普段、1時間当たり1,000円の売り上げをあげている人のもとに、5,000円/時間の案件が届いたら……。
今の5倍ですからね、私なら胸の高鳴りを抑えられないでしょう。手元の仕事を中断して、案件の詳細を読むと思います。
そして、自分にできる案件なら大喜びで「ぜひ!やらせてほしい」と返事をしていました。ここだけは、敢えて過去形です。
「おいしい案件」は自分の心が辛くなる
自分で、この案件は「おいしいな」と思ったら要注意。
自分の実力が伴ったうえで、単価が上がっていくのは当然です。でも、そうではないなら、一度立ち止まって考えてみることをおすすめします。
どこか居心地の悪さを感じませんか?
クライアントワークは、誤解を恐れずに言うなら、クライアントが満足してくれる成果を出せれば、それでいいのでしょう。自分がどうか、なんていうのは、後回しでいいとすら思います。
ただ、「フリーランスとして働く私」という軸で考えたとき、金額に見合った仕事ができていないのは辛いです。「クライアントは、仕事に対する相場が分かっていないだけで、相場が分かったら失敗したーと思うんじゃないか」「長期継続の予定だけど、来月はないかもしれない」「もっと格安でさらに良いものを納品してくれる別の人が現れるんじゃないか」など、不安のほうが大きくなります。
さらに怖いのが、自分自身がその実力になったと誤解してしまうこと。単価が上がればより高い質が求められますから、それが提供できないとなると、仕事を失いかねません。
結論としては、フリーランスを長く続けたいと思ったら、クライアントとWIN-WINの関係を築ける案件が一番というのが私の感想です。
真の「おいしい案件」とは何か
案件の中には、後で振り返ったときにだけ「おいしい」と分かる案件があります。
新卒フリーランス、つまり職業経験なしでフリーランスになった私にとって、あの経験があったから今があると思えるのが、真の「おいしい案件」。お金の話に置き換えるなら、1,000円/時間だった自分の能力が、5,000円/時間になれた案件です。
ただし、あくまでも案件そのもは1,000円/時間なんですよね。だから見分けるのが難しいのです。
選ぶポイントとしては、最低でも次の2つを兼ね備えている案件だと思います。
・クライアントの熱量が伝わってくる案件
自分の能力を上げていくというのは、決して簡単ではありません。「これぐらいでいいかな」といった甘え心、妥協してしまいそうになる気持ちにカツを入れてくれるのが環境です。だから、一緒に良くしていきたい、良いものを作りたいといったような仕事への熱量がビンビン伝わってくるクライアントとの仕事は、真の「おいしい案件」になる可能性があります。
・価格に見合う価値が提供できて、自分が成長できる案件
仕事は勉強の場ではないですね。だから、価格に見合う価値を提供できることが、大前提。そのうえで、自分が成長できそうと思える案件を選ぶのがおすすめです。
先日、4歳の三女が初めてチアダンスのイベントに出ました。列に並び待機している間は、顔が引きつり、今にも泣き出しそう……。でも、何とか周りのお姉さんチアリーダーに手を貸してもらい、泣かずに務め上げることができました。この経験で、娘は、ものすごく自信がついたようで、次のステージを楽しみにしています。お客さんも楽しんでいたようですので、これも真の「おいしい案件」と言えるのかもしれませんね。