さて、人に会うたびに「夫氏は家事をしなくて大丈夫なのか?」といった主旨のことを聞かれまくったので、ちょっとブログにまとめてみようかと思います。ノロケ注意。・・・
世の中にはこんな風に、阿吽の呼吸で夫婦になれるカップルがいるのだと、id:chira_rhythm55さんのブログを読んでとても羨ましくなりました。
本来家庭に安らぎを求めながら、何故か戦場にしてしまっている夫婦の何と多い事か!
夫婦喧嘩・・・。
それは、家庭内の覇権争い。
恋愛関係ならば、喧嘩をしてもしばらく連絡を取らなかったり、そのまま別れてしまっても、まぁ誰にも迷惑がかからないので自由ですが、「結婚」をしているとそうはいきません。
子供がいる場合は更に大変です。
「子供の前では喧嘩できない。」「家出ができない。」ため、深夜からのスタート~子供が朝起きるまでの「時間制限付きタッグマッチ」となり、気力知力体力を総動員して取りかからなければならないからです。
私と夫も、それはもう、よく喧嘩したものです。
特に一緒に暮らし始めた7年前。
ダンサーとベンチャー経営者という異文化、8歳の年齢差、収入格差、私の連れ子付き生活(前夫面会あり)という、背景だけで火種は十分。
更に、当時拡大路線で経営していた私は、時間が膨大にあり、家でストレッチをしていたい夫の事情に付け込み、家事と育児を丸投げしていました。
慣れない生活に夫のストレスは最高潮に。
そもそも夫は右脳全開の仕事(即興ダンス専門)。
「交渉する」というスキルを全く持ち合わせていませんでした。
過去にお付き合いした女性達とも、不穏な空気が流れたり、喧嘩するとその場で別れてきたそうで、男女関係修復経験もゼロ。
そんな男が、こんなやっかいな物件(私)と同棲してしまったのだからさあ、大変。
夫は、「喧嘩をふっかける」という最終手段で、私への不満を叫ぶのでした。
私はかなり年上ですし、喧嘩も面倒なので当然スルーします。
また、口喧嘩に関して言えば、営業上がりの、当時「ベンチャー経営者10年選手」だった私に夫が勝てる見込みは皆無。
そんな卑怯な戦いを受けて立つ訳にもいきません。
私は、武士の情けで刀を抜かず、
「やめておけ、経験値が違う。」
と、横顔で語りかけます。
しかし、何度も丸腰で挑んでくる夫。
そして、とうとう夫は、
「それは人として言ってはならぬ。」
というNGワードを失言してしまい、
巨神兵の如くゆらりと立ち上がった私に絨毯爆撃される・・・。
これが、我が家のスタンダードバトルでした。
一年後、そろそろ籍を入れようという話になった時に、こんな不毛な事を繰り返していてはならないと思った私は、次回のバトル後からOJTを実施することを決めました。
そして、勃発後、
「振り返ってみて。今日の喧嘩のこの台詞、これを言う前に一回冷静になって、相手の怒りポイントを見極める。わかる?ここで勝敗が分かれるんだよ。」
・・・真夜中の、まさかの将棋対局解説。
「あの時、間髪入れずに私の上げ足を取ったのは良かったよー。相手が疲れてきた時にたたみかけること。口喧嘩はね、より冷静でえげつない方が勝つから。」
・・・真夜中の、まさかのヒーローインタビュー。
他にも、相手を怒らせない交渉の仕方や、喧嘩を終わらせる誘導の仕方などを伝授していった所、夫は「貴子ロジック」として崇め、恐れ、夫婦喧嘩の回数は激減していったのでした。
それから更に6年が経った現在。
私も夫もすっかり落ち着き、殆ど喧嘩もしないで過ごしておりました。
が、先日酔っている時、私の落ち度を突然突いてきた夫。
ノーガードだった私は会話の背後を既に取られ、不用意に発した言葉の矛盾点を突かれ、あれよあれよという間に挽回不可能な形勢に。
ダンスをやる前は理系だった夫は意外にもスムーズに、長年の私とのやりとりの中で、完璧な奥義を身に着けておりました。図らずも、の一夫相伝。
「まいりました。ごめんなさい。」
と、詫びながら、やられてしみじみ解る「貴子ロジック」のウザさ。
因果応報とはまさにこのこと也。
勝ち誇っている夫は姿勢良く私を見下ろしていました。
しばし、このモンスターを作ってしまった迂闊な自分に思いを馳せながらも、師匠としては、少しばかり嬉しいアンビバレント。
そして、27歳から34歳という、男性にとっても貴重な期間を私と娘の為に頑張ってくれて、数々の困難(主に私)を自ら成長することで乗り越え、家庭を支えてくれた夫。
そんなことが私の思う
「夫のすごいところ」
なのかもしれません。