書籍づくりの現場ではどのような作業が行われているのか。実際に本を出版した著者と、その担当編集者のインタビューを公開します。企画の経緯から執筆・編集・デザイン・売り方まで、生の声をお届けします。
書籍:『社畜もフリーもイヤな僕たちが目指す第三の働き方』(あさ出版)
あさ出版
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編集者:畑下 裕貴さん(あさ出版)
───前回の佐藤達郎さんへの著者インタビューの際、本書を執筆されたきっかけは、畑下さんからのご連絡がきっかけだと伺いました。
あらためて、佐藤さんと本を作りたいとお考えになった理由を教えてください。
畑下裕貴さん(以下、敬称略):本書のメインテーマであり、佐藤さんが提唱する“モジュール型ワーキング”という働き方にとても惹かれたからです。
───畑下さんは出版社に所属されている“会社員”という立場でいらっしゃいますが、本書で佐藤さんが提唱する第三の働き方“モジュール型ワーキング”について、どんな感想をお持ちになりましたか?
畑下:私もそうでしたが、会社員が働き方を考えるとき、「このまま今の会社で働く」「転職する」といった会社員を続ける道か、「フリーになる」「起業する」といった独立・起業の道という、2つの選択肢が頭に思い浮かぶと思います。
しかし、モジュール型ワーキングという概念を知ると、「会社員+α」という選択肢が生まれます。
会社員でありながら、カフェの経営もする、フリーのライター業もはじめるといったように、+αを組み合わせて働くという考え方です。
このように考えると、いまの会社にやりがいを感じていなくても「+α」の部分でやりがいはつくれるし、今の会社の収入に不満があっても「+α」の部分で収入は増やせる。
また、いまは会社員であっても「新しく何をはじめようか」とワクワクできる。
決して斬新ではないけれど、うまく言語化、体系化されていない概念であり、現代の働き方の悩みを解決する方法になり得ると思いました。
───本書では、実際にモジュール型ワーキングをされている4人の方が実例として挙げられていました。
畑下さんがモジュール型ワーキングを実践されるとしたら、どのタイプがご自身にぴったりだと思われますか?
畑下:「本業キープ拡散タイプ」です。現在の本業をキープしながらも、別分野のモジュールを持つというタイプになります。
私がそのタイプで働いていくならば、本業は「編集者」として、別分野では「Web」を考えます。
本書内にあるワーク(SWOT分析、MPM分析)や、安藤美冬さんのインタビューに出てくる「別分野の掛け合わせは武器になる」といった話を加味すると、Webのニーズが高まっている現在、Webサイトも本も編集できる編集者はそうそういないので、重宝される可能性が高いと考えたからです。
一方で、佐藤さんのような「専門性追求拡張タイプ」で、「編集」というテーマを軸に、さまざまな仕事を模索する方向もいいなと思っています。
───本書の制作にあたって、何か苦労されたことはありますか?
また、著者の佐藤さんに、執筆前や執筆中にアドバイスされたことがあれば教えてください。
畑下:苦労したのは、タイトルです。“モジュール型ワーキング”という新しい造語、そして概念を、どうすればうまく伝えられるか、とても悩みました。
アドバイスではないですが、自分が思い描く完成のイメージは、しっかりと伝えるように心がけたつもりです。
───本書はどのような方に読んでもらいたいと思われますか?
畑下:20~30代の働き方に悩む会社員の方です。
───カバーデザインや販促方法などは、どのような工夫をされたのでしょうか?
畑下:タイトルを押したかったので、タイトルがスッと入ってくる、シンプルなデザインにしました。
また、20~30代の方に手に取ってもらうことを考え、その世代を中心に支持を集める、ライフスタイルデザイナー・執筆家の四角大輔さんに、帯推薦を依頼しました。
───普段企画を考える際、どんなことを大事にされていますか?
畑下:たくさんありますが、ひとつは「切り口」です。
たとえば「リーダー」というテーマで、大物経営者に王道のリーダー論を書いてもらえばとても素晴らしい企画になりますが、それは人脈や運の要素が大きいと考えます。
ですので、たとえば「リーダー」というテーマを企画力という側面だけで考えた場合、「(ありえないと思いますが)ホッチキスにこそリーダーシップの極意がある」といった、「おっ?」と思わせる切り口を考え、それを実現できる著者を探したり、反対に著者ありきでスタートしても、そういった面白い切り口を引き出したりすることが、とても大切だと考えています(もちろん、マーケットがあり、内容が伴うことは大前提ですが)。
一方で、こちらで考えなくても、今回の“モジュール型ワーキング”のような素晴らしい切り口に出合うケースもあります。
───「一緒に本をつくってみたい」と思う著者はどんな人物ですか?
逆に、「こんな著者とは一緒につくりたくない」と思うのは、どんな人物ですか?
畑下:本のジャンルや著者のご経歴にもよると思いますが、本を自分の作品としか見てくれず、「商品」として見てくれない方は、ビジネス書では少しやりづらいのかな、と思います。
小説のような、著者の世界観にファンがついている場合は別ですが、それ以外はやはり本も商品なので、どうすれば読者を取り込めるか、その方向性でも議論できる方のほうが望ましいのではないでしょうか。
───本作りにエージェントが関わることのメリットにはどのようなことがあると思われますか?
畑下:著者も編集者も、制作が進むほど、まわりが見えなくなりがちです。
その点、客観的な立場でご意見をいただけるエージェントの存在は、とてもありがたかったです。
───最後になりますが、ビジネス書作家を目指すメルマガ読者のみなさまに、メッセージをお願いします。
畑下:ぜひ、ご一緒に本がつくれるとうれしいです。
───畑下さん、ありがとうございました!
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