引き続きドイツからguten Tag!鬼龍院花枝です。
休暇で訪れたドイツですが、先日急遽イベントでの三味線の演奏が決まり、「Hanburg JAPAN X’mas」で三味線の演奏をしてきました。
さて、今回は自由に三味線を演奏するためにとても大切なこと…楽器の管理についてのお話です。
海外に行くたびに思う楽器の管理の大切さ
それほど多くはありませんが、私も海外へ三味線を持って行く時には「管理方法」に気を使います。現地での温度や湿度ももちろんですが、保管して置ける場所の環境もとても重要なことです。
去年一年住んでいたアメリカのオーランドは湿気の多い地域でしたが、普段三味線を置いている寮の部屋は常に温度が一定に保たれており、比較的管理に適していました。
今回訪れているドイツも、外はもちろん寒いのですが、室内は温度がある程度一定に保たれています。(ただ、かなり乾燥しているので、急に湿度の高い部屋へ持って行くと三味線の皮が破れる危険性もあります。)
温度と湿度の変化によって糸が切れてしまったり、糸巻きが緩みやすくなったりもします。
そういった細かい管理が自分で出来ると、外部へ演奏しに行った時なども不安要素が少なくて済みます。
三味線の管理はある程度までは自分でできる
まず、三味線の管理ですが”ある程度”のところまでは自分で管理することができます。
普段の管理は三味線ケースに入れて、管理しています。その時にケース内に湿気がたまらないように、専用の乾燥剤を入れておいたりします。
過度にケースの中にしまいこんでおくと、いくら乾燥剤を入れていても湿気がたまるので、適度にケースから出して演奏するのも大切な管理の一つです。
他にも、
・糸が切れた
・糸巻きがゆるい・きつい
・撥皮が磨り減った
…といったトラブルは自分で解決できます。
そのためには、三味線に何かあった時の適切な対応方法を学んでいたり、実践として身につけている必要があります。
皮が破れた場合だけはどうしようもできない
ただ、ある程度の管理はできても、手の施しようのないケースもあります。
それは「皮が破れた」場合です。
こうなってしまっては、もう専門の業者に依頼して修理してもらう他はありません。和太鼓の知り合いの方で、自分で皮を張り替える技術を習得している演奏者の方がいる話も聞いたことがありますが、それは高度な技術が必要かと思われます。
私もいつもどこかへ移動する時、三味線の皮が破れていないかが一番の心配の種です。
音を自由に楽しむために自分で管理する
たまにいらっしゃるのですが「三味線を何年も稽古しているが、糸を自分で替えたことがない。」という方がいらっしゃいます。
おそらく先生が糸を変えてくださっているか、専用の業者さんにお願いしているのかのどちらかだと思いますが、そういう話を聞くたびに、「もったいないなあ〜。」と思います。
三味線もある程度高価なので、恐る恐る扱う気持ちも分かります。ですが、三味線にしっかり触れて、力加減や状態を自分の皮膚感覚と目で感じ取らなければ、その三味線はいつまでたっても”他人”の楽器です。
今私がこうして様々なところで演奏して強く思うことは、楽器の管理は自分自身である程度できた方が良い!ということです。
そうすることによって演奏場所も条件もどんどん幅広くなり、自由に自分の音が楽しめるようになるのですから…。