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【編集者インタビュー】佐藤聖一さん(朝日新聞出版)「一流店での美しい所作には、仕事&人生をさらに充実させる手がかりが!」

書籍づくりの現場ではどのような作業が行われているのか。実際に本を出版した著者と、その担当編集者のインタビューを公開します。企画の経緯から執筆・編集・デザイン・売り方まで、生の声をお届けします。

 

書籍:仕事ができる人は店での「所作」も美しい

仕事ができる人は店での「所作」も美しい 一流とつき合うための41のヒント
北村 森
朝日新聞出版 (2015-05-20)
売り上げランキング: 21,835

あなたの評価は、会社の外で決まる。いい店・宿の見つけ方、常連への第一歩、老舗での振る舞い方、スマートな支払いの仕方、上手な誘い方・断り方・帰り方……。元「日経トレンディ」編集長で、国内外の名店・老舗を20年以上訪ね続ける著者が教える、いまさら聞けない、でも知らないと恥ずかしい、飲食店・バー・ホテル・旅館での振る舞いの勘どころとは?仕事と人生を充実させる異色のビジネス書。

編集者:佐藤聖一さん(朝日新聞出版)

 

 

 

───最初に本書の企画書をご覧になって、どんな感想をお持ちになりましたか?また、どんな部分が書籍の企画として魅力的だと感じられ、出版しようと思われたのでしょうか?

 

佐藤聖一さん(以下、敬称略):企画書の原題だった「今さら聞けない 40歳からの大人の男養成講座」という仮タイトルから、当時のビジネス書の時流に合った本にできそうだと思いました。

魅力的だった点は、2つあります。ひとつは、著者の北村さんの「日経トレンディ」(日経BP社)編集長を務められ、20年以上、国内外の名店や老舗を訪ねられているというご経歴。

もうひとつは、構成案で列挙されていた項目案に、非常に興味をそそられたという点です。私自身、40歳を手前にした読者対象にズバリだったので、素直に読みたいと思ったことも大きかったです。

 

───なるほど。そんなご経歴をお持ちの著者・北村さんと実際にお仕事されてみて、印象はいかがでしたでしょうか?

 

佐藤:北村さんのお名前は存じ上げていましたし、正直、豪放磊落な敏腕編集長をイメージして、内心びくびくしていたのですが、実際打ち合わせでお会いすると、私のような若輩の編集者にもとても繊細な気配りをしてくださる方でした。

その後も、全国を飛び回られるなかで、移動中の車内やホテルから少しずつ原稿を送ってくださり、真摯に執筆に取り組んでいただきました。

いただいた原稿も加えたのは見出しぐらいでほとんどそのまま使わせていただけるような緻密さと、エピソードの面白さはもちろん、読み手を飽きさせないバラエティーに富んだ文体でスムーズに進行できました。

 

───本書タイトルにもありますように、「仕事ができる人」=「店やホテルで過ごす場面での所作が美しい」と思われたエピソードがあれば教えてください。

 

佐藤:お店全体を見渡して動ける方は、仕事もできる印象があります。たとえば、お店が混んできて席を詰めれば座れるという状況のときに、後から来る団体客も座れるように、席をさっと移動してくれるお客さんは、お仕事でも全体が見渡せて、即座に行動できる人なのだろうな、と思います。

行列店ほど、自分の番が回ってきて座れたら長居したいという人情もわかりますが、優れた工場では後工程が楽になるように全員が動く、というように、店員さんや後のお客さんのことを考えて動く。

結果として、そのお店の良質なサービスを皆で享受できることにつながると思います。

 

───本書には一流と付き合うための41のヒントとして、お店の選び方、予約の仕方、服装、お店の入り方、食べ方などにおける、マナーや気遣いがわかりやすく紹介されていました。

そのなかで、佐藤さんがすぐに実践したことや、実践してビジネスに活かせたことは何でしょうか?

 

佐藤:「出された料理はすぐに食べる」ですね。恥ずかしながら、私はもともと早食いなので、免罪符をいただけたような気がしました(笑)。料理の鮮度が一番高いときに美味しくいただくということは、仕事でもメールや依頼に即座に応えるということにつながると思います。仕事をお願いするほうも、その瞬間が一番意識は高まっているわけですから、そこで即座に反応することは、その仕事のクオリティーを引き上げると思います。

 

───本書はどのような方に読んでもらいたいと思われますか?

 

佐藤:高級店なんてあまり行かない、という人にこそ読んでいただきたいと思います。お店というのは、いろいろな世代や職業の方が集まる場ですし、サービスを提供する側とされる側のビジネスの現場でもあります。そうした場で、人生や仕事に役立つことを学ぶヒントがたくさん載っています。

 

───本書の制作にあたって、何か苦労されたことはありますか?

また、著者の北村さんに、執筆前や執筆中にアドバイスされたことがあれば教えてください。

 

佐藤:苦労というほどのことはなかったのですが、北村さんが大変お忙しい方なので、原稿の催促は、エージェントにもご協力いただきながら、マメにさせていただきました。

あとは、ベンチマークとして類書をお渡しして、ご執筆前に読んでいただいたぐらいです。

 

───タイトルや構成、表紙のデザインなど、類書と差別化するために工夫されたことを教えてください。

 

佐藤:「一流の男の~」というようなタイトルは増えていたので、違いが出せるようなものを選びました。

カバーデザインは、「お店」が主役の本なので、北村さんからご提案いただき、銀座の名店「鮨 水谷」で特別に撮影をさせていただきました。

写っているのは、ご主人とモデルをお願いしたエージェントの宮原さんです(笑)。読者に「自分にも手が届きそうだ」と思っていただける雰囲気をうまくつくっていただけたと思います。

 

───普段企画を考える際、どんなことを大事にされていますか? また、今後手がけてみたいテーマがあれば、教えてください。

 

佐藤:「この本を買えば人生が変わるかも」と思っていただけるような高揚感と、内容を見て「自分にもできそうだ」と思わせる再現性ですね。

ベストセラーも参考にしますが、それをどれだけ超えているかということも大事だと思います。

上記の2点が少しでも感じられる企画なら、どんなテーマでも手がけてみたいと思います。

 

───「一緒に本をつくってみたい」と思う著者はどんな人物ですか?

逆に、「こんな著者とは一緒につくりたくない」と思うのは、どんな人物ですか?

 

佐藤:そのテーマのオタクの著者ですね。もちろん、大きな括りでの第一人者になることは難しいと思いますが、たとえば、建築という分野でも世界中の国立競技場に関しては誰よりも詳しい、というようなカテゴリーナンバーワンの人がビジネス書では強いと思います。

それは単に知識量や実績というだけでなく、読者への伝え方がユニークかつ実用的ということでもいいと思います。

逆に難しいなと思うのは、本へのこだわりが強すぎる方でしょうか。本は、著者・デザイナー・印刷所・書店・出版社・編集者の共同作業なので、「自分はこう思うけど、最終的には編集者に任せる」というスタンスの方のほうが、最終的にはいい結果を得ていると思います。

 

───本作りにエージェントが関わることのメリットにはどのようなことがあると思われますか?

 

佐藤:ある時は著者のマネジャーとして、ある時は第二編集者として、協力をしてくれるエージェントは、とてもありがたい存在です。ビジネス書は特に著者と編集者だけでなく、いろいろな人の価値観やアイデアがあったほうが訴求力のある商品になると思います。

 

───最後に、ビジネス書作家を目指すメルマガ読者のみなさまにメッセージをお願いします。

 

佐藤:ビジネス書は、賞をとらなくても、作家としての実績がなくても、切り口やコンセプト次第で数万部というヒットを出しやすいジャンルだと思います。

ビジネス書の企画も数十社に見送られたものが、その中でブラッシュアップされ、数十万部のベストセラーになったという例も少なくありません。

日々の思いつきのアイデアを捨てず、あきらめずに挑戦をし続けてください。

 

───佐藤さん、ありがとうございました!

 

ブログをお読みの皆さんで、本にしたら絶対売れる!!という企画・原稿をお持ちでしたら、弊社あてにご応募ください。

くわしくは企画原稿検討の要項をご覧ください。検討させていただきます。

ご意見・ご感想は(info@appleseed.co.jp)までお願いいたします。

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鬼塚忠

アップルシード・エージェンシー代表。大学在学中に英国留学し、卒業後は働きながら、4年間で世界40か国を巡る。帰国後、海外の本を日本に紹介する仕事を経て、独立。「作家のエージェント」として、多くの才能を発掘している。自身でも小説を執筆し、著書に『Little DJ』『カルテット!』『花いくさ』『風の色』等がある。

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