Webライターになりたくて。

ねとらぼさん何やってんすか! 「バズるタイトル」メソッドも教えちゃった「ねとらぼ大飲み会」レポ

9月16日、インターネットの旬な話題を発信するメディア「ねとらぼ」が「ねとらぼ大飲み会」を開催しました。会場となった阿佐ヶ谷ロフトAは満員御礼。

「飲み会」の名の通り、登壇者も参加者も全員ドリンク注文がマスト。ほろ酔いになったねとらぼの編集部員が、ニュースサイト制作の裏話を語ってくださいました。今回は、ネットコンテンツを制作する上で役立つお話をピックアップしてご紹介します。

(小村トリコ)

 

「すいませーん、ジャスミンハイひとつください!」

着席とともに飲み物を注文して、ゆるーい雰囲気でトークが始まった。

「ねとらぼ」はアイティメディア所属のニュースサイト。いわゆる「ネット民」と呼ばれるコアなネットユーザーに向けて、バズネタを次々と配信している。月間1億PVを突破するなど、いわずと知れた超人気サイトだ。

 

今回登壇者として集まったのは、ねとらぼ編集長をはじめとした各コーナーの編集者たち。第一部では、ねとらぼとはどんなメディアなのか? どんな人がどのような思いで作っているのか? 編集部の体制は? など、謎が多いねとらぼの裏側が明かされた。

 

ねとらぼ流・記事タイトルのつけ方

 

続いて第二部の話題は「ねとらぼのつくりかた」。

ねとらぼのタイトルはどうやって付けられているのか?

登壇したのは、ねとらぼ編集部のたろちんさん、コンタケさん、池谷さんの3名。編集部内では「タイトル神」と呼ばれており、ねとらぼの記事タイトルで迷った際はこの3人が“審議”を行うとのこと。

 

「ネット記事は、やっぱりタイトルがすごく大事です!」

と、熱く語る面々。

タイトルがよくないとみんな記事を読んでくれない。そもそもクリックすらしてしてもらえない! じゃあ圧倒的なアクセス数を誇るねとらぼのタイトルってどんなものなんだろう? ということで、ねとらぼ流タイトルのつけ方事例が挙がった。

 

①爆誕メソッド

例:やばいヤツきた 「明星一平ちゃん夜店の焼うどん」みたらし団子味・あんこ団子味爆誕

 

爆誕とは「爆発的に誕生」の略語だ。独特のインパクトとドライブ感で、ネット民の心をつかみやすく、まとめサイトなどで頻繁に使用されている。

ねとらぼでは一時期、タイトルに爆誕を使いすぎて「ねとらぼといえば爆誕」と揶揄されるようになってしまったのだそう。そこで現在は社内に「爆誕評議委員会」を設けて、本当に使っていいラインなのかを見極めながら使用しているのだとか。

クリックされやすい単語を取り入れることは大切だが、多用は厳禁。あくまでバランスが肝心ということだ。

 

②暴挙メソッド、「○○さん、何やってるんですか」メソッド

例1:【告知】ねとらぼが6年ぶりにファンイベントを開催する暴挙 9月16日、阿佐ヶ谷ロフトAにて

例2:ドアラさん何やってるんですか! “ドアラのカタキをうって”シリーズがステーショナリーグッズになって登場

 

爆誕と同様、これらもネット民が好む独特の言い回しだ。Twitterのハッシュタグとしても根強い人気がある。「とりあえずつけておけば面白くなる」と編集部のお墨付き。

 

しかしネット民に人気があるというのは、裏を返せば「素人が好んで使っている」ということ。記事作りのプロであるところのねとらぼ編集部員が、なぜあえてそういった言葉を選ぶのか。

「一般ユーザーと同じ目線の記事にできるので、かたい内容の記事もやわらかくなる効果があります」と編集部員。

ねとらぼのメイン読者は、インターネットを“エンターテインメント的に”楽しむネット民。たとえ内容がハードな時事ネタであっても、おかたい記事だと思われてはいけない。言葉の選択によって、読者に与える印象を調整しているというわけだ。

 

③「→」メソッド

例:「引っ越ししたので未来なお部屋を作ってみた」→本当に未来すぎると話題に

 

「コレをしたらこうなった」という、フリとオチのような二つの事象を「→」で効率よくつないでいる。ネット記事のタイトル特有の表現だ。ねとらぼがこれをタイトルに使うようになったのは2011年ごろ。まとめサイトがよく使う「草生やす」(www)の代替として始まったという。

 

上のタイトル例に草を生やすと、

「引っ越ししたので未来なお部屋を作ってみたwww」

となる。これでは不真面目感が出すぎてしまう。近いニュアンスを出すために「→」を使用し始めたのだそう。最近は新聞社系のメディアでも採用するところが出てきているのだとか。

 

見出しはパワーワードを使え

 

タイトル作りのポイントはズバリ、パワーワードを入れること。

「見出しに入れられる言葉の強さを、Sランク、Aランク、Bランクと分類していって、一つのタイトルの中にいくつ盛り込めるかで“見出しの強さ”が決まります」

 

たとえば「この食べ物をこうやって食べるとうまいです」という内容を、「悪魔の食べ物」というパワーワードに変換する。するとものすごい食べ物のように感じさせることができる。

普通に紹介したらそんなに面白くない内容であっても、言い回しの工夫でバズらせることができるという。ニコニコ動画のタグや大百科など、一般のネットユーザーが考えたワードには巧妙なものが多く、「野生のタイトル職人」として編集部も一目置いているのだそう。

 

「ネット民としてのツッコミの視点を持っているかは非常に重要ですね。ネットの人だとこういうところに喜ぶよね、ということを大事にしています。事実をストレートに伝えるのは新聞と変わらないけれど、そこに『こう見ると面白いんだよ』という角度を少しだけ加える感じです」

 

タイトルは読むものじゃない

 

しかし、パワーワードを詰め込もうとするあまりに情報過多になってしまっては意味がない、と編集部は警笛を鳴らす。

長すぎるタイトル、クリシェ(ありがちな言葉)を使ったタイトルはなるべく避けたいもの。

特に気をつけたいのが、黒いタイトルになってしまうこと。「黒い」とは、難しい漢字や熟語が多く、余白が少ないことを指す。ぎゅっと要素がつまり、文字でまっくろなタイトルになってしまうと、読者は読む気を失ってしまう。

 

「タイトルの良さは文字の見た目でわかります。意味を持つ文字としてではなく、絵としてとらえると、いい悪いが1秒で判断できる。見た瞬間にパッと頭に入ってくるのが一番いいんじゃないかと思います」

 

結論:タイトルは読むものではない。見るものだ。

ここで会場から拍手喝采が起こった。

 

ねとらぼの裏側が知れただけではなく、Webライターとして役に立つテクニックが得られた今回のイベント。

最後は会場からの質問が止まらず、異様な熱狂のなか幕を閉じた。次回開催がたのしみだ。

 

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小村トリコ

シアトルの日本語新聞『SoySource』編集長を務めたのち帰国し、現在は東京で活動中。ライフワークは「人の話を聞く」こと。コトリ二羽とニンゲンのさんにん暮らし。

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