ご相談の中で、次のようなご質問をいただくことがあります。
例えば、「今はコンテンツマーケティングの時代だから、良質なコンテンツをたくさん作れば良いんですよね!」というお話。あるいは、「もう2年もブログを続けていて、自分では魅力的なコンテンツを発信しているつもりなのに、ちっともアクセスがないんですよね」というお話。
いずれも共通しているのは、集客にコンテンツが重要なことは理解しつつ、重要なコンテンツとは何か?という視点が抜けていることです。
ここではweb集客において欠かすことのできない、質の高いコンテンツの定義についてお話したいと思います。
質の高いコンテンツとは何か
web集客における質の高いコンテンツとは何か。これは結論から言いますと、次の1点に集約されます。
それは、思わず「役に立った」と誰かに伝えたくなるコンテンツです。
質の高いコンテンツの副次的な効果
・重要な情報があると認知しすぐにページを閉じない
・これは自身にとって重要な情報であると繰り返し見返す
・重要な情報であるためにブックマークして繰り返し訪れる
・他の人にとっても重要な情報であるだろうとSNSでシェアをする
質の高い記事の更なる効果
・認知度の高い(ページランクの高い)サイトから、記事紹介として外部リンクを受ける
質の高いコンテンツの要素例
・ユーザーにとって役に立つ記事をソースとして外部リンクで紹介している
・適切な見出しが配置されている
・文章を読み進めるに最適な画像が配置されている
・その内容を理解するに当たって適切な文章量である
これらについては、Googleが提供している検索エンジン最適化スターターガイドを参照していきましょう。
検索エンジン最適化スターターガイドとは
Googleが公式に提供している、SEOの初心者向け資料です。初心者向けとは言え、SEOで必要な考え方はほぼ網羅されています。もしSEOを全く意識せずコンテンツを発信していた場合、これらを読んで実践するだけでもアクセス状況の改善が可能です。未読の方はぜひ一度お目通しください。
コンテンツイズキングという言葉のまやかし
時流から、しばしば「web集客にとってはコンテンツがもっとも重要である」と語られます。その言葉自体は否定しませんが、言葉にとらわれると本質的な集客の要素を誤解してしまいます。
スターターガイドの一節を見てみましょう。
ここでは、魅力的なサイトは自然に認知が広がると書かれています。重要な点なので繰り返し述べますが、魅力的なサイトは”自然に”認知が広がると書かれている点がポイントです。
重要なのはコンテンツではなく、魅力的なコンテンツ
Googleではクローラーと呼ばれるロボット型のプログラムで、星の数ほどあるwebページを昼夜問わず巡回しています。その中で、大きく次の2点を目的に巡回しています。
1)当該ページをインデックス
あるキーワードで検索された時に、当該のページを表示される
2)検索順位における重み付け
ユーザーにとってより良質と思われるページを上位に表示させる
ここで冒頭の質問に戻ります。
「今はコンテンツマーケティングの時代だから、良質なコンテンツをたくさん作れば良いんですよね!」という質問は、半分は合っていますが、半分は間違っています。正しくは、Googleに良質と判断されるコンテンツを積み重ねるという考え方になります。
「もう5年もブログを続けていて、自分では魅力的なコンテンツを発信しているつもりなのに、ちっともアクセスがないんですよね」という質問への回答も同様です。Googleに良質と判断されるコンテンツを積み重ねていないという答えになります。
質の高いコンテンツにおける現象
スターターガイドの言葉から引用します。
そのような自然発生的な紹介や口コミこそが、ユーザーとGoogleの双方において、サイトの評価を高める要素となります。しかし、自然発生的な紹介や口コミは、サイトに質の高いコンテンツがなければ、そもそも起こりえないものなのです。※赤字は著者
Googleのクローラーは非常に高度な判定性能を有していますが、あくまでプログラムです。個々の文章を読み取ってその良質さを主観で判断するような機能は持ち合わせていません。
では、どのようにしてコンテンツが良質であるか否かを判断しているのか。その大きな要素の一つが、赤字で強調した自然発生的な外部リンクが存在するか?という点です。逆説的に言えば、自然発生的な紹介や口コミが見受けられないページを良質とは判断できない。そう言い切っていると言っても過言ではありません。
つまり、どれだけ自身で良質だと思っていても、外部リンクが一つも付いてない記事には良質であるという判定が成されないのです。同様に良質な判定が成されていない記事をいくら積み重ねても、検索順位は上がりません。
外部リンクの要素判定
では、外部リンクを社内や身内でベタベタと貼ればよいのか?というと、もちろんそんな単純ではありません。例えば次の要素が参照されています。
・所属が異なる多くの人たちからリンクされている
・様々なサイトから引用されている
・良質なサイトから言及されている
コンテンツイズキングという言葉からは、ついコンテンツを作れば集客ができるという思いが生まれます。しかしながら、そこには一定の戦略をもって望まないと骨折り損になってしまう側面があります。
だからこそ、今数多のwebメディアが良質なコンテンツを作れるクリエイターや、良質なコンテンツを編集できるキューレーターを求めています。
SEOはGoogleに向けて行うものではない
ここまで書くと「結局Googleサマサマじゃないですか」という印象を持たれるかもしれません。
確かに考え方によってはそうかもしれませんが、むしろGoogleはよりユーザーが最適なページを見つけられるようにという姿勢で、クローラーの精度向上と判定アルゴリズムの精査に取り組んでいると考えた方が自然です。
Googleとスパムとの戦いの歴史
検索エンジンができて以降、その仕組みは検索順位の上位表示を狙う企業(代行企業含む)とGoogleとの戦いの歴史でした。皆願わくばラクをして、検索エンジンの上位に表示したいと思うわけですね。その為にお金を積んで外部リンクを買う行為が一般的でした。
当然、Googleも黙ってはおらずこのリンクは購入したものと判断できるようクローラーの仕様をブラッシュアップします。すると企業側も、今度は購入と判定されないように自作自演の外部リンク設置テクニックを高めます。そんなの戦いの繰り返しです。
外部リンクの価値とは
今でこそ強力になったスパム判定から外部リンクを買う行為は控えるべきものとなっていますが、上記に述べたように検索順位の重み付けの一つとして、今もって外部リンクは最たる要素の一つです。
それは、これまで共にweb集客に取り組んできたお客さまのアクセス状況を見ても間違いありません。ただ、その判定の要素がより多様性と、自然発生的な流れを意図して汲み取られるものに変わっただけのことです。
つまり以下のような解釈となります。
・検索エンジンで自社を上位表示させたい
・上位表示の大きな要素として外部リンクが重要である
・その為にはGoogleの仕様から良質なコンテンツを作らないといけない
・良質なコンテンツとは自然発生的な外部リンクを集める記事である
・結果、お客さま(見込客)の為になる記事を書かなければいけない
Google恐れるなかれ
Googleという土俵で勝負する以上、Googleの仕様に乗らざるを得ないといけないのは仕方ありません。ただ、Google側も膨大な全世界の利用者がいてこそのサービスです。
そこで検索エンジンの土俵にのる数多のプレーヤーたちに、いかにユーザー視点を持って情報を発信してもらうか?という知恵を練った結果がいまの仕様であるわけです。
SEOはGoogleに向けてではなくユーザーに向けて行う限りは彼らの意向と合致し、仕様変更の都度慌てる必要もないということです。少なくとも過去から現在までの歴史を辿って見る限りは。
良質なコンテンツの考えた方まとめ
さて、長くなりましたがまとめましょう。
冒頭で述べた通り、web集客における質の高いコンテンツの定義とは以下の通りです。
思わず「役に立った」と誰かに伝えたくなるコンテンツ
そして、それはGoogleの視点で見ると以下を指します。
自然発生的な紹介や口コミが発生しているコンテンツ
=良質な外部リンクを集められるコンテンツ
個々の要件については、記事冒頭の質の高いコンテンツの副次的な効果や、質の高いコンテンツの要素例を参照ください。これらについてはまた折を見て記事を書きたいと思います。
web集客においてもっとも大切なことは今も昔も変わりません。それは、自社の魅力の本質を理解し、それを好ましく思うお客さまへと的確に情報を届けるということだけです。この点についてはすべてのweb集客にお悩みの方に書いた、インバウンドマーケティングにお悩みの方へを参照下さい。
皆さまのweb集客にまつわるお悩みが少しでもクリアになれば幸いです。それではまた。