昨年にくらべて選考解禁が前倒しになり、新卒採用まっただなかの人事担当者も多いのではないでしょうか。そもそも、なぜ時間とお金と手間をかけて新卒採用をするのでしょうか?それはどんな企業でも考える、「企業文化の醸成をどのようにしていくか」に他ならないと思います。
自社で大切にされている価値観の再認識ができる
では、企業文化の醸成とはいったいどういう意味でしょうか?とても分かりやすくいうと、自社でこだわっているポイントを再認識により、メンバーが同じ目線を持つことで社内基盤の強化に繋がる事と言えるでしょう。
新卒社員というポテンシャルでしか判断できない選考をを行うにあたって、採用要件を10個も20個も求めるわけにいきません。そこでしぼりに絞り込んで、せいぜい3つとか、多くても5つぐらいのマスト条件を決めていきます。その時に自社で本当に求めている、もしくここはさえクリアしていればあとは研修で育てられる!という点が明確になってきます。
この作業により、中途入社社員や社歴が長いメンバーでも、日々の仕事の中で忘れてしまいがちだった、「自社が本当に大切にしている価値観」の再認識ができます。それは、「自ら進んでインプットする姿勢」だったり、「トライしてから考える」という、企業文化に深く根付いているものが多いです。
新卒採用は、人事担当者以外にも社内を巻き込んで行う場合が多いので、各セクションのメンバーにも刺激になる部分が大いにあるのでしょう。
既存メンバーに成長をもたらす絶好の機会である
「教わる方より教える方が勉強になる」とよく言われますが、これはまさしくその通りです。自社の社員でありながら会社のことをほぼ何も知らない、ましてや社会人経験のない新卒に物事を教えていくには、それなりに根気のいる仕事です。
そこで何をどういう順番で伝えるか、出来ていないことに対してどういう言い方をしたらモチベーションを下げずに伝えられるかを先輩社員は必死に考えます。
これこそがその人自身の成長につながり、新卒社員は先輩が考え抜いて教えてくれたことを純粋に吸収していく良い循環が生まれます。ここでもまた、新卒社員と先輩社員のコミュニケーションによって社内の結束が強まり、ひいては会社の成長へとつながっていきます。
新卒採用はチャレンジする価値がある
新卒採用は人事担当者はもちろん、関わったメンバーにとっても大きな経験となります。
わたし自身の経験になりますが、それまで新卒を受け入れていなかった部署で、初めて新卒採用を行った時のことです。現場のリーダーを教育担当に任命して、しばらく研修を任せていたところ研修最終日には、このような感想をもらうことがありました。
「これからも新卒に選んでもらえるような会社にしていきたい」
新卒への研修を通して先輩社員にも大きな成長があったのだと思います。
自社には新卒採用はまだ早い、と思う採用担当者のみなさまにもぜひチャレンジして頂き、会社基盤の強化につながる役割の一端を担って、人事の醍醐味を感じてほしいと思います。