酒と泪と女と女

「挙動不審な男たち」への対処法

この件は、婚活結社魔女のサバトでも度々シェアし、他の女性座談会でも、個人的な恋愛相談でも頻繁に相談されるので、今回取り上げてみました。

「挙動不審な男」とは、本来使われる意味ではなく、「好意があるのかないのか」を解りかねる男達の事です。

 

前回のデートでは猛烈に口説いてきたのに、それ以来音沙汰無い。

メールでは好意がありそうなのに食事には誘ってこない。

こちらから誘えば軽いフットワークでついてくるが、意思表示は無い。

 

好きなのか嫌いなのかはっきりしてくれ!つきあうのかつきあわないのかどっちだ!というタイプの男達の大群が、どうやらアラサ―恋愛市場でぶんぶん飛んでるらしい。

 

彼らがやっかいなのは、数多のヤリチンやコントロールフリークとは違い、「惚れさせよう」とか「体目的」というような作為が見受けられないところです。そして、非モテでも無ければ仕事ができない訳でもないという一見まともな男だからこそ、そのピンポンダッシュぶりに女達は困惑します。

 

当然、「元カノとよりが戻ったから急にシフトチェンジした。」というケースも中には混在しているでしょうが、殆どのケースがどうやらそうでもないらしいし、彼女に対して好意もあるらしい。

そこで、何人かのぶんぶん男性にヒヤリングさせてもらい、女性達の報告と照らし合わせ、彼らの生態を以下のようにまとめてみました。

 

 

シングルタスク型

仕事が忙しくなったり、家族の問題を抱えていたりすると恋愛脳が停止する人達。彼らの捌けるタスクはただ一つ。その仕事が片付かない限り、その問題が解決しない限り、恋愛という「不確定要素の高い人間関係の構築」に取り組むキャパは余っていない。友人として食事に行くのは可。何故ならそんなに精神的な負荷がかからないから!

 

ピンポンダッシュ求愛型

女達からすると「あの程度の事」なのに、自分の気持ちは伝えたつもりになっている男達。本人としては、前回の食事中「○○さんってかわいいよね。もてるでしょ。」と言ったから、もう気持ちは伝わっている筈と思い込んでいる。だから、後は彼女のアクション待機中。来ないならご縁が無かったんだと納得できるスキルを強固に保持。しばらくすると他の女性にピンポンダッシュ。

 

イニシアティブ回避型

決定的な権限は女性に委ねたいと思っている男達。元々の性質か過去の恋愛のトラウマか、「自分から動くと良い事にならない。」という根強い信仰を持っている。「どっちでもいいよ。」「あなたの好きな方でいいよ。」が口癖。こだわりも少なく、批判も断りもしない。旅行も食事も誘われればフットワーク軽く付いてくるが、自分から企画したり、誘ったりはしない。比較的容姿に恵まれており、女性に不自由しなかった男性に多く見受けられる。

 

迷走型

自分の価値基準や好みがはっきりしていないので、「好き!」「いや、好きじゃないかもしれない。」を自分の中で行ったり来たりしている男達。過去、女性との付き合いで何度か「俺、間違えた。」を経験。迷走中は電話もメール返信もおざなりになり、仕事や趣味に逃避して彼女候補を放置。その後激怒されたり、振られたりして振り出しに戻る。

 

社会重視型

仕事関係者や友人の紹介だったりする場合、何かもめるくらいならこのままの方がいいかもしれないと逡巡している男達。恋愛関係に失敗して、自分のテリトリー内に悪い噂を立てられるのが何より面倒。かといって、積極的にテリトリー以外の出会いも求めていない。縄張り意識は強いが恋愛に対しては至って淡泊。

 

勝手にまとめておいて何ですが、書いていて今のアラサ―女性達は本当に大変だと思いました。現在43歳の私が若い頃、恋愛市場でこんな解りづらい奇行をお見舞いしてくる男性は殆ど生息していなかったからです。

私が20代後半ぐらいの時、恋愛対象の男性は自分の5歳~10歳年上で、(現在ではアラフィフの男性達)彼らは本当に、清々しいほど解りやすい生き物でございました。口説くときは徹底的に口説くし、「間違えたかも」と思ったら徹底的に友達扱いする。女性として好きか嫌いか、つきあいたいかつきあいたくないかがある種無情な程ダダ漏れだったものです。だから女性達も脈が無ければ次に行くというジャッジを自分に課すことができた。

 

ところが、気がありそうなのに???な男性達に対しては、いたずらに恋心だけ刺激され、はっきりしない関係のまま次にいく事もできない。中には、彼女と二人きりで食事するのが定例になっていて、尚且つ「今度はいつ?楽しみにしてるね。」というメールをいつも送ってきやがるのに、1年間何もアクションを起こさないという強者男性もいて、おばさんほんとびっくりですわ。

と、びっくりしていたら言われました。ヒヤリングした独身男性の内の一人に。

 

「ゆるく、つながっていたいんですよ。」

 

と。

その言葉を聞いたとき、恋愛の先の結婚とか、人間関係を壊してしまう恐れとか、そもそも余裕ないぐらい忙しいとか、現代の独身男性が「責任」に対して二の足を踏む原因が透けて見える気がしました。終身雇用も年功序列も終わり、男達が根拠なき自信を持てなくなった事もあるし、そもそも、恋愛能動系なアラフィフ男性とは、世の中が「わっしょい!わっしょい!」と浮かれていたバブルという時代に若者として育まれた世代。土壌が違えば色も形も変わるのが自然の摂理。新種だって生まれるわけです。

 

これはもう、女達も進化しないとカップリングは難しそうです。

我々女性の圧倒的大多数は、かぐや姫でもなければ堀北真希ちゃんでもない。そして、独身男性の大多数も、真希ちゃんを口説き落とした俳優のような自己肯定感を保持していないのです。

 

つきあいたいと思う男性だったら、「私と付き合ってくれませんか?」と言えばいい。

連絡が取れなくなったら「どうしたの?」と聞けばいい。

「今忙しくて。」と言われたら、放置してしばらくしてから連絡してみればいい。

何かひっかかっていそうなら、「今、何か不安な事ある?」と聞いてみればいい。

 

「確認」のイニシアティブは女性の方が取ればいいのです。

 

それが事実上女性からの告白になろうと、男女の付き合うきっかけなど本来大したことではありません。女性からの告白でラブラブ夫婦になったカップルは何組もおります。また、結果的に「お付き合いは無理」ということが解ったら解ったで、もやもやした期間を引き延ばさずに済むわけです。

 

訳の分からない、挙動不審な男性に出会って気になってしまったら、感情的にならずフラットな質問力で対応致しましょう。そして、ご縁が無いと解ったら、執着しないでリリース。「早く解らせてくれてありがとう。あなたも素敵な人が見つかるといいね。」と笑顔でさようならを。

将来経験するかもしれない「子育て」の練習と思って、是非トライしてみてください。

 

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川崎貴子

リントス株式会社代表。経営者歴21年。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女のプロ」の異名を取る。プライベートではベンチャー経営者と結婚するも離婚。8歳年下のダンサーと2008年に再婚。12歳と5歳の娘を持つワーキングマザーでもある。著書に『私たちが仕事をやめてはいけない57の理由』(大和書房)、『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(ベストセラーズ)、『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(総合法令出版)、二村ヒトシとの共著に『モテと非モテの境界線 AV監督と女社長の恋愛相談』(講談社)等がある。

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