入門]』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)もベストセラーとなっています。

岩崎さんは、“ビジネス書作家”としての秋山さんの魅力はどこにあるとお考えですか?

また、本企画をご覧になって書籍化しようと思われたポイントはどんな部分でしょうか?

 

岩崎輝央さん(以下、敬称略):失敗を隠すことなく赤裸々に書くことができ、大きな成功さえもあくまで結果の一つとして捉えていて、おごっている部分がまったくない点です。

本には入っていませんが、打ち合わせで聞いたエピソードの一つ一つが極端でおもしろく、「ビジネス書作家として」というよりも、人間としてとても魅力にあふれています。

また、聞き書きではなく、ご自身で書く意欲が強く(話題のゴーストライターではなく!)、その紡ぎだす文章もわかりやすくおもしろい点は、ビジネス書作家として最大の魅力です。

『ミリオネーゼの仕事術[入門]』の発売から約10年、その後も数冊出版していますが、ここ数年は本を書いていないので、今までの著作と内容がかぶらない新しいことを盛り込めると判断しました。

さまざまな会社を渡り歩き、キャリアを築き、26歳から約10年間、常に年収1千万円以上を稼ぎ続けているそのノウハウは、今こそもっと世の中に広めるべきだと強く感じました。

 

───本書では、26歳から年収1千万円以上をキープし続けた秋山さんの、どんな状況でも、試行錯誤し、常に考え、アクションするという「考えながら走る」ためのノウハウやテクニックが「5つの力」として紹介されていました。

岩崎さんは本書をどんな方に読んでもらいたいと思われますか?

また、岩崎さんご自身は「5つの力」のなかで、どこが一番参考になりましたか?

 

岩崎:「転職を考えている人」「今の状況に満足していない人」「もっと上にいけるはずなのに、気づいたら目標と違う自分になっている人」など、一言でいえば「自分を変えたい人」にとって、この本は今まで飲んだことのない「薬」になる一冊です。

私自身は、5つの力のとくに「成果が出る勉強力」に感化されました。

本の第2章「勉強時間は5分×12セット」という項目で詳しく書いていますが、たとえば、勉強時間として1日60分をまとめて確保するのは、多くのビジネスマンにとって難しいと思います。

ですが、ちょっとしたスキマ時間を確保するのは、見つけようと思えばいくらでも見つけられます。電車内、トイレ、昼食後、外回り……。60分間を確保するのも集中し続けるのも難しいですが、5分間であれば集中し続けることは可能でしょう。そういう意味でも、5分×12セットで60分の勉強時間を確保するのは、非常に効率的です。

 

───本書の制作にあたっては、どんな点で苦労されましたか?

また、著者の秋山さんには、執筆前や執筆中にどんなアドバイスをされましたか?

 

岩崎:苦労としては、秋山さんのキャリアは圧倒的なもので、読者に「私にはとてもマネできない……」と、他人事として読まれてしまう可能性がありました。

ただ、秋山さんはそのキャリアを築くために、大小さまざまな失敗を数多く経験しています。

ですので、その失敗談を正直にしっかりと書き切ってもらうようにお願いし、「こんな苦労ばかりの秋山さんでもできたのだから、自分にできないはずがない」と読者に共感してもらえるようにしました。

 

───グローバル・キャリアに関する類書は数多くあるなかで、それらと差別化するために、カバーデザインも含めて、タイトルや販促方法などではどんな工夫をされたのでしょうか?

 

岩崎:『ミリオネーゼの仕事術[入門]』が売れた書店、類書が売れた書店を中心に書店訪問をし、その場で秋山さんによる「イラスト入り」手書きPOPを作成しました。味のあるイラストが大好評でした。

タイトルについては、秋山さんの生き様が表現されるようなものにしようと考え、秋山さん、鬼塚さん、小社の販促部長、私で話し合い、「考えながら走る」にしました。

 

───岩崎さんが最近手がけられたのはどんな本ですか? 簡単にご紹介ください。

 

岩崎:早川書房主催の「第3回アガサ・クリスティ賞」受賞作『致死量未満の殺人』(三沢陽一著)を手がけました。早川書房らしい、雪の山荘を舞台にした本格ミステリ小説です。

 

───岩崎さんは、普段企画を考える際、どんなことを大事にされていますか?

また、今後手がけてみたいテーマがあれば、教えてください。

 

岩崎:自分がおもしろい、楽しいと思えるかどうかです。

あとは早川書房の社是でもある「ONE AND ONLY」な作品か否か、でしょうか。

文芸から非文芸まで、丁寧に人間の内面が描かれている作品を手がけたいです。

 

───「一緒に本をつくってみたい」と思う著者はどんな人物ですか?

逆に、「こんな著者とは一緒につくりたくない」と思うのは、どんな人物ですか?

 

岩崎:これも、おもしろい、楽しい作品を作ってくれそうな著者です。

一緒につくりたくない人は、とくにいませんね。

 

───本作りにエージェントが関わることのメリットにはどのようなことがあると思われますか?

 

岩崎:「三人寄れば文殊の知恵」というように、自分には思いつかないアイデアが生まれることだと思います。

また、新しい著者発掘の際も、頼りになるのではないでしょうか。

 

───最後になりますが、ビジネス書作家を目指すメルマガ読者のみなさまに、メッセージをお願いします。

 

岩崎:企画書を作って、出版社に持ち込むのもいいかもしれませんが、ひとまず自分で最後の〔了〕まで原稿を書ききってみてください。

文字数やページ数、小見出しなどは、自分が好きなビジネス書を参考にするのがいいと思います。

きっと「原稿を最後まで書く時間なんてない」「採用されなかったら、無駄になる」「そもそも、編集者は持ち込んでも原稿を読まないでしょ」とお考えのことでしょう。

けれど、まだ無名のみなさんが、出版社や編集者に対して、「どうしてもビジネス書作家になりたい!」「本を出したい!」という熱意を示す方法がほかにありますでしょうか。

最終的には、出版に対する情熱が大切になります。がんばってください!

 

───岩崎さん、ありがとうございました!

 

ブログをお読みの皆さんで、本にしたら絶対売れる!!という企画・原稿をお持ちでしたら、弊社あてにご応募ください。

くわしくは企画原稿検討の要項をご覧ください。検討させていただきます。

ご意見・ご感想は(info@appleseed.co.jp)までお願いいたします。

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鬼塚忠

アップルシード・エージェンシー代表。大学在学中に英国留学し、卒業後は働きながら、4年間で世界40か国を巡る。帰国後、海外の本を日本に紹介する仕事を経て、独立。「作家のエージェント」として、多くの才能を発掘している。自身でも小説を執筆し、著書に『Little DJ』『カルテット!』『花いくさ』『風の色』等がある。

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