三味線ガールは海を渡る

オーランド日本祭りでの三味線演奏

高知新港に寄港したクイーンエリザベス号

 

こんにちは!

先日クイーンエリザベス号が寄港し、港で歓迎の演奏をしてきました、鬼龍院花枝です。

前回はオーランドで三味線教室を開講した話をしましたが、今回はその延長でオーランドで三味線の演奏をすることになったお話をします。

 

 

オーランドに日本舞踊の先生が…?

日本から遠く離れたフロリダ州・オーランドですが、どうやら日本舞踊の先生がいらっしゃるらしい…?

…という話を聞いたのは、渡米から約2ヶ月ほど経った頃のことだったと記憶しています。

三味線の生徒さんのご友人がその日本舞踊の先生だったようで、ご紹介いただけることになりました。

日本舞踊の先生はオーランドに住み始めて20年ほどになるそうで、それまでは東京で藤間流の名取としてご活躍されていらっしゃったそうです。日本から遠く離れた外国の地で日本舞踊を教えられている先生がいらっしゃるとは…驚きでした。

 

オーランドの日系企業が集まる「オーランド日本祭り」

三味線の生徒さんや日本舞踊の先生との交流の中から、あるイベントの名前を耳にすることになりました。それは
「Orlando Japan Festival」…オーランドで開催される日本祭りです。

私が出演させていただいた時のオーランド日本祭りのチラシ

 

意外と日系企業が多いオーランドですが、このお祭りは主に日系企業の出資で毎年開催されています。私が働いているディズニーワールドの日本館も、経営しているのももちろん日系企業の三越です。(正式には米国三越といいます)

このお祭りは日本食の屋台はもちろん、特設舞台で披露される和太鼓を始めとした邦楽演奏、そして伝統芸能パフォーマンス、コスプレ大会なども企画されています。

オーランド日本祭り当日の様子。屋台もたくさん出て賑わっています。

 

日本舞踊の先生との合同舞台

私もこのオーランド日本祭りで、「なんらかの形でお手伝いができればいいな…」と思っていました。

なんらかの形…ということで、お箏との合奏曲でお手伝いもさせていただきました。

 

お箏との合奏での演奏が決まり、一安心していたところ、日本舞踊の先生から

「日本舞踊の地方をしてほしい。」

という驚きの依頼がありました。

地方(じかた)というのは過去の記事にも書きましたが、舞踊のための三味線の演奏です。この依頼は「私の踊りに三味線で音楽を入れてほしい」という意味なのです。

ちなみに、日本舞踊の演目はざっと軽く数えても100は超えます。何も準備をしてこなかった私は大慌て!日本舞踊の先生に

「な、何の曲で踊られますか?」

と冷や汗をたっぷりかきながら伺いました。すると

「私の大好きな曲が”夕月船頭”(ゆうづきせんどう)という曲なので、それを踊りたいと思っています。」

……なんと”夕月船頭”は、私が渡米直前に地元の三味線教室で生徒さんたちに教えていた曲だったのです…。

「そ、そんな偶然があってたまるものか!」

と思い何度も確認しましたが、間違いなく”夕月船頭”。

これには私も日本舞踊の先生も驚き喜びました。かくして、オーランド日本祭りの日本舞踊の演目は”夕月船頭”に無事決まりました。これがオーランド日本祭りの開催から約2カ月ほど前のことでした。

仕事の合間や休日に、お箏との合奏曲や”夕月船頭”のお稽古をいたしました。そして、迎えた本番当日…。

 

オーランドの青空で鳴り響く”夕月船頭”

夕月船頭を踊られる先生。怖い顔で演奏している私です…。

 

「夕月船頭」は、常磐津節の舞踊曲。15分ほどの短い曲の中に、隅田川の風情と舟漕ぎの船頭さんの様子とを描いた名曲です。

日本舞踊の地方は踊り手のタイミングに合わせて演奏しますので、自分一人のペースで弾いてはいけません。何度も先生の踊りのタイミングを見て、早すぎず、また間がもたつかないように演奏するのに神経を遣いました。

演奏中は何も考えられませんでしたが、終わった後の写真を見ると緊張のせいかかなり怖い顔をしておりました。

まさかオーランドに来てまで常磐津節の舞踊曲を演奏することになるとは、考えもしませんでした。世の中には面白い偶然と巡り合わせがあるのものです。

その日本舞踊の先生とはご家族も交えてのお付き合いとなり、未だに親交が続いているのも嬉しいご縁だなと感じております。

 

 

別のブログでもCRプログラムについて書いています。ぜひご一読ください!

火曜の夜にバスを待つ〜米国ディズニーで働く〜
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鬼龍院 花枝

三味線指導、演奏家。気づけば20代の9割を三味線の指導と演奏に費やし、「三味線を教えている」と自己紹介すれば二度見されることにも慣れてきました。堅苦しさ皆無で三味線の魅力を知ってもらえればと思い、執筆活動もしています。

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