行動を起こす勇気が出ずモヤモヤと悩む。フリーランスになりたい人にも、すでに活躍中の人にも、そんな時期があるものです。では、そこからどう羽ばたけばいいのでしょうか。
宝塚スターのイベント装飾を手掛けるなど、大活躍中のフラワーアーティスト佐藤友香里さんは、ニューヨークやパリで培ったアートセンスで、フリーランス歴7年めの今も営業ゼロで仕事が途切れることがないと言います。
海外で修行を積んだからわかる「日本でフリーランスとして働くこと」は、意外にカンタン!?佐藤さんの活躍のヒミツをPRライター玉絵ゆきのがお伺いしました。
9割が知人からの紹介。仕事が途切れないのはなぜ?
───NYやパリでの修行後、独立され現在7年めを迎えられますが、仕事を得るために最初にしたことってどんなことでしたか?
佐藤友香里(以下、佐藤):帰国してまず始めたのがFacebookの投稿でした。「作品を見てもらわなくちゃ始まらない!」と思って。でも友達の数が特別多かった訳ではないですよ(笑)
最初は反応も少なかったけど、つづけると「実は見てたんだよね」と友人から仕事の相談がくるようになったんです。
つい目に見える人がすべてと思いがちですが、仕事って、いつ、どこで、誰から、くるかわからない。SNSでの反応があるなしに関わらず、いつか「お客さま」となる人はいます。これまで3年越しの再注文もありましたよ。
わたしは、仕事の9割を紹介でいただいてます。すでに信頼構築できている人からの紹介だと無茶を言う人もいないし、紹介者の手前「しっかりやり遂げよう」と、やりがいも感じます。
お花屋さんで働いていた時期もあるのですが、当時は自分が一貫して行う業務ではなかったんです。やるならすべてに責任をもちたい。これは自分の性分なので、いまは心を込めて最後まで仕上げられることが幸せですね。
───9割が紹介ってすごいですね!なぜ依頼が集まるのだと思いますか?
佐藤:仕事の1つひとつに真心をこめて大切にしているからだと思います。
たとえば「お母さんに花束を贈りたい」という依頼ならお母さんの人物像をよくヒアリングします。そして、そのイメージや感謝の気持ちを花に変える。口に出すのは照れくさいメッセージを花で伝えるということですからここはとてもこだわります。
お花に詳しい人ばかりではないから、「なぜその花を選んだのか」も説明します。送り主にも伝える人が多いんですよ。より想いが伝わることで双方の記憶に残ると好評です。
自分にとっては大勢のうちの1つでも、相手にとっては1分の1だから、“こなす”ような仕事はしたくないという信念があるんですよね。そのこだわりが、結果的に多くのリピートにもつながっています。
仕事をしつつスキルアップ!全工程に自分が関わるから成長しつづけられる
───フリーランス7年間のなかで、大変なお仕事ってありましたか?
佐藤:宝塚スターのお茶会の装飾は大変ですね。毎回、役者さんが演じている舞台のキャラが違うので、毎回オーダーが異なるんです。
これは、自分の中でチャレンジになっています。いろんなジャンルを自分のものにできるチャンスなので、とても勉強になるし、面白いですね。
求めているイメージのヒアリング、お花の仕入れ、製作、納品、請求まですべての作業に自分が関わるのは、ときに大変だけれど、自分の幅が広がっていくのを感じています。仕事をしつつ自分のスキルアップになっているので、そう考えると悪いものではないですよね。
───佐藤さんのように前向きなフリーランスの人は周りに多いですか?
佐藤:多いですよ!みんな、自分の好きなことを仕事にしているからか「上司がこうでさぁ~」みたいな愚痴はほとんど出てこないですね(笑)
フリーランスは自分が経営者でありながらプレイヤーでもあるから、やらなくちゃいけないことは多いんだけど、自分が望んだ働き方だと、意外とそれを乗り越える力がついてくるんだと周りを見ていても思います。
あえて「余白」を残す。フリーランスが身に着けるべき心と体のバランス
───「最後まで責任がもてる仕事をしたい」という以外にフリーランスを選んだ理由はありますか。また、活躍しつづける秘訣は何でしょうか。
佐藤:わたしは「どこかに属している自分」に違和感を感じるタイプで……。会社員時代はしっくりこなかったんです。
あと、プロジェクトを部分的に担当するのではなく、ぜんぶに責任を持てる自分でいたいと思ったんですね。そういう働き方をして生きていくためには?と考えてフリーランスを選びました。
不安もないわけではないけれど、それよりも「理想とする自分の在り方」を大切にできている幸福感のほうが勝るというか。自分らしく働けることが、ノーストレスにつながっています。
フリーランスとして活動する上で大切にしていることは、常に心と体を柔軟な状態に保つこと。
たとえば依頼が多い「ウェディング」の装飾は、心も体も使うし、集中力が問われるんですね。これは精神的にギリギリではできないことなんです。急な依頼もあるので、すぐ対応するために心と体には常に余白を残すことを心がけています。
───自分の決断に自信が持てないとき佐藤さんはどうしていますか。
佐藤:独立を迷っているなら「叶える方法はあるよ」と伝えたいですね。いきなり自立できなくても、バイトをしながらだっていい。焦らずに“実現できる方法”を少しずつ探してみてほしいです。
わたしはNYやパリでの修行のほか、バックパッカーで15か国周ったりした経験もありますが、それを経て思うのは「日本にいる限り食いっぱぐれることはない」ってことです(笑)
悩んだら頭の中をノートに書きだしてみるのもおすすめ。実は、書き出してみると本音以外も含まれるので、眺めて「これは本心じゃない。世間体を気にして思っているだけ」など、自分自身で添削をするのが、ポイントです!思考がクリアになりますよ。
もっと簡単なのは物ごとを「好き」と「嫌い」に分ける。「好きなことぐらい考えなくてもわかるよ」と思いがちですが、改めてやると腹落ちします。「あ、やっぱりわたしはこれが好きなんだ」って、どんどんクリアにしていくと決断にも自信がもてますよ。わたしもまだまだ迷うこともありますが、ともにがんばりましょう!
インタビューを終えて
今回インタビューを担当させていただいたPRライターの玉絵ゆきのです。
「自分の仕事の責任はすべて持てる自分でありたい」と話す佐藤さんはとても頼もしく、輝いて見えました。そのおざなりにしないという真摯な気持ちでつくられた作品は、どれも華やかで美しく心惹かれるものばかり。
また、活躍しづつける秘訣の「気持ちの余白をつくる」ことは、特別なスキルがいるものではないのでマネしたいと思いました。そうやって日々自分をコントロールしながらスキルアップすることを心がけていこうと思います。
(取材・執筆 : PRライター 玉絵ゆきの)