「録音スタジオやホールの選び方がわからない。」この質問をよくお受けします。録音場所の選定は、音へのこだわりと予算が絡む大きな問題です。自分のイメージにあった録音場所はどうやって選べばよいでしょうか。
まずは使用したことのある場所を考える
録音する場所を選ぶ際には、まずこれまでにコンサートなどで使用した会場を候補に挙げてみましょう。
音の広がりはどうだったか。常駐のスタッフはいたのか。
いろいろと着目点はありますが、ここは演奏しやすかった、というあなたの直感を信じましょう。
次にその施設へ、録音が可能かどうか直接問い合わせてみます。
オーケストラのコンサートを行うような広いホールであれば、まず録音は可能でしょう。
また、ホールによっては、空き日程を低価格で提供してくれる場合もありますので、日程が合えばかなりお得です。
しかし、録音エンジニアを別途手配する必要がある場所が多いことに注意が必要です。
録音機材の持ち込みなど、エンジニア費用以外の料金も考慮します。
スタジオ選びの重要なポイントとは
次にスタジオを探してみましょう。
この際に最も重要なのは、「どんな音がとれるスタジオか」ということです。
ロックやポップスなどの録音と、クラシックの録音が決定的に違うのは「別撮りをしない」ことにあります。
楽器が何種類あろうと、演奏者が何人いようと、演奏は同時、録音も同時です。
ですから、スタジオの中でそれぞれの楽器が響き合う音、残響や倍音もそのまま扱うことになります。
これはスタジオの内装に大きく左右され、仕上がりを決める重要な要素となります。
エンジニアの技術ももちろん大切ですが、まずは取れた素材が良くなければ、良いものに仕上がりません。
スタジオを選ぶことは、楽曲を決めることと同レベルで重要なのです。
録音場所を決めるために、あなたが今すぐできること
どのスタジオでどんな音がとれるか、それをどのように確かめればよいでしょうか。
まずは、あなたの所蔵するCDの中で、自分が作ろうとしている楽器の編成に近いものを見てみましょう。
ほとんどのアルバムのブックレットには、録音日とその場所、プロデューサーやエンジニアが記載されています。
その中に音の気に入ったCDがあれば、それと同じ場所が使えないか、問い合わせることが一番です。時間貸しを行っているスタジオであれば、ウェブサイトに料金設定も公開されています。
また、音の気に入ったCDを見つけることは、スタジオ選定に使うだけではありません。
こういう雰囲気の音が欲しいと、エンジニアに言葉で説明をするのは至難の技。それよりも例としてCDを渡したほうがいいですよね。これを参考に、エンジニアはマイク位置を調整したり、編集作業の参考にすることもできるのです。
さて最後に、演奏家のネットワークで録音場所の紹介をしてもらう場合はどうでしょう。
この時に、あなたが気をつけることはただ一つ。
「使って良かったと思うスタジオはどこですか?」とだけ聞くことです。
なぜかって?
それはまた別の機会に。