酒と泪と女と女

港区を渡る女衒と女子大生と「君のことは大事だけど今はそういう気持ちになれない」妖怪男 ぱぷりこ×川崎貴子対談(中編)

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ラブ魔窟を闊歩する妖怪男を筆圧で滅する人気ブロガーのぱぷりこさんと、女のプロとして知られる川崎貴子との対談を全三編でお送りします。中編は”修羅の国”港区事情や、あるあるフレーズを散らす妖怪男の思考を検証しつつ魔窟の奥をサバイブします。

妖怪男ウォッチ

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ぱぷりこ
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(聞き手・文/執事

 

 

川崎貴子(以下、川崎):さて、「港区の男」の話に入りましょうか。

 

ぱぷりこ:川崎さんの得意分野ですよね♡。港区の男は、修羅の国港区に入国しないと出会わないかもしれませんね。パスポートを持っている子や、インビテーションが届かない限りは可視化されない。

 

──東京都港区ではなく、札束でなぐりあう修羅の国「港区」というお話でしたね(詳細は前編を参照)。

 

川崎:そうだよね。

 

ぱぷりこ:「お金持ちと知り合いたい!」とか、「美貌を武器に成り上がってやる!」という強い気持ちがないと出会えないので、自ら入国する分には問題ないのかなと。普通に歩いていて、ある日修羅の国に拉致されたという事例は聞いたことがありません。

 

川崎:基本的には誰かのホームパーティーに行かないと出会わないもんね。でも、私はそれ以外にもルートがあるんじゃないかと思っていて。例えば経営者はマッチングアプリをやらないって思うかもしれないけど、某ヒルズでホームパーティーができるからやらないとは限らないよね。あとは、女子大生が高級クラブじゃないんだけど会員制のラウンジみたいなところでアルバイトして、「港区の男」に出会うケース。

 

ぱぷりこ:アプリだとやはり、情報を詐称する人はいますよね。年収なども多く書いて、港区の男ぶる。そういう話は私も聞くので、出会った女の子にとっては被害だなあと思うんですけど。

 

川崎:ええ。

 

ぱぷりこ:女子大生のラウンジでのアルバイトも、簡単に高額なバイト代を手にすることでどんどん価値観が崩壊していく。ちょっと小金を手に入れるつもりが、修羅の国に飲みこまれるというか。

 

川崎:パーティーっていうと、読モとか選ばれた女子大生だけが行くみたいな雰囲気だけど、会員制のクラブは、「気軽にバイトしに来ない」とか「就職活動にいいよ」って誘われるケースもあるみたいですよ。

 

ぱぷりこ:就職活動にいいよ、でラウンジに行っちゃう女の子いるんですか!?

 

川崎:そうそう。隣で飲むだけとか。経営者みんなで経営しているクラブみたいなのがあったりとかで。

 

ぱぷりこ:「会社を経営している人たちと知り合って話せるから勉強になるよー」っていう?

 

川崎:本当に、宗教の勧誘みたいだけどね。それってなかなか、やーめたって卒業できない世界を見せられちゃうから。レストランのランクも上がるし、外でも会うようになるわけでしょう。

 

ぱぷりこ:染まるのはあっという間ですよね。よく言うことですが一度上げた生活レベルってそうそう落とせないですよね。特に人から与えられる快感を覚えてしまうと怖い。

 

川崎:若い女の子はやっぱり危険がいっぱいあるなあって。港区の人たちってそうそう会う機会ないかな?とは思うけど、それでも意図せず接触してしまうルートはあるのかなと。

 

ぱぷりこ:東京で女子大生してたら余裕で会えますね。そこそこ華やかっぽい友達がいれば、誰かがつながるのと、「今日暇~?」って飲み会の誘いに応じられる時間的余裕がある点が大きいです。ホームパーティーを開く人は人数集めたいし、急なドタキャンは埋めたいとなると、「今日暇?夜イベントあるんだけど友達5人くらいできなよ」とかいうLINEが飛ぶ。それに対応できるのが、普段から友達単位で動き、かつ時間的余裕のある女子大生になるのは必然かなと。

 

川崎:ああ、港区住民にはそういう女衒みたいな男性や、集めるのが上手い女子大生がついてるね。たいてい。一人派遣会社?みたいな。

 

ぱぷりこ:いますいます。あれ普通に女衒だと思っています。

 

川崎:「今夜20人いける?」みたいなのに対応できるからね。

 

──そうして入国してしまうんですね。

 

川崎:でも、一度入ったらなかなか帰ってこれない。

 

ぱぷりこ:ピノキオみたいですよね。連れて行かれて出てこれない。

 

川崎:さて、いろいろな妖怪男を紹介いただきましたが、ぱぷりこさんは彼らの中でも個人的に一番許せん!っていうタイプはありますか?

 

ぱぷりこ:やっぱり搾取系は許せん!となりますね。プライド山男、ディスり芸人、恋心の搾取地主など。こいつらの「え、僕は悪いことしてません」みたいな顔で、女性から吸い取ろう吸い取ろうとする性が嫌ですね。書いているときにつらくなりました、イライラしすぎて。

 

川崎:わかります。

 

ぱぷりこ:コンサル男も自称ロジカルもセフレ牧場ももちろんムカつくんですけど、いっそわかりやすくていいのでは……?という気持ちが生まれてしまいました。

 

川崎:逆に清々しい?

 

ぱぷりこ:そうなんです。こいつら自分の欲に一直線なんだなっていう、別の捉え方になるマジックが起きちゃいましたね。

 

川崎:なるほどね。私が嫌なのはやっぱり搾取系かなあ。自分の承認欲求を満たしたいがための恋心搾取とか、覚悟が決まらないから相手に伏線を張りまくるとか。対象女子にとっては意味不明すぎるよね。

 

ぱぷりこ:はっきりしろよ、と思いますよね。

 

川崎:でも切られたくないからキープしておくっていう嫌らしさがね。

 

ぱぷりこ:恋心の搾取地主は、恋愛相談ですごく来るんですよ。ある意味セフレとか不倫なら問題点がはっきりしていて、スパッとやめるか、つらいけど続けるか、の究極の2択ですよね。

 

川崎:そうだよねえ。

 

ぱぷりこ:成り上がるなら茨道だけどこれは確率が高いよといった明示はできます。でも肉体関係がなく、週1でデートもしていて、いいなと思われてる気はするんだけどはっきりしない……みたいな相談だと難しい。言葉尻だけ取ると淡い恋のお話ですけど、それが2年とか3年とかずっとそのまま続いてるって書かれていてびっくりしたりとか。

 

川崎:私にくる相談にもめちゃめちゃ多いです。すごく多い。

 

ぱぷりこ:人によっては、告白して振られてたりする。ただ彼らは「君のことは大事だけど今はそういう気持ちになれない」とか、「妹のように思っているから恋人としては見れないけど大事だ」とかエサを与えるんですよね。そうするといけるかも、いけなくはないのかも、そうはいっても……って自分の中で捏ねてるうちに、本当に3年とか経ってるんですよね。

 

川崎:うん。で、いつかはって思っているんだよね。彼女たちは。

 

ぱぷりこ:いつかどうにかなるんじゃないかっていう希望を糧にずっと走ってます。もともと器用に恋愛ができるタイプではなく受け身な子が多い。それこそ港区女子みたいに「男の人のお金を使って楽しいことしよう」という感覚はまったくなく、いい子で純粋です。けれど、選択肢を持たないために、どんどん自分の気持ちが熟して手放せなくなるという悪循環。

 

川崎:そんな子を傍目に妖怪男は口を揃えて「本当にいい人ができたらやめる」って言うんだよね。相手の女性にとっては一緒なんだけどね。体を搾取されるのも、心を搾取されるのも。

 

ぱぷりこ:そうなんですよね。結局自分がいいと思った子がいたら、それまでにとりあえずで会ってた女性陣にはっきり別れを告げて全力ダッシュするケースは見ますね。

 

川崎:その後の追跡ってされてます?

 

ぱぷりこ:そうやってスパンと切って「今ラブラブです〜」っていう殴りたくなるような男は周りにいるんですけど、その後の結果はまだ出ていないですね。

 

川崎:世代的にそうかあ。

 

ぱぷりこ:まだ新婚が多かったり。

 

川崎:それじゃまだ症状は現れないよね。私は逆に結婚10年選手が周りに多いんだけど、やっぱり刺激を求め続ける人は求め続けるし、コンサル男とかロジカルがすぎる男たちは、喧嘩すると奥さん相手に詰めるような言い方をしてるよね。追い詰めるようなロジック。

 

ぱぷりこ:コンサル男は社会的にずっと勝っている人たちなので、それがベッキベキに折れてつらい思いをしないと、人間らしい思いやりが大事だという気づきを得られないんだと思います。

 

川崎:本当にそう思う。45℃くらいの熱が出ないと無理だと思う。

 

ぱぷりこ:うなされながら自分の存在意義とか、なぜ僕は生まれたのかみたいなところを。

 

川崎:ね。

 

ぱぷりこ:結局、自問自答したことがないと、誰かに優しくするとかそういう振る舞いとか無理なんだと思いますね。

 

川崎:だってそうしなかったから、自分は成功してきたんだもんね。

 

ぱぷりこ:社会的に地位が高い人にサイコパスが多いって研究が出ていますよね。「情を切り捨てたことで成功している」という成功体験を元に自分の自信を積み上げているから、そんなものが必要だと思ったことがない。だから、人間にとってつらい言葉を平気で吐ける。

 

川崎:それでいてまた、奥さん選びがすごくうまいんだよね。私がそんなこと言われたら、もうそれこそ港区の会員制クラブのテーブルというテーブルをひっくり返すくらいの勢いでキレるんだけど。

 

ぱぷりこ:それが「本当パパってひどいのよー」くらいで。済んじゃう人をちゃんと選ぶ。

 

川崎:ええ。「あ?今なんていった?もう一回言ってみろこら」っていうことにはならない。

 

ぱぷりこ:それこそコンサル男とうまくいく人は、本当に菩薩系の人か、いい意味で鈍感、天然系のお嬢さまですよね。下手にバリキャリでハイスペ同士みたいなカップルは、仕事調の会話ができるからいいと思いきや、結局マインドが同じすぎて血で血を洗うことになりかねない。

 

川崎:仁義なき戦いになるか、しゃべらなくなる。

 

ぱぷりこ:あるいは病んじゃう。

 

川崎:どっちかだよね。本当にコンサル男って自意識とプライドがすごいから、客観的に見ているとよくわかるんだけど、その自意識が過剰なぶん絡め取られやすい。

 

ぱぷりこ:自信満々に頭がおかしいことを言われると「あれ、本当にこの人はすごい人なんじゃないか」っていう錯覚が起こるんですよね。

 

川崎:言ってる本人も実は騙されてるんだけどね。

 

ぱぷりこ:自分でも嘘だと思って言ってるわけじゃないから、まっすぐ目を見て話せますからね。

 

川崎:女性を口説くときも同じスタンスなんだろうね。だから質が悪いのかな。そういう姿勢を振り返る機会もないんだろうし。

 

ぱぷりこ:今回いろんな女性にインタビューして思ったのが、女の人って恋愛が終わった後、その恋愛を振り返るし考えますよね。言語化するのもうまい。恋愛の最中に「私はなぜ悲しいのか」を上手く伝えられる人って、男女ともにあまりいないんですが、過ぎた恋愛に対してフィードバックをもらったり、自分で考えたりできるのは女性の特徴なのかなと思います。

 

川崎:わかります。

 

ぱぷりこ:一方で男性側に当事者インタビューを行うと、すごくふわふわしてるんですね。「特に……」とか「何も……」とか、だからなんでそうなったの!?と聞いても全然根本に辿りつかないことが多い。「次はちゃんとした子が良い」って言う、その”ちゃんと”はどんな子?とか、「まあ俺はなんとかなると思うから」って、その自信はどこから?とか。

 

川崎:頭から?(笑) 根拠もない?

 

ぱぷりこ:根拠がないし、なぜか思い込んでるし、なによりふわっとしている。

 

川崎:なるほどねえ。それって真剣に考えたり言語化したりしたことがないからだろうね。

 

ぱぷりこ:そうなんだと思います。

 

川崎:日頃の男性同士のコミュニティってそういう話をしないんだろうね。

 

ぱぷりこ:しないんですよ。けっこう驚くんですけど、男同士で仲良くて「俺たち最高☆」という感じでも、仕事で大きな失敗をしたとか、恋愛で手痛い目にあって「今後はどうしたらいいか?」という相談をグループではあまりしないみたい。

 

川崎:成功体験しかそのテーブルに上がらないんでしょうね。

 

ぱぷりこ:だから「こいつ本当すごいんだよ、最高なんだよ!」っという成功体験はシェアされるものの、「なんで駄目だったのか?」「何が間違っていたか?」というフィードバックを受けていない。友人に聞いてもわからないし、当人もわかってない。そこの差は女性と比べて大きいなと思っています。

 

川崎:女性は仲良くなるために、自分のダメな部分を先に話すコミュニケーションは普通だもんね。なるほどなあ。本当は開示できる男性こそ女性は魅力的に思うのにね。

 

ぱぷりこ:自分の失敗を振り返らないで、進もうとしちゃうんですよね。俺たち最高だ!俺たちはできるぜ!みたいな気持ちだけで突き進むから、以前と言ってることが変わらなかったり。

 

川崎:仕事だったらミッションが与えられるし、成長しないといけない。同じ失敗を繰り返したら信用をなくすこともわかっている。男性にとって社会的な信用をなくすのは一番怖いことだから、そこは精査したり、自分でPDCAを回したりしていると思うんだけど……恋愛は人のせいにできるからね。

 

ぱぷりこ:相手が悪かったとか。

 

川崎:僕のお姫様じゃなかったとか。

 

ぱぷりこ:それでいつか理想の女が現れたら、俺は変わるんだって根拠なく思う。

 

川崎:多いよねえ。

 

ぱぷりこ:女性にもいるんですけどね。ただ年齢や、子供を生みたいと思ったらリミットがあったりとシビアに考えなくてはいけない環境はある。男性にも年齢制限はあるはずなんですけど、ないと勘違いして進みがち。

 

川崎:そうなんだよねえ。

 

ぱぷりこ:生活におけるマインドシェアが、女性は恋愛や結婚を中心に捉える人が多いですよね。関心が高いほど必然的に「どうなんだろう?」って折々で考えますし。

 

川崎:それでいうと私は最近、男性から結婚に対する話を聞くことが多くてね。

 

ぱぷりこ:新しく始められる婚活サイトのお話ですね!気になります。

(後編に続く)

*川崎貴子に会える「魔女の夜会」はこちら
*川崎貴子が行う婚活サイト「キャリ婚」はこちら

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川崎貴子

リントス株式会社代表。経営者歴21年。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女のプロ」の異名を取る。プライベートではベンチャー経営者と結婚するも離婚。8歳年下のダンサーと2008年に再婚。12歳と5歳の娘を持つワーキングマザーでもある。著書に『私たちが仕事をやめてはいけない57の理由』(大和書房)、『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(ベストセラーズ)、『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(総合法令出版)、二村ヒトシとの共著に『モテと非モテの境界線 AV監督と女社長の恋愛相談』(講談社)等がある。

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