「コンテンツ イズ キング」という言葉が浸透して、久しくなりました。多くの企業が「コンテンツ イズ キング」を念頭において、記事やサイトにクオリティを追求しています。
でも、クオリティの高さを評価する基準を語るのは、カンタンではありませんよね。
クオリティ評価に欠かせないのが “ユーザーの期待に応えられているかどうか” という視点でしょうか。それって、文章力や写真の良し悪しだけでは測れないはずです。
Search Engine Landの記事「From SEO To SXO: Search Experience Optimization」では、SEOからSXO (Search Experience Optimization)へと意識をうつして、サイトを運営していきましょうと書かれています。
以下の図は、同記事で紹介されている、サイトを訪れたユーザーの行動の割合の典型的な例です。この場合、60%の人が1ページだけを見て去っています。
彼らは自分のほしいものを得られたでしょうか?どんな人が、なぜ、このページにやってきたのでしょうか?
ここからは、記事の翻訳でSXOについてご紹介していきます。
真のユーザーエクスペリエンスとは
SXOとは、UX(ユーザーエクスペリエンス)最適化のことです。検索エンジンで上位表示を狙うことが目的ではなく、ユーザーの体験、ユーザーの期待に応えることを目的とした最適化を指します。
10%はコンバージョンするのだから、より多くのトラフィックを稼いでコンバージョンの数をあげよう!というものではありません。1ページしか見ずに帰っていった60%の人たちが、どんな気持ちでページを去ったのだろう?と、考えることがSXOです。
不満を持って帰って行ったのでしょうか?または1ページしか読まなくても、幸せな気分で帰って行ったのでしょうか?
もちろん、SXOの視点でSEOを強化している企業は少なくありません。しかし、中にはGoogleへの最適化にばかり目を向けてしまっているサイトもあるので、使いわけています。
UX最適化という言葉は、“ユーザーがサイトの目的を果たすのに、至りやすい導線をつくる”というような意味で使われてきたように思います。
たとえば、PV数やメールマガジンへ登録者数をどうやって増やすか、広告をいかにクリックしてもらうか、コンバージョンへどのようにうながすかというような視点で、ことに注力されてきたのです。でも、それはあくまでもサイト運営者の成し遂げたいことです。
Googleの願いは、それとは違います。Googleは、わたしたちのページやコンテンツに対して、 “ユーザーの問題を解決してほしい”と望んでいるのです。
ユーザーの質問を見極めよう
ユーザーのほとんどは、検索する=“質問”をしています。
たとえば、「ハイアット・リージェンシー」と検索する人は、「価格はいくらなんだろう?」、「どんなレストランがあるんだろう?」、「車でのアクセス方法は?」などと問いかけているでしょう。または「アメリカン エアライン」と検索する人は、フライトの予約情報や出発ゲートについて知りたいと思っています。
それらの質問に応えてくれるサイトが、Googleでは評価されるのです。
「ハイアット・リージェンシー アクセス」などでやってきたユーザーではなく「ハイアット・リージェンシー」というキーワードだけでページを訪問したユーザーが、どんな質問を持っていたのかを、どうやってGoogleは知ることができるのでしょうか?
1つには、ユーザーのクリックの動きで評価しているのではないかと、たびたび論じられます。
あるページを見て、すぐに検索結果画面に戻ってしまう「ショートクリック」なら、そのページにはユーザーのほしい答えがなかったということです。あるサイトのページを回遊したユーザーが、しばらくしてGoogleに戻ってきたときに、次はどこをクリックするのかを追えば、質問内容が見えてきたりします。
SXOに欠かせないデータ分析
SXOを実現させるためには、SEOと同じくキーワードデータが欠かせません。ウェブマスターツールやキーワードプランナーを駆使して、ユーザーのニーズを探りましょう。
SEOツールを使うのもおすすめですが、検索エンジンへの最適化だけを狙ってしまいがちです。分析の目的は「なぜユーザーが自社のページにきたのかを探ることだ」というのを忘れないようにしてください。
また、あくまでもSEOツールは、検索エンジンユーザーへの最適化を図るものです。ソーシャルメディアや他サイトから流入しているユーザーもいることを忘れないのも、大切です。
分析するからこそ、改善できることはたくさんあります。そもそもサイトを訪れたユーザー全員を満足させることはできない、という前提があるにせよ、改善の余地はあるはずです。
たとえば、レストランのサイトを訪れる25%の人が予約をしたいのだという事実がわかったとします。でも、予約にいたっているのはそのうちのわずか1%だった場合はどうでしょうか。予約フォームのユーザビリティを見直す必要があるかもしれません。
10秒でユーザーの期待に応えられるか
UXのエキスパートであるJakob Nielsen氏によると、「10秒でランディングしたユーザーを納得させなければならない」そうです。
・ユーザーの質問への答えがそのページにあるか
・それは信用できる答えか
・そして、明らかになった答えを、実際に得るのはカンタンか
これらのことに気をつけてページをデザインする必要があります。
サイト運営者として優先して伝えたいことがたくさんある中で、なにを伝えることでユーザーの期待に応えられるのかを追求しましょう。
SEOに成功している多くのサイトは、このように、きちんとユーザーの問題を解決しています。
SEOで検索上位を狙うだけでなく、SEOを越えてSXOを考えるサイトが今後はGoogleに高評価されていくはずです。そして、それはWeb上に溢れるコンテンツ全体の質の向上に、貢献することにもなるでしょう。