フリーランスになる人って、自分のやりたいこと、やるべきことが明確な人というイメージがありますよね。
でも、今回お話を伺ったファッションスタイリストの諸岡史織さんは違います。とにかく先ずは”やってみる”ということを大切にしていて、やりたいことや目的などは行動していくうちに見つかりました。
現在、芸能人や通販サイトのスタイリングを中心に幅広く活躍されている史織さん。「目指していたわけではないけれど、とても充実している」というフリーランスになられたのには、どんな経緯や想いがあったのでしょうか。
無計画でも独立できる!? フリーランス志望ではなかった
───史織さんはもともとフリーランスを目指されていたんですか?
諸岡史織(以下、諸岡):いいえ、目指していなかったんです。大学卒業後にファッションスタイリストのアシスタントを2年ほどして、その後アパレル販売員や正社員で事務のお仕事も経験しました。
それから、スタイリストのマネージャー、ファッションレンタルのスタイリストなどとキャリアアップしてきました。
フリーランスになったのは、最後に勤めていたファッションレンタルの職場がなくなってしまったから。
偶然ではありましたが、それまでに積み重ねてきたものがあったから、転職ではなくフリーランスでやっていけると思えたんです。
───そうなんですね!では、そもそもスタイリストになろうと思ったのは、どうしてですか?
諸岡:最初にスタイリストのアシスタントを始めたのが、大学4年生のとき。就職活動中でした。
当時のバイト先の社員さんから、「知り合いがスタイリストをしていて、アシスタントを探しているけど興味ない?」と声をかけられたんです。
もともと、ファッションが好きで、色んなブランドを掛け合わせてコーディネートするのが大好きだったので、「おもしろそう!」と思って、すぐにスタイリストの方にお会いしました。
無事、アシスタントとして採用されたんですけど、親には「大学を卒業するのだからちゃんと就職しなさい」と反対されました。
でも、どうしてもやってみたくて、なんとか説得して「3年間だけ!」という約束で始めたんです。
卒業してからは無給&無休でスタイリストのアシスタントをしていました。
でも、2年ほど働いたときに体力的にも精神的にも厳しくて、色々悩んだ末、1度は辞めることにしました。
それから、販売員や事務仕事をしていたんですが、ふと「やっぱり大好きだった”服に関わる仕事”がしたい」と思うことが増えて。
何となく求人を探してみたら、スタイリストのマネージャーの仕事を見つけたんです。これなら今までの仕事が活かせるかも!と思って、転職しました。
フリーランスになれたのは、自分の心に正直でいた結果
───その後、次のファッションレンタルのお仕事に転職されたんですよね。それは、どうしてですか?
諸岡:スタイリストのマネージャーも、とっても楽しかったのですが、会社の業績やキャパシティを考慮して、関わり方を変えて社員ではなく外注として働くことにしました。
その後、上海でスタイリングの仕事が入り、その業績にプラスして今までの経験を元に友人の紹介でファッションレンタルをしている会社に声をかけてもらって、またスタイリストとして活動することになりました。
しばらくするとファッションレンタルの会社がなくなることになって……、こうしてフリーランスになったわけです。ふり返ってみると、いろんな経験をしてきました。
でも、何か目標があって計画的に行動してきたわけではなかったんですよね。ただ、その都度、自分がやりたいと思ったことに対しては正直に行動してきました。
───フリーランスになるって勇気がいると思うのですが、転職せずにフリーランスを選ばれたのは、なぜですか?
諸岡:次はどうしようか……と考えたとき、心の支えになっている高校時代の同級生から、昔、言われた言葉を思い出したんです。「1人で独立して何かやればいいじゃん」って。
言われたときはピンときていなかったのですが、なんとなくその言葉がずっとひっかかっていたんですよね。
「もし、私にもできるならやってみたい」と、ずっと思っていたんです。それが、「今なんじゃないか」って思いました。
でも、どうしたら独立できるのかわからなかったので、まずは起業していた周りの人たちに相談しました。いざやりたいことをやるときに、相談できる人がいるって心強いですよ。
お仕事も、人も、「ご縁」を大切にすることが成功の秘訣
───史織さんのように、“好きなことを仕事にする“には、どうすればよいでしょうか。
諸岡:資格や実績よりも、まずは飛び込んでみることでしょうか。
わたしの場合は、直感を大事にしていて、少しでも「やりたい!楽しそう!」と思ったことをやってきました。
スタイリストのことを専門的に学んだことはなかったけど、声をかけてもらって、面白そうだったから挑戦してみたんですよね。
今までの仕事やフリーランスになったことも、綿密な計画を立てたキャリアではありませんがそれでも、“とにかくやってみたこと”が結局、次にも活きています。
例えば、事務仕事やマネージャーなどの裏方の仕事も経験していたからこそ、フリーランスになった今、自分でやらなければならない経理や営業もこなすことができます。
計画はしていなかったけど、ムダな経験は1つもなかったです。
───フリーランスとして続けていくには、どんなことが大切だと思われますか?
諸岡:わたしが大切にしているのは、人ですね。独立をした当初も、知人の会社からお仕事をもらえることになったりして。
それが、フリーランスとして続けていくために大きく背中を押してくれたと思っています。わたしの周りには良い人しかいません。
友達やその周りの人も良い人ばかり。良いご縁を大切にしていると、お仕事を紹介してくれることもあって、それがまた良いご縁になって……恵まれています。
だからこそ、ご縁があれば、スタイリストの枠にとらわれないで、「やってみる」ということを、今でも大切にしていますよ!
スタイリストとしてではなく、スタートアップの会社の仕事をお手伝いしたりもしています。0から1を生み出すことも好きなので、スタートアップのお手伝いにもやりがいを感じているんです。
フリーランスになりたい人に伝えたい2つのアドバイス
───フリーランスになりたいけれど、なかなか1歩を踏み出せない人にアドバイスが欲しいです。
諸岡:1つ目は、メンターはいた方がいいと思いますね。信頼して仕事の相談ができて、自分の理想像に近い人。わたしのメンターは高校の同級生です。人生の転機ではいつも、その人の存在が自分の支えになっています。
2つ目は、自分の判断基準を知ることでしょうか。自分は「これだ!」と確信できるのか、前進できるのかということです。
わたしは、消去法で確信をするタイプです。例えば、最初から「フリーランスのスタイリストが天職!」と思っていたわけではありません。
今までスタイリストのアシスタントやアパレル販売員、事務、マネージャー、ファッションレンタルのスタイリストなどいろいろやってきたからこそ、「これではなかった、あれでもなかった、次はこれ!」と、消去法で確信を持ちました。
数字の見込みがあることが大事なのか、直感が大事なのか、「この人とだったらどんなビジネスでもできる」という“人”が大事なのか。
そういう、自分の背中を押す判断基準を自分で持っていれば、1歩踏み出すのに役立つと思います。
インタビューを終えて
こんにちは!今回インタビューを担当したPRライターの本多佑里恵です。
史織さんのインタビューを通して、今、将来やりたいことが明確でなくて、計画的でなかったとしても、自分の直感を信じてチャレンジすることが大事だと学びました。
史織さんの自分のやりたい気持ちに妥協しない姿勢がとてもかっこよかったです。
私もついつい考え過ぎてしまう時は、少しでもやってみたい!楽しそう!と思えることに対して素直に行動してみようと思います。
(取材・執筆:PRライター本多佑里恵 / 編集:吉川実久)
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