※本記事は #ninoyaTV – 019「KPIを追求する社長に疲弊しています」をもとに、読みやすく編集を加えた記事です。
亀田:皆さんこんにちは。ninoyaTV司会の亀田です。
古越:古越です。
亀田:本日もよろしくお願いします。この番組では、皆さまからお寄せいただいたWebマーケティングのご質問にお答えしております。本日もご相談をいただいております。
KPIを追求する社長に疲弊しています
あるWebサービスを運営している企業の社員です。社長命令で、会社全体が日々KPIを追求しています。その弊害か、サービスのデザインが明らかに崩れてきており、果たしてこれで正しいのかと疑問を持っています。1社員のご相談で恐縮ですが、ninoyaさんならどのようにお考えになるか伺いたく、投稿しました。
古越:ありがとうございます。社員さんのご相談も大歓迎です。
URLもいただいているんですけど、これは出せないですね(笑)。
状況としては割とあるケースなので、考え方をお話ししていきたいと思います。
ポイント1 KPIとKGIとは
古越:まずKPIとは何か。KPIはキーパフォーマンスインジケータの略で、業績評価指標といわれています。ある事業やプロダクトがうまくいっているかどうかについて、何の数字をもって測るとよいかをピックアップして決め、それをKPIと呼びます。目標を達成するための定量的な指標ということですね
もう一つ上にKGIという企業全体の目標がありまして、それを事業やチーム単位に分解したものがKPIにあたります。
亀田:KGIが会社目標で、KPIがサービス目標ですね。
古越:おっしゃるとおりです。KPIを置くと、明確に数値で目標を測っていけるので、所属する社員に逆算思考を促していけるメリットがあります。結果的に企業の業績達成につながっていく。これがKPIを使った仕組みです。
亀田:そうすると、良いことという感じがしますね。
ポイント2 KPI運用の課題は手段の先鋭化
古越:基本的には良いことです。ただ、今回のご質問のように弊害もあります。目標を達成するために手段を選ばなくなってくる傾向があると、例えばWebサービスで短期的に売り上げを上げようというとき、割引のクーポンをどんどんバナーで出したり、「サービスに加入すると安くなりますよ」といったキャンペーンを連発して、短期的に売り上げを上げていく手法をとることがあるんです。
亀田:質問者さんがおっしゃっていたとおりですね。
古越:経営者さんから、KPI必達という強い動きが掛かると、そういうバナーが次々出てくるということがあったりします。最近ではこのようにデザインを壊すのを防ごうと、会社の中のデザイン部門がサービスのデザインガイドラインを作って、デザインを崩す施策を防ぐケースもありますが、まだそんなに普及していません。サービスの法律といえるものがないと、デザインと社長の号令のどっちを大事にするのかは、社風に依存してしまいます。
おそらく質問者さんの会社だと、社長さんが短期的な売り上げの号令をかけたので、サービスのデザインが崩れていろんなキャンペーンが出ているのだと推察されます。
亀田:なんだかかわいそうな気がします。
ポイント3 数値と美意識のどちらを大切にするか
古越:この状況で厄介なのは、なまじ数字が出るために、懸念されている施策が続くこと。一方、デザインが崩れても、崩れたから何なのかを数字で証明しないと、社内で聞いてもらえないと思うんです。
亀田:つまり会社が正しいということですか。
古越:数字的には、社長さんや上長の方の取り組んでいる施策が正しいという結論になってしまいます。ただ、短期的な売上増の施策を連発していると、当然、デザインが崩れているという感性を持つユーザーさんもいらっしゃるでしょうし、時間をおいて見てみると、解約率が上がっていたり、一人当たりのトータルの売り上げが徐々に下がっているケースがあるんです。でもそのリスクは、今は全く見えないので、KPIを売り上げだけに置いている場合は、当然売上増の施策だけが優先されていく。
こういうケースはうちに相談に来られたお客さんでもあって、その場合は、短期と長期どっちを優先していくのか、それぞれのメリットとデメリットをお話しします。あとは、KPIをとるときに売り上げだけにおいてしまうと、売上増の施策がどんどんドライブしていってしまうので、会員さんの継続率や、一人当たりの売り上げ、それとクロスした状況がおかしくなっていないかを見るためのKPIも一緒に加えてあげて、どうしていきましょうかとするケースが多いですね。
強いていえば、質問者さんが、デザインが崩れているんじゃないかと懸念されている部分は、僕も同じように思うことがあるので、そういうのがあったときに、数字でご自身の正しさが証明できなかったとしても、そういう不安を持っているという部分は、やっぱり社内にぜひ伝えていただきたいとは思います。
亀田:思いのほか広がったお話でしたね。
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