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【著者インタビュー】中川 充さん「システム開発前の「構想」に特化!ありそうでなかった一冊を実現させた秘訣とは?」

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書籍づくりの現場ではどのような作業が行われているのか。実際に本を出版した著者と、その担当編集者のインタビューを公開します。企画の経緯から執筆・編集・デザイン・売り方まで、生の声をお届けします。

 

書籍:お金をドブに捨てないシステム開発の教科書 ~なぜ、要件定義がうまくいっても使えないシステムができてしまうのか?

家は「高額で一生ものだから」とよく考えて買うのに、なぜ中堅企業でさえ数千万から数億円になるシステム開発では思考停止してしまうのか?なぜ、要件定義がうまくいってもまったく使えないシステムが出来上がってしまい、お金をドブに捨てるハメになってしまうのか?
システムコンサルタント兼公認会計士という異色の著者が、“稼げるシステム”の作り方を教えます。ベンチャーから中堅企業まで50社以上、業務設計・改善から会計監査さらにIPO支援まで20年近いコンサルティング実績があるからこそ書けたノウハウが満載!

 

著者:中川 充(なかがわ・みつる)さん

システムコンサルタント・公認会計士。公認会計士中川充事務所代表。1969年生まれ。北海道出身。小樽商科大学商学部卒。
システム・業務・会計を統合し、企業経営のしくみを改革することを得意とする。上場会社、中堅企業、ベンチャーのシステム開発や業務改革のコンサルティング数は全国50社以上。そのほか、システム選定委員やパッケージ製品の開発助言なども行う。
公認会計士中川充事務所

 

 

 

───システム開発を成功させるノウハウについての類書は他にもありますが、中川さんは「公認会計士兼システムコンサルタント」という異色のキャリアを築かれています。

類書と比べて、中川さんならではの視点、ノウハウは何ですか?

 

中川充さん(以下、敬称略):システム開発では、全体最適な構想がないと、現場業務の要求が中心となり、現場のためのシステムができてしまいます。営業部・製造部・購買部など、部門ごとにシステムを構築する時代ならそれでも良かったのですが、今は違います。システムが全社つながっているので、経営者や他部署、経理部のことも考えてシステムを構築しなければなりません。

しかし、企業の情報システム部や企業にシステムを納めるシステムベンダーの方々は、経営や会計のことをよく分かっていないのが実態です。どうしても経営や会計の視点が抜け落ちており、従来の業務に偏ったシステムを導入しがちです。

そこで、会計士として経営や会計の視点を取り入れたシステムの考え方やその着想、構想の仕方などを本書に書きました。

 

───中川さんが20年間コンサルティングをされる中で、「業務の徹底的な洗い直し・業務改革を行うこと」「要件定義以前にシステム構想を練り上げること」の2つが大事という結論に達したと、本書に書かれていました。

この2つが大事だと確信した決定的な出来事は何でしたか?

 

中川:出来事は色々ありすぎて書ききれないくらいなのですが……。

たとえば、開発途中で管掌役員の交代があって、当初の仕様と大きく異なるシステムを余儀なくされたというケースもあります。保守的な管理職が現行業務を「何も変えたくない」の一点張りで、結局、非効率なシステムになったとか。経理部が日本式の伝票会計にこだわり、海外ERPの標準機能に合わせることを土壇場でひっくり返してきたとか。

現場の業務に携わる人は、システムがどういうものなのかわからないことが多いんですね。だからこそ、事前にコンセンサスがしっかり取れてないと、後でシステムの整合性がとれていなくても「そんなの知らない」という水掛け論になってしまいます。

システム開発は往々にして業務変更を伴うので、部門同士や人同士の争いが生じる面もあります。

どうせ波風が立つのなら、システムの開発途中で争いが起きても取り返しがつかない。それなら、「事前に徹底的にやりましょうよ」ということです。

 

───この本に書かれているノウハウは、これからシステム開発を始める読者にはすぐに活かせると思います。ですが、すでにシステム開発が進む中で課題意識を覚え、本書を手にとる読者もいると思います。

後者の読者がシステム開発を成功させるには、どんな意識で、とりわけどんな部分を読み込めばよいでしょうか?

 

中川:状況や進捗にもよりますね。システムを安定稼働させるだけなら、プロジェクトの途中で大きな変更は加えない方がよいです。いったん開発に入ると様々な制約の中での作業になります。

もし、このままいくと重大な問題が発生しそうだというのなら、早い段階で延期や中止を決断することが重要です。基幹システムなどの大規模なシステム開発では、後になればなるほど被害が拡大するケースも少なくありません。

本書はそうならないための開発前段階にいる方々に向けた本ですが、すでに開発に着手している方であれば「第6章 プロジェクトを成功に導き、会社を飛躍させよう」をお読みいただくことをおすすめします。

新旧業務の「かんたんフローチャート」を書いて全体像を整理し、主要業務の内容とその流れをシステムベンダーと共有します。そのうえで、大きな支障がある部分のみ、運用や仕様変更といった何らかの対策を立て、開発を成功に導いていくのです。

 

───書籍企画を検討するにあたり、また執筆の際に、何か苦労されたことはありますか?

その際、編集者やエージェントからはどんなアドバイスがありましたか?

 

中川: 最初の企画は、堅苦しすぎてエージェントの鬼塚社長から色々とダメ出しをもらいました。特にタイトルは当初「IT経営の実践的思考」としていたのですが「漢字が多い」と言われました。

企画書は出版社が見るのであって、システム開発に精通した人が見るのではありません。指摘されると当たり前なのですが、今振り返ると、テーマについて知らない人に向けて「わかりやすく書く」という視点が抜け落ちていたと思います。

執筆も同様ですね。「経営」「会計」「業務」「システム」という4つの視点から書いたのですが、読者が情報システム部に所属しているなら「経営」「会計」に弱く、経営者なら「業務」「システム」は専門でないことがほとんどなわけです。

だから、それぞれの立場に立ってわかりやすく書くことを心がけ、一方で詳しい読者にも納得していただけるような専門性も確保するという、バランスの取り方が非常に大変でした。

 

───類書と差別化するため、こだわった点や工夫された点がございましたら教えてください。

 

中川:システム開発の本と言えば、その多くは「要件定義」に関するものです。

一方、本書は実際のシステム開発前でやるべき「システム構想」に特化した内容です。システム本で、ここまで経営や会計の視点に踏み込んだ類書はないと思います。これは、会計のプロとしてこだわった部分です。

 

───本書の発売後、周囲やネット上などで、どんな反響がありましたか?

印象に残る感想や意見などがありましたら、教えてください。

 

中川:クライアントや関係者に配布すると、皆さん、非常に喜んでくださいました。

本を出して評価が上がることはあっても下がることはないですよね。また、本を読まれた方からコンサルティングの問い合わせや講演依頼がありました。宣伝効果も大いにあったと思います。

あと、反響というほどではないですが、見ず知らずの方からの好意的なコメントや感想は素直にうれしかったです。頑張って書いた甲斐がありました。

 

───本作りにエージェントが関わることのメリットとして、どのようなことがあると思われますか?

 

中川: 一番は出版社に企画を通してくれる点ではないでしょうか。

エージェントは、企画書のブラッシュアップから出版社の選定、コンタクト、交渉まで進めてくれるので、出版素人にはとても心強い存在です。

執筆時はペースメーカーとして色々と貴重な助言をいただき、装丁では素晴らしいデザイナーの方をご紹介いただきました。

 

───最後になりますが、著者デビューをめざす読者のみなさまに、メッセージをお願いします。

 

中川:本を出したい理由は人それぞれかと思いますが、コンサルタントにとっては大事な実績として、ずっと残り続けるものです。

だからこそ、「恥ずかしくない内容にしたい」と妥協せず七転八倒しながら書きました。皆さんも出版できるチャンスを得られたら、ぜひ自分自身がとことん納得できる本を書いてほしいと思います。

 

───中川さん、貴重なお話をありがとうございました!

 

ブログをお読みの皆さんで、本にしたら絶対売れる!!という企画・原稿をお持ちでしたら、弊社あてにご応募ください。

くわしくは企画原稿検討の要項をご覧ください。検討させていただきます。

ご意見・ご感想は(info@appleseed.co.jp)までお願いいたします。

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鬼塚忠

アップルシード・エージェンシー代表。大学在学中に英国留学し、卒業後は働きながら、4年間で世界40か国を巡る。帰国後、海外の本を日本に紹介する仕事を経て、独立。「作家のエージェント」として、多くの才能を発掘している。自身でも小説を執筆し、著書に『Little DJ』『カルテット!』『花いくさ』『風の色』等がある。

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