酒と泪と女と女

ハイパーな女で行こう!

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id:ksachikoさんのブログを読んで、女性の自己実現の難しさを改めて考えさせられた。

女性スポーツ選手は背負わされているものが多すぎる – わざとだよ?はてなブックマーク - 女性スポーツ選手は背負わされているものが多すぎる - わざとだよ?

選手として、妻として、母としての期待を背負わされていて、それでも折れない女性選手たちはやっぱり強いと思う。

でも、いくら彼女たちがそれに耐えているからってプロに対してジェンダー的役割を求めるのは間違っていると思う。

 

プロフェッショナルとして社会に認められても、美しさや若さを求められ、結婚すればよき妻、よき母を求められる。

 

スポーツ選手に限らず、タレント、政治家、作家、文化人や起業家など、メディアに出る全てのプロが受ける洗礼のようなものだ。

 

本人達は好きで出ているので良いのだが、当然それ(全てパーフェクトであれ)を求められていると熟知しているので、

「私は家事もやっています。」「子育てもしています。」

というアピールをする。

 

本当はお手伝いさんが居たり、おばあちゃんにヘルプしてもらったりしていてもおくびにも出さない。

 

メディアも問題である。

 

特に女性誌は、取材対象のイメージを必要以上に上げる。

 

私がインタビューを受けた時も、

「朝は早いので全て夫に丸投げして会社に行きます。」

と答えても、

「朝、妻の顔、お母さんの顔から社長の顔に切り替え、川崎さんは出社します。」

に、変換されている。一事が万事そんな感じだ。

 

こういう記事を読んだ若い女性達がいったいどう思うのか?

 

頑張って何者かになっても、膨大な家事や育児や介護もどうせ女性の仕事としてこなさなければならないのなら、最初から専業主婦を目指した方が効率良くない?

 

id:Chikirinさんのブログにある、「女性管理職が増えない理由」にもこれは通じていると思う。

普通の門とピンクの門 – Chikirinの日記はてなブックマーク - 普通の門とピンクの門 - Chikirinの日記

生まれて物心ついた後、“ある時点”までは、何の差もつけられず、まったく同じように扱ってもらえます。

ところが、とある時点で、その世界はいきなり終わりを迎えます。そして言われるのです。目の前に見える大きな門をくぐって進めるのは、男の子だけだ、と。

 

女性管理職が増えないのは、圧倒的にこの国のシステムや企業の風土やルールが原因である。

 

しかし、能力がありながら女性管理職を「始めから」目指さない女性が、今増えているのだ。

 

プロとして世間に認められ、お金をバンバン稼ぎ、綺麗を保ち、家事も育児も一人でパーフェクトにこなす。

 

そんなスーパーウーマン、まずいないから。

 

メディアが作った幻だから。

と、

ここまで書いて思い出した。

 

居る。そういえば、身近に居た。

 

それも男性である。

 

N氏は私と同年の経営者である。(*イケメン。鍛えているのでスタイル保持)

 

彼は、10数年前、私の友人である女性起業家Eさんと結婚した。

 

安定したサラリーマンだったN氏に、彼女が結婚の条件として提示したのは、

 

「家事育児の7割を夫が担当すること。1年以内に起業すること。3年以内に規模を○○にすること。結婚式は誰も挙げたことがないところでやること。」

 

だった。

 

東京ドームで、その契約書(E社長の希望)を読み上げ、二人は結婚する。

 

それから、彼は契約通り起業し、その後、彼女が設立した飛行機会社を手伝い、更に起業し、7割どころじゃなく家事育児をこなし、義父の面倒を看て、E社長が次々に繰り出す無理難題(?)に、嬉々として答えていくのだった。

 

二人の様子を、当時ドキュメンタリー番組が追っていたので、テレビで観た人もいると思うが、あれはやらせではなく真のドキュメンタリーである。(ネットの世界では毎回炎上)

 

上のお嬢さんが生まれたばかりのころ、私とE社長がしゃべっていた時に、赤ちゃんがうんち。

 

E社長がおむつを替えようとすると、忍者の如く現れたN氏がそれを阻止。

「うんちは俺がやる。」

多分、E社長が下手だったのだろう。

 

それはそれは、日常生活が透けて見えるような、手早く見事なうんち交換であった。

 

現在、会社を成功させて更にバリバリ働いているN氏。

 

相変わらず家事育児に頑張るN氏。

「N氏だったら俺だって結婚したい。」とうちの夫に言わしめたN氏。

 

E社長が友人達全員から、「N氏と別れるなら友達やめるから」、と言わせるほどのN氏。

 

彼は自身のブログで、「鬼嫁システムへの対応」と題して、

「最近「鬼嫁特集」のテレビ番組をよく見かけるが、

どの嫁もそれほどの鬼ではないし、

そもそもたいした鬼であったわけではない。

むしろ多くの旦那がミスを犯しているにも関わらず、

そのミスに気づかずに傷口を広げている。

まずは全力でディフェンスを固めなければならない。

死ぬ気で走っても死ぬことはないのである。 」

と、綴っている。

 

この解脱ぶり。涙なしには読めない。

 

しかし、E社長という強力なオフェンサーの存在により、彼が成長し、成功し、幸せな家庭を築いたのは事実だ。

 

ただ、彼は元々トライアスリート。

 

若い頃から身体と精神を鍛え上げ、現在もトレーニングを欠かさない特殊な体力を保持しているからこそできる荒行であり、若いお嬢さん達におかれましては、危険なので、決してN氏を真似しないように。

 

どちらかと言えば、何度ネットでその夫婦関係を叩かれても、「頭にきちゃうのよねー。」と、路線変更せず、ガンガン自身もチャレンジして成功し、夫にもチャレンジさせ続けるE社長の根本的な太さ、

「自己を実現するのは当たり前じゃない!」と体現している生き方、

このあたりを多少でいいので見習って欲しいと思う。

 

件のドキュメンタリー番組の中でのE社長のある台詞が記憶に残っている。

 

「お金とか生活の事を考えて、条件に目がくらんで、そんなに好きでもない人と結婚するなんてありえないでしょ。そんな人生はたまらない。

 

だから私は、自分がスーパーな女になります!」(再び、ネット炎上)

 

彼女の言った「スーパー」とは、今となったら色々含みが多いのだが、世間で言われている「何でも一人でこなすスーパーウーマン」でない事は確かだ。

 

賛否両論はあるにしても、メディアに出る他の女性達が、自分ブランディングの為に小綺麗な事を言っている中、E社長の無邪気なハイパーっぷりは、とても清々しいものだった。

 

そして、そんなE社長に愛されているN氏は、現在も、会社運営より家事育児より大変なE社長とのやり取りを、全てをこなした上で頑張っている。

 

私は彼のFacebookを、彼の生存確認の為、定期的にチェックしている。

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川崎貴子

リントス株式会社代表。経営者歴21年。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女のプロ」の異名を取る。プライベートではベンチャー経営者と結婚するも離婚。8歳年下のダンサーと2008年に再婚。12歳と5歳の娘を持つワーキングマザーでもある。著書に『私たちが仕事をやめてはいけない57の理由』(大和書房)、『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(ベストセラーズ)、『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(総合法令出版)、二村ヒトシとの共著に『モテと非モテの境界線 AV監督と女社長の恋愛相談』(講談社)等がある。

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