日がな一日コーヒーを飲みながら、Yahoo!知恵袋と発言小町を読み耽る優雅な休日を過ごしていたところ、ふと興味深い質問を目にしました。
飲食店の店長と思われる方の、「SEOにおいてライバル店のあの手法はズルくないのか(プライドはないのか?)」といった趣旨の質問です。
ローカルビジネスを営む飲食店やサービス店舗の方であれば、少なからず同じ悩みを抱えているかもしれません。実はこの問題は店舗に限らず、流行りのwebサービスを営む企業でも目にするものです。
今回はこの質問とともに、ビジネスにおけるSEOについて一緒に考えていきたいと思います。
質問内容
まずは、知恵袋内での質問を確認してみましょう。
たとえば渋谷でカフェのサイトを作っていたとして、「渋谷 カフェ」の検索で一位になりたいとします。しかしながら現在の一位は「渋谷カフェ」という、そのものズバリな店名のホームページだとします。
さらに悪いことに「渋谷 カフェ」の検索で
⇒「渋谷カフェ」の検索
と勝手に判断されるようで、グーグルなどでは、その渋谷カフェの詳細情報まで、地図情報として添えられる始末です。
これがたとえば「渋谷 レストラン」であれば、その地図に、渋谷のレストラン情報一覧が出るところなのですが(「渋谷レストラン」という店名が存在しない場合)…。固有名詞がある場合、そちらの店舗情報だけしか、地図に表示されないようです。
この状況を打破する方法はありますでしょうか?
すなわち「検索名を店名ズバリにする」というアレな方法に対抗する方法はあるものでしょうか?
※太字は筆者
SEOにおける大原則
ご存知の方も多いと思いますが、SEOにおける大原則は検索されるキーワードをページタイトルに加えることです。
今回の例で言えばライバル店が「渋谷 カフェ」と検索するユーザーが多いことを見越して店名を「渋谷カフェ」にしたため、SEOで上位を押さえられてしまった。その手法はズルくないのか?という趣旨のご質問ですね。
これはもう戦略の問題なので、SEOの観点だけで見れば花丸二重丸のやり方です。実際にこうした意図で店名やドメイン名を決めるケースは0ではありません。
どうせやるなら、ドメインもきっちり押さえたいところですね。「渋谷 カフェ」の検索以外に「渋谷 cafe」もあるでしょうし、「shibuya cafe」も少なからずあるでしょう。
<参考>
店名:渋谷カフェ
ドメイン:http://shibuya.cafe
実際に.cafeドメインは先行予約が始まっており取得は早い者勝ちです。
お名前.com │ https://www.onamae.com/newgtld/entry/
ブランドを取るかSEOを取るか
こうした手法がずるいかずるくないかで言えば、特別ずるいとは思えません。強いて言えば予め知識として持っていなければ取れないことなので、知っていたのか知らなかったのかという点でしょうか。ただ、ビジネスとして考えた時には別の問題があります。
社名や店名、サービス名。それらを付ける際は、大なり小なり想いを込めて命名されるでしょう。仮に僕が脱サラして渋谷にカフェを作るとして、人生を掛けた勝負をする店名に「渋谷カフェ」と名付けられるでしょうか。恐らく難しいと思います。
そして、この問題はそれなりに名の通った企業がwebサービスを立ち上げる際も同様です。
マーケティング調査を行い、ブルーオーシャンという程ではないものの一定の余白がある。押さえるべきキーワードや広告戦略も立てている。といった状況で、サイトのコピーやブランディングの方向性と想いがぶつかるケースがあります。
実際にサイトの名付け親となる方とSEO戦略を行う方はまず別です。両社が同じ想いであれば良いのですが、人間の「やっぱりどっちか選ぶならイケてるサイト名(オレ的サイト名)や、キャッチ(オレ的コピー)が良いよね」欲は実に抗いにくいものです。
革新的な技術や、飛び抜けて素敵なデザインのサイトが集客に失敗する裏にはこんな場面もあります。
店長へ伝えたいこと
もしも件の店長さんに直接声を掛けられるなら、僕はこんな言葉を掛けるでしょう。
「店長、仮にこの話をすべて事前に知っていたとして店名を渋谷カフェにされましたか?もし店名にそこまで想い入れがないのであれば良いと思います。
ですが、もし今の店名に愛着があるのであれば、検索順位で渋谷カフェに負けることが大きな問題だとは思いません。それよりも店長が想いを込めた店名、場所、メニュー、什器、そうした全てを一つひとつ確実に伝える方法を考えていきませんか。
それは店長だけが作れるコンテンツで、その想いを届けるべき人もまた店長だけが知るのですから他の誰も真似のしようがありません。」