何と解りやすい解説!と久しぶりに唸りました。
どうすれば浮気をしない相手を選べるのか?|勝部元気のラブフェミ論
日本では恋愛や結婚のパートナーを選ぶ際に、「家庭的だ」「育ちが良い」「守ってあげたい」「癒し」「子ども好き」など真面目な理性的基準でパートナーを選ぶことが多いです。つまり、ずっと日常的に恋やセックスがしたい相手という視点では相手を選んでいないのです。その結果としてセックスレスに陥り、男性たちは、以下の図のように、本命女性には「母」を求め、浮気・風俗・ポルノで「女」を求める。というシステムがこの日本社会にできあがってしまっているのです。
日本は若者だけでなく、夫婦をも幸せにしない国であるということが明らかに。
私は若い頃、結婚願望が一切無かったのですが、それは周囲に理想の夫婦がいなかったからかもしれません。社会に出て遭遇したのは、子供の為につがっている夫婦や、夫が浮気していてそれを黙認している妻という形など。すっかりおばさん化した妻達が夫の悪口をべらべらしゃべっているランチ会に何度も隣り合わせたりしました。
また、自分自身男性と同棲などしてみて、年月が経つごとに冷めていき、レスになるという経験もしました。同棲という「日常」と「安定」だけでも男女は性的に冷めるのに、その上「法」でも縛られた日にはたまったもんじゃない!不能になるわ!(女だけど)
「私は恋愛でいいや。っていうか結婚やだ。」
未だ20代だった私の魂がそう叫んだのを今でも昨日の事のように覚えています。その後、無駄に2回も結婚するわけですが。
さて、私は現在42歳なので、周囲に結婚10年越え夫婦がたくさんおります。そして、その殆どが健やかにセックスレスです。
セックスレスとは1か月夫婦間性交渉が無いというのが定義になっており、
「うちは週に1回必ず。」などという10年越え夫婦がたまに出てくるとスタンディングオベーションで健闘を称えられます。
欧米のようにセックスレスが離婚理由にならないからでしょうか? 我々日本人の「レス?普通っしょ。」という空気はなかなかに市民権を得ています。
ところが、日本でも判例があるとのこと。
(*裁判例としては、『夫が妻との性交渉を1年4か月も拒否し、ポルノビデオを見て自慰行為を繰り返したあげくに別居した』という事案につき、裁判上の離婚原因として認定したものがあります」(弁護士ドットコム引用)
これは、うかうかしていられません。
この日本で、長期間夫婦を頑張ってきた人達の、各家庭の、大いなる危機だと言えるでしょう。そろそろ我々日本人が、何故セックスレスになりやすいのかを真面目に考え、夫婦とは何か?セックスとは?をつまびらかにする時期が来たのではないでしょうか?嘘。
さて、今日はそんなレスな皆様の生の告白から、セックスレスのパターンや原因などをシェアしたいと思います。
① 妻にだけED型
経済力もあり健康、恋愛は肉食系、なのに妻にだけは欲情できないという男性が、今、日本で大量発生しています。
で、「妻にだけED型」の男性は、セックス以外の妻としての役割や母親としての役割に対してはとても満足しており、皆感謝しているという特徴があります。やっかいですね。
きっかけは、立ち合い出産とか子作り目的のセックスであったとか、皆さん口を揃えてごにょごにょおっしゃっていましたが、「妻にだけED型男性」は、ただ単に超恋愛体質なだけです。男女問わず恋愛体質の人は、恋愛中に感じるドキドキ感が大好きです。言ってしまえばお相手を媒介にして、ドキドキ感に欲情しているのです。そして、結婚生活を通じて「妻」や「母」とは、このドキドキ感から一番遠い人になりやすいのです。
このタイプの男性は、風俗やビデオよりも婚外恋愛に走ります。
しかし、婚外恋愛対象とも月日が経ったり、半同棲したりすると同じようにEDに。それを自覚している男性は離婚をせずに妻と仲良く(セックス以外は)しており、自覚していない男性は、結婚離婚を繰り返します。
② 産後ホルモン型
産後の女性は、子育てホルモンに体中を浸食されます。おまけに2時間起きに授乳したり、自分の時間が無かったりで殺気立っており、セックスどころではなくなります。体的にも生活のパターンから言っても、「夫と性交渉なんかしている場合ではない。」状況。しかし、乳もホルモンも出ない夫はその非常時に気づきません。普通に性交渉を交渉=玉砕というパターンを繰り返しているうちに夫はすっかりハートブレイク。風俗やビデオなどで解消しているうちにそれが当たり前に。半年後に妻が正常に戻った時には、時すでに遅し。夫の性の対象は、妻では無く「二次元のキミ」になっていた、なんていう事例は、妻側から数多く報告されています。アダルトコンテンツの充実ぶりも、日本のセックスレスに拍車をかけているようです。
また、フランスの女性達はレスを防ぐためというより、自分のセックスライフを確保するために、生まれたばかりの子供が泣こうと喚こうと放っておくという「フランス型子育て」なるものを聞いたことがあります。日本の住環境ではまず不可能ですが、「泣くのを放置」も我々日本人的子育て慣習としては更に不可能。さすがアムールの国フランス・・・。恋愛やセックスに対する胆力が違います。
③ 労働&住環境型
ブラック企業に勤めていなくても、ワンルームで家族4人で過ごしていなくても、日本人の働き方や平均的な収入の住環境は、夫婦のセックスライフに適しているとは言い難いです。特に、小さい子がいる家庭、特に共働きで手伝ってくれる人がいない場合、一日があっという間に過ぎていきます。セックスの時間より眠る時間を優先したい働き盛りの夫婦は日本に相当数存在することでしょう。また、子供がいると子供に目撃されるリスク(虐待)を思って集中できず、多くの子あり夫婦は自然とレスになるのです。
④ 非ロマンティック型
夫婦のどちらも恋愛体質では無く、二次元好きでもなく、ただ普通にマンネリ化してレスになる夫婦も多いものです。デートと称して夫婦で食事に行くいうレス夫婦に、デート中の話題を聞けば、「子供の話ばかりしている、」とおっしゃいます。なんて非ロマンティックな「なんちゃってデート」でしょう!子供の話というのは確かに夫婦共通の幸せな話題ではありますが、「家庭内業務連絡」みたい意味合いも多いからです。
また、日本には夫婦二人がドレスアップして参加する「非日常空間」がとても少ないのもレスが急には止まれない原因の一つではないでしょうか?
パーティーも夫婦同伴が当たり前ではないし、ホームパーティなどカジュアルなものが多く、非日常とはとても言い難い。旅行が一番非日常かもしれませんが、子供がいる夫婦は「子供の思い出作りの旅行」には行っても、ロマンティックな夫婦の旅行にはなかなか手が出ないものです。それが実現するのは、子供が一緒に行きたがらない年齢になるまでで、そのころにはすっかりレスが板についた夫婦に仕上がっている事でしょう。
西洋人の舞踏会とは、倦怠期の夫婦が二人で非日常を味わうだけじゃなく、他の異性と踊る伴侶の姿を見る事で、恋心を強引に取戻させる装置であったという説を読んだことがあります。そんな昔から、夫婦のレスを乗り越えるために西洋人は工夫とお金と手間をかけていたのですから、呑気に並んで盆踊りしていた私達がかなう筈ありません。完敗であります。
さて、また長々と書いてしまいましたが、日本人にセックスレスが多いのは、個人の資質というより、夫婦を取り巻くありとあらゆる環境が原因なのではないかと私は思います。
そして、そろそろレス夫婦達がこの問題に向かい合わないと、離婚率は更に増えるのではないかとも思っています。それは、欧米のロマンティックを完全に日常化してしまったから(昔ながらの情文化だけで夫婦を維持できない。)だけじゃなく、風俗やビデオなどの代替セックスが選べる男性に対して、そのコンテンツが少ない女性達(今までは韓流やジャニーズで溜飲を下げてきた妻達)が、経済力と情報をもってして女を取戻し、婚外恋愛に走るからです。妻が婚外恋愛をすると、かなりの確率で家庭は壊れます。(女が浮気に走るとき参照)
最後に、そんなレス夫婦の皆様に是非観てもらいたい映画があるので紹介します。
スタンリーキューブリックの「アイズワイドシャット」です。(ネタバレ注意です。)
現実か妄想か夢なのか解りづらい映画で、色々な解釈がされるのですが、夫と妻それぞれの性的な欲望がテーマです。倦怠期夫婦の行動あるあるを夫婦で探すもよし、妻の欲望を聞いてしまった夫の深層心理を二人で話し合うも良し、個人的な性の幻想とはなんなのか?それは本当に夫婦という関係性でシェアできるものなのかを無言で互いに味わうも良し。
映画の最後、夫の告白で夫婦関係は最悪な状態になり、二人は家庭を続けられるのか、夫婦でいられるのかと夫が気弱に尋ねます。
「俺たち、これからどうすればいいんだろう。」
そして、妻が冷静に、腹の座った声で言うのです。
「ファックするしかないでしょ。」
と。
結婚生活は目を見開きながら、それでも相手の全てを見てはならない。
見てしまっても、セックスすることでやり過ごす術が夫婦にはある。
だから、するのだ、家庭を続けるために。
そこに意味など無いのだと、考えすぎるな、というキューブリックからの最後の教えかと、私は勝手に解釈しております。(遺作です。)
世間的にも、周囲を見渡しても、
セックスするのが「正しい」と太鼓判を押される関係は、夫婦以外にはありません。
ま、その公明正大さが「レスの温床」でもあったりするのだから、
男と女は本当に、やっかいなものですね。