書籍づくりの現場ではどのような作業が行われているのか。実際に本を出版した著者と、その担当編集者のインタビューを公開します。企画の経緯から執筆・編集・デザイン・売り方まで、生の声をお届けします。
書籍:東京以外で、1人で年商1億円のネットビジネスをつくる方法
朝日新聞出版 (2014-11-20)
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著者:中村 あきら(なかむら・あきら)さん
1985年生まれ。大学卒業後、サイト制作を個人で開始。2010年に一人暮らし専用家具販売サイト「ZIPANGs(ジパング).com」と開設。設立から1年で10倍の成長を記録し、ベンチャー通信「ECを活用して成功した企業100社」受賞。大手ECサイトの営業利益率1~4%に対し15%以上を達成。次世代の経営者として講演も多数。14年秋からシリコンバレーに移住し、次のビジネスを展開予定。
著者公式サイト『AKIRA DRIVE』
運営ネットショップ『一人暮らしインテリアのZIPANGs(ジパング).com』
───中村さんはネットビジネスを起業され「仕事をする場所に縛られず、住みたい場所に住み、好きな人と仕事ができる」状態を実現されています。あらためて、中村さんご自身の経歴を簡単にご紹介いただけますか?
中村あきらさん(以下、敬称略):はじめまして、中村あきらです。長崎出身で、現在はシリコンバレーに住んでいます。ぼくは元々、ネットが全然得意ではありませんでした。しかし、学生のころ本田健さんの『大好きなことをしてお金持ちになる』(フォレスト出版)という本に出会いました。そこで、こんな生き方があるのかと感銘を受け、自分も好きなことをしてお金持ちになりたいと思うようになりネットビジネスを始めました。
大学卒業後、最初はホームページ制作事業からスタートし、いろんな経営者さんと仕事をすることができました。そのなかで、ネットショップのお客さんの仕事を見たときに、これなら自分もできると思い、現在の家具のネットショップビジネスに至りました。
現在は年商3億円ほどで、本書にもありますが、いろんな失敗を経験して今に至ります。
───本書では、ネットビジネスを起業するにあたり、サーバの選び方やサイト名やサイトコンセプトの決め方など、非常に細かいところから「年商1億円のネットビジネス」をつくるためのノウハウが書かれていました。
なぜここまで貴社のノウハウを出し惜しみすることなく公表されたのでしょうか?
中村:ぼくは本によって人生を変えてもらいました。今でも1年に7~800冊の本を読んでいます。小学生のときは図書室が好きで、偉人たちの成功物語をマンガで読んでいました。
大学生の頃はコヴィー博士の『7つの習慣』(キングベアー出版)を読んで、もっと自分の人生について真剣に考えなければいけないと感じ、ホームページ制作時代は佐藤可士和さんの『佐藤可士和の超整理術』(日本経済新聞出版社)を読んで、誰かのホームページを作るということはビジョンを形にするということなのだと感じました。
ネットショップを始めてうまくいったのも、トニー・シェイさんの『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社)という本に出会い、自分の理想とするネットショップの在り方と出会ったからでした。
つまり、今のぼくがあるのは本があるからなのです。
だからこそ、自分がうまくいったこと、失敗したことを出し惜しみせず公開することで、育ててもらった本に対して恩返しをしたい。その想いで本書を書きました。
───本書では、「場所に縛られないビジネスモデルを選ぶ」、「ノーリスクではじめる」、「ここでしか買えない価値をつくる」など、年商1億円のネットビジネスをつくるためのノウハウが章立てで紹介されています。
そして全体を通して、成功体験だけでなく、失敗経験もすべて書かれていたのが印象的でした。ご自身の経験から、好きな場所に住んで収益を上げるために、まずすべきことを教えてください。
中村:起業するとき、儲かるとか、好きなこと、得意なこと、という観点で仕事やビジネスを選んでしまう人が多い気がします。でもまず大事なのは「どんなビジネスをするか」ではなく「どんな人生を生きたいか」を考えることです。
例えば、世界中を旅行しながら暮らしたいと思っているのに、カフェが好きだから、接客が得意だからといってカフェをオープンしたら、ずっとその場所にいなければいけませんよね。それだと一生、世界中を周ることなどできません。
人によって理想の生き方は異なると思いますが、本書ではとくに「仕事をする場所に縛られず、住みたい場所に住めて、収入もしっかり確保したい」と思っている方向けに、その実現方法を伝えています。
具体的には、働く場所に縛られないビジネスを選ぶ必要があること、その上でぼくがおすすめなのはネットビジネスだということを書きました。
───本書はどのような方に読んでほしいと思われますか?
中村:エリートや天才、ガツガツした起業家気質の方のための本ではありません。ぼくのような、普通の人のための本だと思っています。もっと言えば、普通の人なんだけど、大きなことがしたい、自分らしい人生を送りたいと思う人にとっては最適な本です。
───本書執筆にあたり、内容の構成や文章の書き方など、何か苦労されたことはありますか?その際、編集者やエージェントからはどんなアドバイスがありましたか?
中村:ぼくにとって、自分の経験談やノウハウを語るのは難しくありませんでした。しかし、年間で地方にどれくらいの人が移っているかなどの一般的な統計と、自分の経験を結びつけるという作業はとても苦労しました。
そこは、編集者に入ってもらい、うまく結び付けてもらったことと、それに加えて読者が読みやすいように本の構成を整えてもらいました。
エージェントの方には、本の一番大事な部分である「タイトル」、つまり本の根幹となるテーマを考え出してもらいました。彼がいなかったら、ぼくを知らない読者でもパッと目に止まり、自分のための本だと感じるようなタイトルにはできなかったと思います。
───本書の発売後、周囲やネット上などで、どんな反響がありましたか?印象に残る感想や意見などがありましたら、教えてください。
中村:一番印象深かった感想は、
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私も難病持ちなんで「たとえばあなたが病を患っていたら、ほとんどの場合、病気を治さなければ社会に復帰することができません。しかし、働く場所の自由を得ることができれば、体が弱くても仕事ができます。病気を治しながらお金を稼ぐことができます。」のメッセージが響きました!あと地域活性や地方出身者や若者らのUターンのきっかけになりたいなと。
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という感想です。こういった反応はとても予想外でした。自分のネットビジネスの経験が、まさか地域活性や若者のUターンのきっかけになるなんて。本の素晴らしさを改めて感じることができた瞬間でした。
───中村さんは、原稿内容を多くの方に理解していただくために、ご執筆の際に注意していること、気をつけていることはありますか?
中村:注意していることは、「この本でぼくは何を伝えたいか?」を明確にすることです。それがないと、どんな経験談やエピソードを語っても、本自体の方向性がぶれてしまいます。
この本は、東京以外でも東京で得られるような収入で暮らしたいという人に対して、その方法論や考え方を伝えています。その中でもとくに伝えたいメッセージは「働く場所を自由にしよう」ということ。ぼくが伝えたかったのは、それがどんなに素晴らしいことかと、それがどんなに幸せかということでした。
そのメッセージが根底にあることで、ただのネットビジネスで成功するという、どこにでもある本ではない本が出来上がりました。
─── 昨年秋にシリコンバレーに移住されたそうですね。お仕事における今後の夢や目標を教えていだけますか?
中村:シリコンバレーに移住した理由は、最先端を見続けるためです。
ぼくは、自分が作った会社が倒産寸前まで追い込まれた経験から、長く続く会社をつくりたいと思うようになりました。だから、長く続いていくためにはどんなことを大切にすればいいか勉強し、考えてきました。
その過程で、日本の経営者や世界中の経営者を見てきましたが、その中でも印象的だったのは、グーグルの創業者ラリー・ペイジ氏の講演を聞いた時でした。
彼は、こう言っていました。
「たくさんの会社を見てきて、なぜ長続きしないかを考えてきました。多くの会社が現れては消えていきました。彼らは何を間違ったのだろう?と。共通して犯した間違いは、多くの場合『未来』を見通してなかったことに尽きます。
未来がどういうものになるのか、どうやって私たちはそれを創造できるか。そして自分の会社をどうその未来に集中させられるか。だから私は、未来がどうなるかに集中しているんです。」
ぼくは確かにその通りだなと思いました。
ぼくは最先端に身を置くことで、未来を見続けたいと思っています。なので、これからもずっと最先端に身を置き、未来を観察して、本当に強く、長く続く会社を創り続けたいと思っています。
───最後に、ビジネス書作家を目指すメルマガ読者のみなさまにメッセージをお願いします。
中村:本を書いてみて、本を書くことはとても素晴らしい仕事だと思いました。
自分が何を考えているのか、自分がどんな想いでやってきたかがよりクリアになるし、なおかつそれを多くの人と共有することができるのです。こんな素晴らしい仕事はありません。
ぜひこれからビジネス書作家を目指す方は、自分の経験を出し惜しみせずに出し切ること、そして、自分しか発することができないメッセージを伝えていくことを大事にしてほしいと思います。
自分が出したもの以上のものが返ってくることをお約束します。ぜひ、がんばってください。
───中村さん、ありがとうございました!
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