この連載では、自分の「好き」や「得意」を仕事にしていくフリーランスという働き方に憧れる方へのヒントをお伝えしています。
今回、お話をうかがったのは、ご自身が得意とする歴史・文化のジャンルを中心に、ブックライティングやWebメディアでのコラム記事、インタビュー記事、イベント体験記事など、幅広く執筆をしている五十嵐綾子さん。
フリーのライターとして4年めを迎えられた五十嵐さんに、「好き」や「得意」をお仕事にする方法や、継続的に仕事を得るために大切なことについて、PRライターひのりほが、お話をお聞きしました。
業界の先輩との交流、「好き」「得意」に向き合うことが仕事につながる
───フリーランスを目指している人や興味がある人は、まず何をすればよいでしょうか?
五十嵐綾子(以下、五十嵐):まずは、すでにフリーランスで活動されている方のお話をたくさん聞くことがおすすめです。私の場合はライターの交流会に参加して、フリーランスの方の働き方を聞きました。ライターの先輩たちが、実際にどのように仕事を得ているのかを知ることで、自分が働くイメージができました。
自分が人から褒められる部分を探しておくことも大切です。その中で需要があるものは強みとなり、お仕事につながりやすくなります。
私はもともと、世界史が得意で歴史ライターになろうとしたのですが、お仕事をしていく中で日本史の方が需要が高いとわかりました。そこで、日本史を改めて勉強したんです。そのうえで何度か執筆を任せていただき、2019年は明智光秀のブックライティングを1冊仕上げるというお仕事ができました。
───求められる仕事の内容や方向性を把握して勉強されたのですね。五十嵐さんはもともとフリーランスになりたいと考えていたのですか?
五十嵐:もともとは編集プロダクションに3年ほど勤めていましたが、一時的に体調を崩したことで退職したんです。その後、転職も考えました。
でも、ライター交流会で知り合った編集者の方に「うちで書いてみない?」とお声がけいただけて、それをきっかけにフリーランスになりました。
ライティングに関しては昔から得意で、周囲の人から褒められる分野ではありましたし、「編集プロダクションで3年経験した自分ならきっとできるはず!」と挑戦してみたんです。
その後は、ライター募集をしているところに登録したり、ライター交流会で知り合ったほかの方からもお仕事をご紹介いただけたりして、お仕事先となる媒体を増やしていきました。
やりたいことをつづけるために、「どうしたら貢献できるか」を考える
───さまざまな媒体からお仕事の依頼があるんですね。依頼された仕事はどのように管理されていますか?
五十嵐:フリーランスになったばかりの頃は何でも受けるスタイルでお仕事をしていましたが、フリーランスの働き方に慣れてからはスケジュールがすべて埋まってしまわないように、少し余力を残せるように仕事量を調整しています。
突然、やってみたい仕事が舞いこむこともあるからです。
調整していても、お仕事がたくさん入っているタイミングで、やりたい依頼が入ることもあります。そんなときは、たとえばブックライティングなら1冊を丸ごと執筆するのは難しくても、部分的に挑戦できないかと先方に相談させていただくこともあります。
フリーランスは仕事を選べるのが魅力ですが、そのタイミングは選べないという面もあるので、チャンスを逃さない姿勢を大切にしています。
───フリーランスとしてお仕事しつづけるために、何が必要だと考えていますか?
五十嵐:ひとつは「〇〇が得意です」といえる、それによって記憶に残る人になることを意識することです。これは、ライター交流会などに参加して多くの先輩ライターさんと出会い、名刺や自己紹介に特徴がある人は印象に残ると実感したことがきっかけです。
それから、どうすれば、よりお客さまや社会に貢献できるかを考えることです。そう考えはじめたのは、2018年から2019年にかけて、時代の流れを受けて、関わっていたWebメディアがいくつか閉鎖したときでした。
そこで、依頼されたものを依頼された通りに書くだけではなく、メディアやクライアントのビジネスの発展につながる動き方や提案ができるようになりたいと感じました。そのために、自分をアップデートする、学ぶ時間を取ろうと決めました。
意識的に学ぶ時間を取ってレベルアップ。提案や企画全体に関われる人材へ
───自分をアップデートすることは重要ですね。どのようにして必要なことを学んでいるのですか?
五十嵐:会社員ならば社内研修や先輩の指導がありますが、フリーランスは自分で情報を集めることが必要です。私は以前、ライター交流会でitty selectionの役員の方と知り合ったのをきっかけに、2020年度の広報・PRプランナー&PRライター養成講座を半年間受講しました。
講座では、実際のitty selectionのお客さまであるアパレルブランドのPRプランニングに携わらせてもらったんです。そのとき、PRをする上でのみならず、ライティングの効果を最大限発揮するためにも、クライアントと同じ目線で企画全体を俯瞰的に考えることが大切であると学びました。
この経験を生かすことで、クライアントに「こういう記事にしませんか」などの提案ができる、目的達成のために導き、より貢献できる人材を目指していきます。こうして、仕事をするだけでなく、自ら意識的に学ぶ時間を確保して、視野を広げたりステップアップしたりすることは、とても大切です。
───継続してレベルアップするためには、何を意識すればよいでしょうか?また、仕事をどう発展させていけばよいのでしょうか?
五十嵐:仕事の幅を広げるとともに、個性を出していけるといいですよね。同じ仕事をしている方がほかにもいる中で、自分なりの個性を出す方法としては、そのジャンルの中でテーマをしぼることがあげられます。たとえば、私の場合は、日本史の中でも奈良時代が好きで得意です。自身の関心のあるテーマをふかぼりすることもスキルアップと言えますよね。
また、私はPRについて学んだことで、自分から提案をする、媒体に企画から関わるなど、仕事の幅を広げられると実感しました。これからフリーランスになる方にも、世の中のニーズを探って、これからの時代に必要なスキルについて考えていくPR視点を身につけることはおすすめです。
個人的には、いずれはPRと歴史、2つの軸を合わせて博物館など歴史関係のPRに携われたら光栄です。
インタビューを終えて
こんにちは。今回インタビューを担当させていただいた、PRライターひのりほです。
五十嵐さんにお話をうかがって、仕事の幅を広げるために勉強しつづけること、クライアントのために自ら提案できる力をつけることが「好き」や「得意」を仕事にする上で重要なのだなと思いました。
よりニーズがあるものや必要なスキルを学んで仕事につなげる姿勢から、フリーランスとして活躍しつづける秘訣を学ぶことができました。
自分の中の「好き」「得意」が大きな財産になると信じて、どんな自分になりたいか、どんな働き方をしたいかを考え、一歩を踏み出していきましょう!
(取材・執筆:PRライター ひのりほ / 編集:PRライター 神田祐佳)