PRライターという仕事

広報部がなくてもテレビ出演へ。経営者が心がけたいPRの基本~ニューヨークのシェアハウス「K’z Guest Room」竹房 裕貴さん~

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広報・PRと担当者に限らず、経営者や運営メンバーであれば「自社をうまくPRできればな……」と考えていらっしゃると思います。

今回、お話を伺った竹房 裕貴さんが運営メンバーとして関わるニューヨークのシェアハウス「K’z Guest Room」には、PR担当者がいません。

それにも関わらず、NHK番組やフリーペーパー、Webメディアで度々取り上げられています。お客さまが絶えることもありません。

「K’z Guest Room」は、ニューヨークで展開するシェアハウスです。日本人を中心に創立からおよそ9年で、管理部屋総数は186部屋を突破。

2017年6月現在では、累計利用者数は6500組をこえています。

PRのプロではないにも関わらず、PRに成功している秘訣とは、一体何なのでしょうか。PRライター伊藤聡志が取材させていただきました。

 

 

人気の秘訣は口コミ!?利用者が人に勧めたくなるサポートが自慢

───NHKドキュメンタリーを含め、さまざまなメディアに取り上げられていますが、竹房さんは、どのようなPRをされてこられたのでしょうか。

竹房裕貴(以下、竹房):ありがたいことに、これまで、いくつか取材をしていただいているのですが、実は「メディア露出のために何かをしている」というわけではないんです。

うちは、何よりも口コミと紹介を重視しているんです。

 

ニューヨークには、いろいろな業者がいますし、英語ができない日本人は苦労することも多いです。だから、安心して過ごすことのできる住居を提供することを大前提にしています。

安心していただくためには、会社として、人としても「信頼」してもらうことが、大切ですよね。

 

「信頼」を築くには、私たち当事者がどんどん情報を発信するよりも、お客さまの経験が伝わっていく方が、説得力があると思うんです。

そんな風に「人が人を呼ぶ」という運営方針を意識してきました。その積み重ねが、利用者数や運営年数につながり、メディア露出にもつながっていると思っています。

 

───2017年6月現在では、累計利用者数は6500組をこえているとのことですが、やはり紹介がほとんどなのでしょうか。

竹房:そうですね。時期によりますが、3〜5割は紹介によるご入居です。

以前、ご利用いただいた方が日本へ帰って「ニューヨークへ行くんだったらこういうところがあるよ」と、お伝えしてくれるんですね。

「広めてください」と頼んでいるわけではないんですが、おすすめしたくなるような場所であるよう心がけています。

ただ住んでいただくだけではなく、トラブルや不安に対しては誠実に対応する。

さらに、交流できるようなイベントを開いたりして、ニューヨークを楽しんでもらうためのお手伝いをしているんです。

 

入居者同士で親友になったり、カップルになったり、いろんな出会いが生まれていて、それが僕たちのやりがいでもあります。

 

お客さま満足度を高めるために、まずはスタッフのフォローを

───PRとは、ステークホルダーとの信頼関係の構築だと言われています。まさに、その本質を追求していらっしゃるんですね!

竹房:そういうことになりますね。ステークホルダーといえば、お客さまだけじゃなく、スタッフもそうですよね。

自社の理念には、「全スタッフの物心両面の幸せを追求する」というものもあります。これは、京セラを創業された稲盛和夫さんからお借りしている言葉なのですが。

うちには、インターンを含めてスタッフは10名以上いるのですが、直接お客さまと接する時間が長いのは、経営陣よりも彼らです。

だから、彼らがやりがいを持って仕事をしてくれれば、それがお客さまにも伝わるはずなんです。

 

人間って、感情によって左右される生き物ですから、自分自身が幸せに過ごしているからこそ、接する人たちのことも幸せにしようと思えるんだって、考えています。

だから、スタッフの幸せを追求することも大切にしていますね。

 

───お客さまの満足度を高めるためにも、スタッフの幸せを追求しているんですね。

竹房:はい。ニューヨークって、お客さまに「+α」のケアをしてあげることが、とても大切なんです。

日本人って、文化として和を重んじるから、ことを荒立てない人が多いんですよね。
うちみたいに日本人が運営していないシェアハウスに入居してトラブルがあっても我慢してしまう人がたくさんいるんですよ。

 

とくに来たばかりでは英語もままならないですよね。つたない英語で伝えようとしても伝わらない。
理解できるまで耳を傾けてくれるようなオーナーではない場合も少なくありません。そんなことが続き、「辛い。もう、ニューヨークはいいや」と、夢半ばに帰ってしまう人たちもいます。

だから、同じく海外で生活する私たちがサポートをして、トラブルを減らし、1人でも多くの人がニューヨークで快適に住めるようになればいいなという思いで続けてきました。

 

スタッフがお客さまのために「+α」のケア、たとえば一言でも励ましの声をかける余裕を持っておくだけでも、ニューヨークで諦めずに夢を追える人を増やすことにつながると思います。

 

嘘は言わない。等身大でいる。それが信頼につながる

───他にも、PRの成功につながる「信頼」を築いていく上で、気をつけていらっしゃることはありますか?
竹房:嘘を言わないというのと、等身大でいるということですかね。すごく気をつけています。

実際に、トラブルを0にすることはできないんですよ。ニューヨークの建物は古いので、天井が落ちてきたり、雨漏りしたり、お湯が出なくなることもあります。

それを隠すことはせずに、そういったことが実際に起こり得る、そして何ができて何ができなくて……ということを事前にお伝えます。

その上で、もし何か起こった時には全力で解決するようにしていますね。

 

日本であれば、業者さんに電話をかければ、1時間もあれば対応してくれますよね。でも、ニューヨークでは、それはできないんです。

業者さんが「今日は気分じゃないから」というような理由で来てくれない、なんてことが、しょっちゅうあるんですね(笑)

もちろん解決に向けて尽力しますが、不確かなことを言わないというのはすごく大事にしています。

 

───これまであまりPRには力をいれていなかったとのことですが、今後はどのようなことをしていかれる予定でしょうか。

竹房:つい3か月ほど前に、ウェブサイトを新しくしました。それまで8年間使っていたものは、スマホやタブレットに対応していなかったので、作り変えたんです。

プレスリリース配信もしましたし、まずは、もう少し露出を増やすためにどうすればいいかというのを「考える時間」を作るようになりました。

 

そして、やはりお客さまやスタッフを含めた人びとのつながり、関係性をさらに大事にしていくことですね。
なるべく多くのお客さまにニューヨークに来てほしいですし、快適に生活してほしいと思っています。いつでもお待ちしていますよ!

 

インタビューを終えて

こんにちは。インタビューを担当した伊藤聡志です。

取材を通して、PRでは「長期的視点」と「ステークホルダーに貢献する姿勢」が大切だと感じました。

K’z Guest Roomでは、メディア露出は「顧客の満足度向上」に努めてきた結果であり、口コミは「人と人との繋がりを大事にした関係づくり」に注力してきた結果ということでした。

ステークホルダーに価値を提供し続けていることが結果につながっていますね。

この記事を通して、少しでも皆さまのお役に立つことができれば、僕も嬉しいです。

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(取材・執筆:PRライター 伊藤聡志/編集:吉川実久)

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is Closet のPRライター

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