(文/池山由希子・編集/執事)
───はじめまして、池山と申します。けいろーさんはライターのお仕事は何年くらいやっているんですか。
けいろーさん(以下、敬称略):個人事業主の開業届を出したのは、去年の2月ですね。始めてまだ1年半くらいでしょうか。もともとは自分のブログでわりと好きに記事を書いていて。その流れでninoyaブログも含めてお仕事をいただけるようになりました。段々と案件が増えてきて、じゃあこのままフリーライターとして活動しようと。去年の確定申告のタイミングで開業届を出してきました。
───そうするとライターになったきっかけというのは、もともとブログをやっていて、それが話題になったという感じなんですね。
けいろー:そうですね、実際に開業してライターになろうと決めたのはブログがきっかけです。ただもともとネット上で文章を書くのが好きだったので、その延長線でなってしまったというか(笑)。
───ブログを開設される前から、ネットで文章を書いていらっしゃったんですか?
けいろー:そうですね。もうネット以前、例えば小学校の読書感想文とかでも、自分で文章を書くのが好きでした。
───そんなに早くからご自身で書く才能を見つけられていたんですね。
けいろー:いやいやいや!そんなことないです。ただ読んだり書いたりが好きで。執筆業を仕事にしようというようなことを目的に考えたことはなかったです。
───読んだり書いたりがもともと好きだったと。プラス、ネットもお好きだったんですよね?
けいろー:はい、まさしく。前の会社をやめた後に本格的にブログを始めたのですが、もともとは転職活動をしていました。まあどこか別の企業に所属できればいいなと思っていて。ただいかんせん1回辞めちゃうと、転職活動で説明を聞いても、ブラックだったらどうしよう……なんて変に穿った目で企業を見るようになっちゃって。それには前職の退職経緯もあるのですが。
なかなか次の仕事が決まらず、一方でブログを書くことにはどんどんのめり込んでいって。書いていたら、自然とこうしてお仕事をもらえるようになっていました。正直、わりとなし崩し的になったというか。
ブログを始めたのは、会社に入社した1年目の終わりくらいでした。そのときは素直に仕事つれえみたいなのがあったんで(笑)。当時の自分の日記代わりでしたね、本当。素直に綴っていた分、自然と「けいろー」というキャラクターがブログ上にできあがっていったように思います。
───ブログを始めたころはまだ会社員だったんですね。
けいろー:そうですね。一応ブログをやってはいたんですけど、でも、仕事の方がやっぱり忙しかったので、本格的に始めたのは仕事を辞めてからです。ブログを始めた最初の1年くらいは、記事も月に1度書くか書かないかくらいでした。
───ブログの延長線というお話でしたが、ライターとして得意なジャンルはどういったものですか。
けいろー:ブログでは本の感想を多く書いていますが、やはり書きやすいのは書評記事ですね。あとはやっぱり1回仕事を辞めているので、若い世代の働き方。あるいはネットが好きなので、ネットカルチャー関係のこういうサービスが話題ですよとか、今流行ってるのはこういうものですよ、といった解説記事はたびたび書いています。やっぱり自分で書いていて楽しいものが、結果として反響を得られる記事になりますし、新しいお仕事にもつながっている印象があります。
───ちなみに、もし今ライターをやっていなかったら、どんなお仕事をされていたと思いますか。
けいろー:何やってたんですかねえ……。きっとどこかしらの企業に入れたらいいなあと転職活動を続けていたと思います。
───これまでのライターのお仕事で、特に印象に残っているものはありますか?
けいろー:今までやらせていただいたのは大半がインターネット上のお仕事でした。なので印象に残るという意味では、紙媒体からいただいたお仕事ですね。
───どういった内容の案件だったんですか。
けいろー:ライブパンフレットのお仕事でした。「アドバイザー」的な立ち位置で助言をしつつ、アーティストの方へのインタビューや、冊子内のコンテンツ制作もちょろっとお手伝いさせていただいた感じです。それまではあまりなかったインタビュー案件ということで、個人的にも思い出深いですね。
『HATSUNE MIKU EXPO 2016 Japan Tour』公式パンフレットのお手伝いをしました
http://yamayoshi.hatenablog.com/entry/2016/04/04/193234
───インタビューはあまりやらないのですか。
けいろー:そうですね……コラム系の案件でお声がけいただくことが多いので、インタビューはまだ数えるほどしか経験がないです。
───そうするとご準備は大変でしたか。
けいろー:そうですね、インタビューを行う際はしっかりと準備をするようにしています。クリエイターの方だったら関連作品を拝見したり、インターネット上や雑誌ですでにインタビュー記事があるならチェックしたり。
そうしてパブリックに出ているものを一通り読んだうえで、質問を考えて臨みます。最初は基本的なことから聞いて。話の流れで、もともと考えていた質問を聞いたりすることもあれば、ほかに気になったことがあったら聞いたり。形式的に尋ねるよりも、文脈からより面白そうなほうに持っていく力が、インタビュアーとしては大切だと思います。……って、だいたい受け売りなんですけどね(笑)
───Web媒体がお仕事の中心である中、紙媒体に携わられて大きく違ったことはありましたか。
けいろー:いかんせんまだ、紙媒体は初めての経験だったので何とも言えませんが、仕事をやっているときの感覚としてはそこまで違いはなかったかもしれません。原稿の提出もメールでできましたし(笑)。しいて言えば、文字数・ページ数をこのくらいまでに収めてください、という細かい調整はWeb媒体よりも多かったように思います。
───無事納品を終えられた瞬間は、やっぱり喜びもひとしおですよね。
けいろー:そうですね。携わったライブが自分の好きなものだったんで、その仕事にまさか自分が関われるなんて!という嬉しさが大きかったですね。
───文章を書くときは、どういった人が読むかなどは想定せずに思ったことを書くほうが多いのでしょうか。
けいろー:それは、案件によりけりですね。「けいろーさんの個性を出してください」と言われるケースもありますし、一方でご依頼されるテーマありきの場合もあります。
───その辺りのバランス感覚はブログで培ったものが大きそうですね。
けいろー:ブログでは基本的に自分の思うことをそのまま書くようにしています。ただ、何かしら記事中で主張するような場合には、反対意見も書くようにして、論調が一本調子にならないように意識しています。炎上させたくないのと、「私はそんなに偏っていませんよ!」というアピールもちょっとだけ(笑)。
───ブロガーとライターはどのような点が違うのでしょうか。
けいろー:ブロガーは自分を出して書くというか、自分の体験・経験ありき。自分の文体を以て好きなことを書いている方たちという印象が強いですね。ライターは案件のテーマやトピックを最大限に魅力的な、あるいは適切なかたちで表現できるように書く、という違いでしょうか。自分ありきか、テーマありきかですね。ちなみに池山さんは普段からブログやネット上で文章をよく読んでるんですか?
───私も読んだり書いたりはもともと好きです。以前、ブログの書き方講座を拝聴したことがあって。その中で特に印象に残っているのが、読者はさっとしか読まないので重要な部分を太字にするのがいいとか、安易に絵文字などを使って重要な情報ではないところに視線を誘導してはいけないとか。そんなに人ってネットの文章をじっくり読まないんだ……と。
けいろー:たしかに僕の感覚からしても、ネットで文章を読む人は隙間時間にさっと見る人が多いので、あんまり長い文章を読む人は少ないのかもしれませんね。
───そうなんですよね。これだけネット上に文章があふれてて、その中で意識的にじっくり読んでいただける文章を書くというのはとても難しいことですよね。
けいろー:そうですね。そこにこの仕事の面白さと難しさが詰まっていると思います。
───けいろーさんはライターとしてのお仕事を人にすすめたいですか。
けいろー:ブログをやっている人はもともと文章を書くのが好きで、自分の「おすすめ」を紹介したい欲求が高い傾向にあると思います。そういう方々には機会があればブログに閉じこもらず、ライターとして活動してみるとよりブログも楽しくなるのではないかと思います。ライターと一口に言っても寄稿から商業媒体での執筆まで幅もありますし。
───私も文章を書ける機会を大切にしたいと思います。今日はありがとうございました。
けいろー:ところで次回インタビューするライターさんはもう決まっているんですか?
───実は、最後にぜひご紹介をしていただきたく……。
けいろー:なるほど!ライターさんですよね……。僕は普段関わりのある方がブロガーばかりなので……(スマホでTwitterのフォローリストを見ながら)ライターさん、ライターさん……。
あ、ブロガーでもあるのですが、チェコ好きさんという文化系の批評記事を多く書いているライターさんはいかがでしょうか? きっとおもしろいお話をしていただけると思います!
───ぜひよろしくお願いいたします!本日はありがとうございました。
ということで次回はけいろーさんからご紹介いただいた、チェコ好き(@aniram_czech)さんにインタビューできることになりました。ご期待ください。