日がな一日ネットを見て過ごすのは紳士の嗜みとして当然ですが、一押しのサイトは?と聞かれると時々で答えが変わります。最近では野村證券の用語解説集に注目が集まっていますね。
用語集と言えばSEO対策の一貫で、箸にも棒にもかからない企業ページも少なくありません。しかし、そこは野村證券。一味違います。ニコニコ動画に負けずとも劣らない用語解説能力の高さをご紹介します。
往って来い(いってこい)
分類:相場・格言・由来
相場がある水準まで上がった後に、もとの水準まで下がること。あるいは逆に、相場がある水準まで下がった後に、もとの水準まで上がること。
イナゴ投資家(いなごとうしか)
分類:証券市場
短期で材料株の回転売買を繰り返す個人投資家のこと。イナゴ投資家の短期売買によって作り出されたチャート形状は「イナゴタワー」と呼ばれている。
委任状闘争(いにんじょうとうそう)
分類:会社・経営
株主総会の議案について、会社提案を否決させるため、または株主が会社提案と異なる議案を提案し(株主提案)、株主提案を可決させるために、株主総会における賛成票獲得を目指して委任状の取得を会社の経営陣と争うことを委任状争奪戦という。
「あ行」だけでお腹いっぱいになる濃さがありますね(笑)
ところで、今日の本題はSNSの古豪MySpaceについてです。実はこのMySpace、現在はMyspaceに表記を改め、ユニークビジター数が昨年同月比(2013年11月)で469%の大規模伸長を見せたことで、米国で大きな話題になりました。
古豪SNSの復活。伸長率469%
論より証拠ということで、まずはデータを見てみましょう。
出典:The digital media comeback story of last year? Myspace│QUARTZ
ご覧の通りユニークビジター総数が昨年同月比で469%の伸長を見せています。ビジター総数こそ大手SNSに劣るものの、その伸び率は驚異的です。まして新興サービスではなく皆さんご存知の古豪です。Myspaceに一体なにがあったのでしょうか。
Myspace復活における2つの経緯
データを紹介しているQUARTZで、Myspace再起の理由に動画コンテンツの再生数が触れられています。しかし、それは結果であって原因ではないでしょう。近年のMyspaceには大きな動きが2つありました。
ジャスティン・ティンバーレイクの資本参加
2011年にジャスティン・ティンバーレイクがMySpaceへの資本参加を表明した際、米国で話題になると共に、日本ではその意味合いを懸念視する声が多かったように思います。当時この話題を取り上げたMTV Newsに印象的なフレーズが残っています。
ジャスティンはクリエイティブ・ディレクターとしてMySpaceの再活性化に挑むといい、次のようなコメントを発表している。
「ファンが大好きなエンターテイナーと交流できたり、音楽を聴いたり、ビデオを観たり、クールなものを共有・発見したり、ただつながったりできる場所。そんな場所への需要があるんだ。MySpaceはそんな場所になれる可能性を秘めている。アートは人にインスパイアされるものだし、その逆も同じ。だからエンタテインメントには、うってつけの社交の要素があるんだ。そのソーシャル・メディア・プラットフォームを使って、アーティストとファンを1つのコミュニティに呼び集めることにより、MySpaceの再活性化をお手伝いすることを楽しみにしている」
MySpaceは現在、毎月約1億人のユーザが利用しているとのこと。Specific Media社の共同創始者ティム・ヴァンダーフック氏は、同サイトが「もともとあるべき姿」に戻ることができると確信しているという。
※太字は筆者
デザイン面を中心にしたフルリニューアル
2013年夏、MySpaceは表記をMyspaceに変更すると共にデザインを刷新しました。ピンタレストを思わすタイル状のインターフェースは、一見現代のトレンドに合わせたデザインに映ります。しかし、これは彼らが原点に立ち返ったことを示すものでした。Myspaceは音楽を愛する人のためのサイトである。音楽を知りたいユーザーと、音楽を伝えたいアーティストとのコミュニティであるという意思表示です。
実際に新しいMyspaceのデザインはシンプルです。音楽、動画、あるいはアーティストを切り口に、純粋に音楽を聞いたり、新しい音楽を知りたい人から、コミュニケーションを取りたい人まで明確に動線を切り分けています。
成功の要因は決して一つではありません。しかし、少なくとも自分たちのサービスの存在意義に立ち返ろうとした点において、我々も見習うものが多いのではないでしょうか。
SNSの舵取りとユーザーの高齢化
大規模に流行したSNSの衰退はユーザーが年齢を重ねると共に起こります。それは若かりし頃の彼らの感性を取るのか、今の彼らの感性と合わせて進むのかという問題です。LINEでいえば方針は前者ですし、Facebookでいえば後者に合わせて舵を取っています。
奇しくもこれはミュージシャンの歩む道と重なります。あの頃CDが擦り切れるくらい聞いたのに、今はちっとも心に響かない。そんな思い出のミュージシャンは誰にでもいるのではないでしょうか。
ところで2009年にMySpace復活のために必要な10のことと題したブログを書かれた、昨今話題の経営者がいます。gumiの国光宏尚社長です。
圧倒的なFacebookの勢いの前に青色吐息のMySpace。
次のCEO候補の1人MahaloのJason CalacanisがブログでMySpace復活のために必要な10のこと を発表した。
1、検索エンジンを買収する
2、Facebookに負けているのを認めて、モバイルに注力
3、世界戦略を強める
4、プラットフォームを整備する
5、ゲームプラットームを築き上げる
6、MySpaceマネーを導入数
7、本格的E-mailサービスの導入
8、サイトの進捗に対するスペシャルボーナスを新経営陣に与える
9、CEOがもっと存在感をだす
10、人気コンテンツを集めたネットワークを構築する要するにモバゲーを目指せということらしいですw
氏が訳された10ヶ条を振り返りつつ、これにて。