地方でフリーランスとして生きること

プレッシャーは増し、苦しさからは逃げられないと悟るライター14年目の冬

新卒で地元、鹿児島でフリーランスになった私。個人事業主が何かもよく分からず、大した知識もなかったことからできた選択だったようにも思います。

その日から長年の月日が経ち、ライターとしての経験は14年目になりました。
経験を積めば、仕事はラクになり、プレッシャーと上手に付き合えるようになると思っていたのに……。毎日、余裕などなく、必死です。PCの前に座ってもプレッシャーで仕事が手に付かず、何度も何度も深呼吸をしている自分がいます。
こんな将来が待っていると知っていたら、私はどこかで方向転換をしていたでしょう。「こんなはずじゃなかった」と思うぐらい、今の自分の状況は想定外ですから。

でも、今の状況が好きで、やっぱりこの仕事は辞められないなって思います。

 

経験を積んでも仕事はラクにならない

ライターとしての1年目は、150文字の文章を書くのに、半日以上の時間をかけていました。それを思うと、今の自分は、内容もスピードもかなり改善されたと思います。そして、対応できることも増えました。

ただ、経験を積んだ分だけ、仕事がラクになったかと問われれば、全然そんなことはありません。苦労せずに書けた原稿は皆無。程度の差はあれど、頭を悩ませ、苦しみながら生み出しています。
もっと経験を積めば、変わってくるのでしょうか!?
答えは分かりませんが、この苦しみは働き続ける限り一生続くような気がします。
自分のスキルが伸びると見える世界が変わります。つまり、基準、標準になることもアップデートされていくのです。仕事を始めたばかりの頃の私は、どれが良い記事か分かりませんでした。自分の原稿の何がダメなのかも、分からないことのほうが多かったです。
一方で今は、こんなすごい記事を書けるライターさんがいるんだと思う機会が増えました。自分の未熟さ、思い描いたことができない無力さを感じることも多いです。その中で、必至に目指す形を求めるから苦しむのでしょう。
ただ、10年以上続けたことで分かったのは、仕事はラクにはなっていないけれど、苦しさも楽しさの一つだということ。決して嫌ではないんです。もしかしたら出産と似ているのかもしれませんね。

仕事の依頼があった瞬間(妊娠が分かったとき)に喜び、書きながら(出産)もがき苦しみ、原稿を書き終えたとき(出産直後)に大きな達成感と喜びがあります。3人目であっても出産は大変でしたので、その点もライティングと同じです。

プレッシャーを感じるのは、成し遂げたい想いが強いから

仕事へのプレッシャーには、周囲の影響によるものと、自分の想いからくるものの2種類があると考えています。
周囲からのプレッシャーというのは、ノルマであったり、期待であったり。一方の自分の想いからくるプレッシャーは、成し遂げたい気持ちの強さによるものです。
経験を積むことで、周囲からのプレッシャーには慣れてきました。たぶん、プレッシャーそのものが日常のひとつ、当たり前のことになったのでしょう。
ただ、自分の想いからくるプレッシャーは、潰されないように向き合うことに必死です。良い評価をもらいたいとか、結果を出したいとかいうのを通り過ぎ、想いがあふれだし、止まりません。そんな状況になり、初めて自分はこの案件がこんなにもやりたかったんだと気付くことも。おそらく、自分の中に潜在的に存在していたやりたいことが、仕事の依頼をきっかけに噴き出すのでしょうね。
この種のプレッシャーを感じた案件を成し遂げた後は、経験上、見える景色が変わります。それを知っているから、何度も何度も深呼吸をして、気持ちを落ち着かせプレッシャーをエネルギーに変えるのです。
最後に……。
何度も書きますが、経験を積んだからといって仕事がラクになるとは限りません。むしろ、プレッシャーは増し、苦しさが増すケースもあるでしょう。逃げ出したくなったり、隣の芝が青く見えたりする日もあると思います。
辞めることがマイナスだとは思いませんし、辞める選択がベストなこともあります。一度リセットするのもいいでしょう。

ただ、「他人は騙せても、自分は騙せません」。自分にやりたい気持ちがあるなら、辞める理由探しをするのではなく、続ける方法を探してみてはいかがでしょうか。

続けることで見えてくる世界もあるはずです。

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奥地 美涼

都会で働くキャリアウーマンを夢見て東京の大学院に行ったものの、企業に就職することなく、2005年から故郷である鹿児島でフリーランスという形で仕事をしています。地方に住みながらも約7割のお客様は関東の会社です。ライター業からスタートして、今はWeb関連の業務を主に担当しています。仕事に関するご相談は、HPの「実績&お問い合わせ」、あるいはTwitterのDMよりご連絡をください。

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