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【編集者インタビュー】岩谷健一さん(ビジネス社)「すごすぎるけれど、行動すれば誰でもできるマーケティング手法が魅力」

書籍づくりの現場ではどのような作業が行われているのか。実際に本を出版した著者と、その担当編集者のインタビューを公開します。企画の経緯から執筆・編集・デザイン・売り方まで、生の声をお届けします。

 

書籍:『とことん観察マーケティング』(ビジネス社)

とことん観察マーケティング
野林徳行
ビジネス社 (2013-01-09)
売り上げランキング: 201,466

 

編集者:岩谷 健一さん(ビジネス社)

 

 

 

───著者の野林徳行さんとお会いになったときの第一印象はどうでしたか?また、今回の企画内容をご覧になって、どんなところに魅力を感じられたのでしょうか。

あらためて、書籍化するまでの経緯を教えてください。

 

岩谷健一さん(以下、敬称略):初めてお目にかかったときの野林さんの明るさが、とくに印象に残っています。

お話を伺い、大きな仕事を細やかに、大切に、そして大胆に行う方だと感じました。

企画内容に関しては、その具体性に魅力を感じました。

スーパーマーケットに24時間立ち続けて商品の動きを観察した話、リクルートの求人誌『ガテン』創刊時に600人以上の読者対象者に一人で聞き取りをした話、ローソンの店先でお客さんに直接インタビューをした話など、従来のマーケティング本にはない、行動をともなう手法にまず驚きました。

そして、労力を厭わない野林さんの方法論を打ち合わせで伺い、いい意味で「なんかヘンな人だ」と感じた次第です。

 

───野林さんへのインタビューで、「とことん観察マーケティング」というタイトルを決めるのに苦労したと伺いました。最終的になぜこのタイトルに行き着いたのでしょうか?

どんな読者を想定し、何を伝えたかったのかなど、岩谷さんご自身がこだわったポイントも交えて教えてください。

 

岩谷:想定読者は20代から30代。マーケティングの部門にいるような方だけではなく、実際に商品を作り、商品を売る現場にいる方々です。

なので、マーケティングの教科書のような感じにはしたくありませんでした。

タイトルに関しては、野林さんの「じっくり見る」「とことん聞く」という部分が伝わるものにしたいと考えていました。

 

───本書が初めての著書となる野林さんに、執筆にあたってどんなことをアドバイスされましたか?

 

岩谷:アドバイスというほどのことは何もありません。

オビの部分に「クレージー・マーケター」という言葉を使いましたが、野林さんの過剰さ、やり過ぎな感じが、具体的なエピソードから伝わってくる原稿であってほしいと考えていましたし、そのような原稿を書いていただけたと思います。

投入している時間、集めるデータの量は圧倒的ですが、野林さんの手法そのものはたいへんオーソドックスなものであり、誰でもできることです。

そのためのヒントを野林さんが体験した多くの事例から読者に伝えていただきたいと、執筆前にお願いした記憶があります。

 

───マーケティング関連の類書との差別化を図るために、タイトルやデザイン、売り方など何か工夫されたポイントや、苦労された点がありましたら教えてください。

 

岩谷:タイトルの部分で書きましたが、装丁に関しては、教科書っぽくならないようにと考えました。

 

───岩谷さんが最近手がけられたのはどんな本ですか? 簡単にご紹介ください。

 

岩谷:1冊目は『南相馬少年野球団 フクシマ3.11から2年間の記録』(岡邦行)です。

原発事故により15あった南相馬市の少年野球チームは、ばらばらとなりました。震災で選手、指導者が亡くなったチームもあります。

そこで、現地に残った関係者と各地に避難している保護者が連絡を取り合い、2011年6月、総勢28人、小学6年生を主体とする「南相馬市少年野球教室」と、小学5年生以下の「南相馬ジュニアベースボールクラブ」が結成されました。

この少年野球チームに福島県南相馬市出身のジャーナリストが2年間密着。原発禍におけるスポーツの現状、子どもたちの生活を追ったルポルタージュです。

2冊目は『ヒロシマからフクシマへ 原発をめぐる不思議な旅』(烏賀陽弘)です。

なぜ日本に原子力発電所があるのか? 核分裂の莫大なエネルギーを人工的に作り出し、実用化したのは第二次世界大戦中のアメリカです。

そして、それは「原子爆弾」、つまり兵器として生まれ落ちました。それを「原子炉」という容器に閉じ込めてエンジンに使い始めたのもアメリカです。

つまり福島第一原発に使われている技術はアメリカが生まれ故郷なのであり、核兵器と原子力発電は同じ技術から生まれた双子の兄弟なのです。

「戦争」と「アメリカ」を親に生まれた双子の兄弟「核兵器」と「原子力発電」の歴史を訪ねアメリカ全土を取材。本書は、日本に未曾有の災厄をもたらした原発の故郷から見えた「核」の歴史をリポートしたものです。

 

───岩谷さんは、普段企画を考える際、どんなことを大事にされていますか?

また、今後手がけてみたいテーマがあれば、教えてください。

 

岩谷:企画やテーマによりますが、10年間、書店にあり続ける本をつくりたいと考えています。

 

───「一緒に本をつくってみたい」と思う著者はどんな人物ですか?

逆に、「こんな著者とは一緒につくりたくない」と思うのは、どんな人物ですか?

 

岩谷:逆に、一緒に本をつくりたいと思われる編集者でありたいです。

著者の人格、人物に対する注文はとくにありません。

 

───本作りにエージェントが関わることにはどんなメリットがあると思われますか?

 

岩谷:スタートの段階で企画の方向がはっきりしていること。契約条件がはっきりしていること。

プロモーションに関して共同で展開できることです。

 

───最後になりますが、ビジネス書作家を目指す読者のみなさまに、メッセージをお願いします。

 

岩谷:ビジネス社は広く書籍企画を募集しています。

新しい生き方、新しい考え方、新しい仕事の方法論を提示していただける著者とともに本をつくりたいと考えています。

 

───岩谷さん、ありがとうございました!

 

ブログをお読みの皆さんで、本にしたら絶対売れる!!という企画・原稿をお持ちでしたら、弊社あてにご応募ください。

くわしくは企画原稿検討の要項をご覧ください。検討させていただきます。

ご意見・ご感想は(info@appleseed.co.jp)までお願いいたします。

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鬼塚忠

アップルシード・エージェンシー代表。大学在学中に英国留学し、卒業後は働きながら、4年間で世界40か国を巡る。帰国後、海外の本を日本に紹介する仕事を経て、独立。「作家のエージェント」として、多くの才能を発掘している。自身でも小説を執筆し、著書に『Little DJ』『カルテット!』『花いくさ』『風の色』等がある。

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