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【編集者インタビュー】鈴木 潤さん(SBクリエイティブ)「絶対に負けない交渉術 やってはいけない35のルール」

書籍づくりの現場ではどのような作業が行われているのか。実際に本を出版した著者と、その担当編集者のインタビューを公開します。企画の経緯から執筆・編集・デザイン・売り方まで、生の声をお届けします。

 

書籍:『絶対に負けない交渉術 やってはいけない35のルール』(ソフトバンククリエイティブ)

絶対に負けない交渉術 やってはいけない35のルール
植田 統
ソフトバンククリエイティブ
売り上げランキング: 412,372

 

編集者:鈴木 潤さん(SBクリエイティブ)

 

 

 

───本書の著者・植田統さんは弁護士、経営コンサルタントとして活躍されていますが、植田さんの“ビジネス書著者”としての魅力はどこにあると思われますか?

また、今回は“交渉術”についての企画ということで、このテーマについて、植田さんが執筆されることのメリット、魅力はどこにあると思われましたか?

 

鈴木潤さん(以下、敬称略):植田先生の魅力としては、やはりこれまでに豊富なご経験をお持ちだということに尽きると思います。

サラリーマン、経営者、弁護士とコンサルタントと、いろんなシチュエーションを実際に体験されておられることは、机上の空論にはなりえない、非常に説得力を持った言葉になります。

多作の植田先生ですが、「交渉」をテーマにした著作はまだない、ということでお願いしました。

 

───本書では「相手をだます」「感情に流される」など、“交渉の場においてやってはいけないこと”を挙げた上で、正しい交渉ノウハウを植田さんの経験をもとに展開していました。このような見せ方にした狙いは何ですか?

 

鈴木:交渉をテーマにした本がいくつかある中で、植田先生という著者の魅力とは別に、何か切り口が欲しいと考えたとき、見せ方に1つルールを設けたほうがわかりやすくなるのではないかと考えました。

「●●してはいけない」という見せ方は、他テーマの本でも見かけますが、今回のテーマではまだ見当たらなかったというのもあります。

なるべく、1テーマを簡潔に見せて、「やってはいけない」としながらも、各終わりには「すべきこと」をポイントとして紹介することで、とにかくシンプルさ、わかりやすさを心がけました。

 

───本書では読者がすぐに活用できそうな「絶対に負けない交渉術」がいくつも紹介されていましたが、そのなかで、鈴木さんご自身がすぐに使えそうと思われた、あるいは実践できた交渉術はどのようなものですか?

 

鈴木:いずれも、すぐに活用できる交渉術が紹介されていますが、“交渉の場でやってはいけないこと”のなかでも、「落としどころに縛られる」(勝つためのルール:相手のこだわるポイントを見抜き、落としどころは柔軟かつ臨機応変に考える)というのは、改めて気をつけなければと思いました。

私自身、慎重なところがあり、事前に考えてある程度の答えを持って臨むことが多いのですが、ようやくたどりついた自分の答えに縛られてしまい、そこにこだわるばかりに、もっとベターな結論があったとしても、それを検討するところまで思考が至らず、結果、自分で可能性を狭めてしまっているなと思い当たることもありましたので。

ですから、なるべく柔軟に対応することを心がけるようになりました。

それ以外でも、「相手の土俵に出向く」(勝つためのルール:交渉は心理的に落ち着ける自分の土俵で行う)なども、なるほどと思い、打ち合わせはなるべく相手に来てもらうようにしました(笑)。

もちろん、出向く機会も多いですが、そうした場合でも、「のまれないように」と意識するようになりましたので、何かしらいい結果につながっているのではと思っています。

 

───今回のカバーは、ブラックをベースにタイトルがホワイトとゴールドという、シックで高級感があるデザインでしたが、どんなコンセプトでこのようなデザインになったのでしょうか?

また、“交渉術”がテーマの類書は数多くありますが、それらの本と差別化するために、カバーデザインも含めて、タイトルや販促方法などはどんな工夫をされたのでしょうか?

 

鈴木:当初、差別化するという意味で、まったく違う色味のカバーも検討してみたのですが、やはり交渉というテーマを扱うにあたって重要なのは「信頼感」のようなものだと思い、ある程度、重みを感じるような色合いに落ち着きました。

装丁も実績のあるデザイナーにお願いし、写真を上手くデザインに落とし込む方なので、インパクトのある写真を用いることで、他の本との差別化を図りました。

 

───本書はどのような方に読んでもらいたいと思いますか?

 

鈴木:まずは、やはり仕事で「交渉」とは言わないまでも、人と接することが多く、何かしらの取引を行うような方には読んでほしいと思います。それに、たとえば社外ではなく社内であっても、他部署との調整などが必要になる場合もあると思いますので、そういったビジネスパーソンにぜひ読んでいただきたいです。

また、わかりやすさを心がけたので、若い人でも読みやすいのではないかと思います。前のインタビューで植田先生もおっしゃっていましたが、交渉は人生においても必要な要素となりますので、ビジネスパーソン以外の人にも、軽い気持ちで読んでいただけたら嬉しいです。

 

───鈴木さんが最近手がけられたのはどんな本ですか?  簡単にご紹介ください。

 

鈴木:主にビジネス書が多いのですが、ジャンルは様々で、最近では「潜在能力」と「不動産投資」をテーマにした本を担当しました。

刊行時期が重なってしまい、いずれもイラストをふんだんに用いた本にしたこともあり、かなりしんどい状況でしたが(笑)。

「交渉力」に続いて、「才能の引き出し方」や「不動産投資での成功法」も知ることができて、自分がどんどんすごい人間になっているのではないかと(願っています)。

 

───鈴木さんは、普段企画を考える際、どんなことを大事にされていますか?

また、今後手がけてみたいテーマがあれば、教えてください。

 

鈴木:これはよく言われることですが、やはり読者目線に立って、世の中で関心が高いものを取り上げるというのはいつも心に置いています。

それに加えて、著者についても、語ることがある人、語りたいことがある人というのを念頭に、探したり、お願いしたりするようにしています。

今後手がけてみたいものとしては、ビジネス書というような一定の枠に収まりながらも、老若男女に読まれるような、読者を選ばない本をつくることがいつかできればいいなと思っています。

 

───「一緒に本をつくってみたい」と思う著者はどんな人物ですか?

逆に、「こんな著者とは一緒につくりたくない」と思うのは、どんな人物ですか?

 

鈴木:前の質問で答えてしまいましたが、まずは自分を持っている人です。

とはいえ、我が強い人という意味ではなく、語るべきこと、語ることのある人です。

もちろん、そのほかにも、メールなり電話なり返事をきちんとくれる人だったり、時間や約束を守れる人だったり、挙げればキリがないですが、一定の常識のある人とはやはり仕事がしやすいかなとは思います。

一緒につくりたくないと思うのは、今挙げたことの裏返しでしょうか(笑)。

 

───本作りにエージェントが関わることのメリットにはどのようなことがあると思われますか?

 

鈴木:世の中にはいろんな面白い方がいて、そのような方々を自分で探し出すことができれば一番いいのですが、なかなかそういうわけにもいかず……というときに、可能性を持った著者の方々を紹介してくれるエージェントの存在は、ありがたいと思います。

本を出したい著者と書き手を探している編集者の間を取り持ってくれるわけですから、ある種、“お見合いの席を設けてくれる世話好きのおばちゃん”のような感じでしょうか。

 

───最後になりますが、ビジネス書作家を目指すメルマガ読者のみなさまに、メッセージをお願いします。

 

鈴木:えらそうなことは何も言えませんが、「本を出したいから書く」ではなく、「語りたいことがあるから書いてみた」というのが一番大事なのではないかと思います。

より多くの人に、有益になりそうな情報を発信したい、一人でも多くの人に幸せになってほしい、という想いがないと、本ができたとしても読者はついてこないのではないかと。

また、世の中には本当にいろいろな人がいて、そうした人から新たな気づきや発見が得られるということも、本の持つ素晴らしさだと思いますので、ご自身が人とはちょっと違う経験を持っているのではないか、これはひょっとすると新しいのではないか、と思うことがあれば、それをまとめてみて、一度周囲の人の意見を聞いてみる、といったことから始めてみるのもいいのではないかと思います。

 

───鈴木さん、ありがとうございました!

 

ブログをお読みの皆さんで、本にしたら絶対売れる!!という企画・原稿をお持ちでしたら、弊社あてにご応募ください。

くわしくは企画原稿検討の要項をご覧ください。検討させていただきます。

ご意見・ご感想は(info@appleseed.co.jp)までお願いいたします。

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鬼塚忠

アップルシード・エージェンシー代表。大学在学中に英国留学し、卒業後は働きながら、4年間で世界40か国を巡る。帰国後、海外の本を日本に紹介する仕事を経て、独立。「作家のエージェント」として、多くの才能を発掘している。自身でも小説を執筆し、著書に『Little DJ』『カルテット!』『花いくさ』『風の色』等がある。

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