暑い日が続きますね。台風が過ぎれば、梅雨あけです。夏を楽しむ大人に欠かせないのが「ビール」!ですよね…?
ビール「キリン一番搾り」のTwitterキャンペーンがステキなので、PR事例として解説してみます。キャンペーンに参加するもよし、自社のPRに活かすもよし。お好みで、お役立てください。
「キリン一番搾り」キャンペーンの設計図
2015年夏のキリン一番搾りのPRキャンペーンは、とっても秀逸。PR活動のお手本にしたい要素が盛りだくさんです。というのも、Twitterと連携したキャンペーンを入り口にして、リアルな購買につなげるための導線が、キレイに描かれているのです。
さらに、キリンの購買を増やすためのキャペーンで終わっていないところがステキ。ビール自体の啓蒙普及までおこなっているんです。具体的に解説していきますね。
今季のキリン一番搾りの、WebでのPR施策を中心としたキャンペーン導線設計はこんな感じです。
Twitterを入り口に、キャンペーンの特設サイト1(ランディングページ=LP)へ導きます。LP1とLP2では、それぞれ違うキャンペーンが開催されているんです。
「キリン一番搾り」2つのキャンペーン
まずは、2つのキャンペーン内容をご紹介しますね。
「#一番搾りグラス」キャンペーン(LP1)
LP1では、Twitterと連動してキャンペーンを展開しています。
一番搾りをおいしく飲むために5つの違ったカタチのグラスがあるのですが、その中で、あなたのお気に入りに投票するというのが「#一番搾りグラス」キャンペーンの内容です。Twitterにログインして、投稿することで投票できます。
プレゼントとしては、抽選で1ケース24本入り(350ml)が100名に当たります。
一番搾りオリジナル“嵐グラス”プレゼントキャンペーン(LP2)
LP2で展開しているのが、“嵐グラス”プレゼントキャンペーンです。
LP1の「#一番搾りグラス」キャンペーンで紹介している5つのグラスは、実は1つ1つが、各嵐(ジャニーズ事務所)メンバーのおすすめグラスなんです。抽選にて、このグラス5個セットまたは国産牛セットがそれぞれ6000名に当たるというのが、キャンペーン内容。
こちらは、実際の購買によって応募することができます。ビールについているシールを集めてハガキで応募するのです。
2つのキャンペーンのPRポイント
次に、図の中の「☆=PR事例としてのポイント」を詳しくみてみましょう!
☆1 ユーザーにも企業にも優しい!Twitterキャンペーン
「#一番搾りグラス」キャンペーンに参加するためには、Twitterアカウントにログインし、グラスを選んで投票する必要があります。LP1で投票したいグラスを選んだら、Twitter投稿前に「#一番搾りグラス」と明記してあるテキストのフォーマットが出てくるので、そのまま投稿してしまえばOK。
#(=ハッシュタグ)をつけていることで、「#一番搾りグラス」と記載して投稿したTwitterユーザーの一覧を見ることができます。
ユーザー側としては、Webフォームやハガキから応募するよりも、格段にカンタンに応募できるので嬉しいですよね。企業側としては、ハガキなどの確認や処理をしなくていいし、個人情報の取り扱いもラク。
Twitterを使えば、双方にとってキャンペーンのハードルが格段に下がってしまうんですね!
自動的にハッシュダグのついた投稿テキストのフォーマットを生成するシステムを作れない中小企業でも、「#◯◯◯◯」とつぶやいてくれたらプレゼント!というようなTwitter完結型のキャンペーンを開催することはできますよね。PR活動の1つとして、ぜひ検討してみてください。
みなさんにご投票いただいた、5つのグラスのランキング途中経過を発表! 第1位は…「のどごしが一番」のグラス! 投票したグラスは応募すると当たる!?→ http://t.co/qWqdTiGYnl #一番搾りグラス pic.twitter.com/XwyEfWGfMp
— キリンビール / KIRIN BEER (@Kirin_Brewery) 2015, 7月 13
☆2 コンテンツを使い回してわかりやすく!動画の埋め込み
LP1の中に動画を埋め込んでいるというのも、上手なPRポイントです。キャンペーン内容を文字と写真だけで書いておくよりも、動画をみてもらったほうがわかりやすいからです。
ユーザーに役立つ情報を、よりわかりやすく伝えるというのは、PRに不可欠の視点です。
ここでは、もともとテレビCM用の「広告」としての動画を、Web動画としてサイトで公開しています。それによって、1つの動画に広告だけでなく「Webマーケティング施策」としての機能も持たせています。この動画はテレビCMをアップしたものなので、余分な制作費はかかっていません。
1つの資源をいかに複数の場で利用するかというのは、マーケティング担当者やPR担当者がつねに考えたい部ですよね。
YouTubeアカウントを使用しているようですが、嵐を起用しているためキリンの公式YouTubeアカウントには、動画が公開されていません。ジャニーズの画像や動画の使用には制限があるためだと思われます。
みなさんが同じようにLPに動画を埋め込むなら、YouTubeアカウントでも公開したものをサイトにも使いましょう。そうすれば、TwitterユーザーだけでなくYouTubeユーザーからのリーチも見込めます。YouTubeは、日本では、動画サービスの中で最もユーザー数の多いので、おすすめです。
☆3 ライフスタイル提案がPRの極意!動画のストーリー
もっとも重要なPRポイントが動画の中身です。広告動画でありながら、かなりPR視点で作られた動画だと感じます。その理由は、この動画のストーリーにあります。
この動画の内容は、嵐のメンバーがそれぞれ違ったカタチの5つのグラスを使って、一番搾りを飲み比べるというもの。「グラスのカタチが違うだけで、同じビールでも味が変わるんだ!」と嵐がおどろいている動画なんです。
ビールの味がグラスで変わる。つまり、これって、ビールの新しい楽しみ方を提示している動画なのです!
いわば、新しいライフスタイルの提案。
世の中に新しいライフスタイルをもたらすというのは、PRにおいてとても大切にされるポイント。少しの工夫で、人々の生活を、より豊かなものにするというのは、世界中でPRに求められている使命なんです。
ライフスタイルを提案することで、ビール自体の啓蒙になっているので、業界を活性化させることにもなりますよね。
もう1つ、これは明白ですが、嵐を起用しているのもステキなポイントですね!
ビールに興味のなかった人たちに向けて情報発信することができます。成人したファンは、どうせビールを買うとなれば一番搾りを買うでしょうし、未成年のファンは両親がビールを買うときに一番搾りをすすめるでしょう。
☆4 ファンから顧客へ、徹底設計!購買を伴うキャンペーン
最後に重要なのが、LP2でおこなっている一番搾りオリジナル“嵐グラス”プレゼントキャンペーン。
Twitter×LP1でおこなっている「#一番搾りグラス」キャンペーンだけでは、実際の購買にはつながらない場合が多いでしょう。買わなくてもつぶやくことで参加できるキャンペーンなので、こちらは認知拡大がゴールです。
一方、一番搾りオリジナル“嵐グラス”プレゼントキャンペーンに参加するには、実際にビールを買ってシールを集めなければなりません。
そもそも応募の意欲がなかったユーザーも、1つめのTwitter連動型キャンペーンで、気に入ったグラスを投票したことで、2つめのキャンペーンにも参加しやすくなります。「どのグラスに投票しよう?」「どのグラスが、よりおいしくビールを飲めるんだろう?」と悩んだユーザーの中には、そのグラスを欲しくなってしまう人が多いはずだからです。
自社のPRにも取り入れよう
このように、どのツールを使うとしても、しっかり設計することがPRやマーケティング活動を成功させる秘訣なのです。
Webの施策とリアルの施策をわけて考えるのはもったいない!オンラインとオフラインを連携して成果につなげてください。(これをオンラインtoオフライン=O2Oと言ったりします)
さらに、それぞれにおいて認知を広める施策、ファン化させる施策、顧客化の施策の3つを意識して、役割分担させることも大切ですね。
予算の問題で、ここまで大々的なキャンペーンをスムーズにおこなえない場合でも、少しずつ順番に展開していけば、大きな成果につなげることができます。
いかがですか?PR戦略を考えるのって、楽しい!と思っていただければ嬉しいです。