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※当記事は、コロナ禍のスキルアップ支援プロジェクトとして、ライター初心者の方々に成長機会を提供した記事です。 これまでの記事同様「PRライター」と記しておりますが、PR講座等で学んだPRライターさんではなく、今回1度限りのクレジット掲載となります。
当記事においては執筆の多くのサポートとクオリティ管理を、PR講座を修了した編集担当者が責任を持っておこないました。 クレジット掲載につきまして、is Closet(itty selection)およびninoyaが、「PRライター」としてのスキルを保証するものではございませんので、ご了承くださいませ。
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PRは「ファンづくり」にも通じる、ステークホルダーとの関係づくりをベースにしてビジネスを発展させていく概念です。近年では「コミュニティづくり」がPR成功へのキーになりつつあります。
宮脇恵理さんは2002年、ご家族の経営する大分県の会社からミヤシステム株式会社を独立分社化。女性経営者と出会える機会が少なく、もっと多くの女性に起業家や経営者として活躍してほしいと考え、2013年に女性起業家・企業家プロジェクトiGCを発足しました。iGCは現在、約400名が在籍するコミュニティに発展しています。
宮脇さんはメンバーやお客さまと、どのように関係をつくり、人が集まるコミュニティを育てたのでしょうか。PRライター田崎愛がうかがいました。
情報を届けるには、伝えるべき相手の目線で行動することが大切
───女性起業家・企業家のコミュニティiGCは発足から1年で100名が集まったそうですね。どのようにそれだけの人を集められたのですか?
宮脇恵理(以下、宮脇):当時は女性目線のセミナーが少ないと感じていたので、ビジネスについて学べる女性向けのセミナーを開催しました。最初は5~6人の仲間で集まって、ウェブデバイスの使い方や起業についての勉強会をはじめましたね。その後、口コミが自然発生し、参加者が徐々に増えていったんです。
口コミの要因として考えられるのはまず、参加者目線で企画をしていたということです。「参加者が知りたいことはなんだろう?」という視点を大切にしていました。また、1回限りで終わりにせず、定期的に開催していたこともポイントです。
その結果、1度参加した人が友だちを誘って次の会にも参加してくれる、という連鎖が起こり、iGC立ち上げから1年が経つころにはメンバーが100名に。現在では400名に達しました。
───その後、iGCの認知をどのように拡大させたのでしょうか。
宮脇:活動内容やメンバーについてしっかり伝わるよう、まずはWebサイト構築に注力しました。周囲の人には「大分には素敵な女性起業家がたくさんいるんです!」と、お伝えしていたものの、言葉だけでは伝わりにくく、「見える化」が必要だと考えたんです。
そこで、iGCメンバー自身でご自分の紹介ページを更新できる仕組みをつくり、メンバーの情報を充実させました。また、iGC登録者の名前で検索されたときに、その方のサイトが検索結果の上位に表示されるよう、設計も行いました。
その後、外部の方に検索で辿り着いてもらえるようになるなどして認知が広まり、iGCは大分県の女性起業家創出促進事業「Oita Staring Woman」の受託にも至りました。
情報発信の際は、このように「どうすれば届けたい相手に伝わるのか」を考えた行動が大切です。
「参加者目線/メンバー視点」が、人を集めコミュニティを継続させるポイント
───Oita Staring Womanでも、イベントにマッチした参加者を集められています。どのように参加者を募っているのですか?
宮脇:大分には、「起業したい」という意欲やアイデアはあるけれど、「ビジネスへの発展のさせ方がわからない」「自信がもてない」という女性たちがいます。
そこで、さまざまな興味関心に向けた切り口のイベントを開催しています。女性起業家の先輩・仲間たちとの交流会や、マネタイズ・事業計画といった起業する際に必要な知識を学べるセミナーなどです。
それらに参加することで、起業へのイメージが明確になったり、「これならいける!」と自信がついたりした人たちは、ビジネスプラン発表会というゴールイベントにもエントリーしてくれます。
2020年2月に開催した際には、250名のオーディエンス席は2週間で満席、ビジネスプランのエントリー46件から選出された10名が5分間のプレゼンで多くの共感を得ることができました。
───iGCは発足以来、活動の幅をどんどん広げてきましたが、コミュニティ継続のためにメンバーとはどのようなコミュニケーションを行っていますか?
宮脇:メンバーの意見を傾聴することを大事にしています。
iGCは会社組織ではなく、女性起業家が集まったチームなので、みんなで方向性を決め、みんなでチームをつくる、参加型コミュニティを目指しています。たとえば、約400名いるメンバーのうち、リーダーとして活躍してくれている人には、「自分が学びたいことも大事だけれど、『仲間がどんなことに困っているのか、どんなことをしたいか』を聞き取ろうね」と伝えています。
また、SNSで発信するときはネガティブな言葉を使わないよう心がけています。日々悩むことも怒ることもありますが、コミュニティの価値や信頼を下げてしまわないよう、そういった部分は出さないように徹底していますね。
コミュニティ継続には、「メンバーがどう思うか?」という視点が大切です。
お客さまと関係を築くには、自分の力を先に提供する「ギブファースト」が肝心
───これからPRを始める人が大切にすべきことはなんでしょうか?
宮脇:相手に求めるよりも先に、まず自分が提供することです。
PRはステークホルダーとの関係づくりが要です。この関係づくりの際、自分の「ほしい」という気持ちばかりが見えるとうまくいきませんが、自分にできることを先に提供する「ギブファースト」の姿勢でいると、結果は絶対ついてくるんです。
たとえば私は、iGCで仲間にプロジェクトなどの協力を依頼するとき、その方の魅力や人柄などを関係者にできる限り伝え、その方が現場で気持ちよく仕事ができるよう、環境を整える努力をしています。
結果として、一緒にお仕事をする方からは「仕事がしやすい」「楽しい」と言っていただけることが多いですし、条件的に厳しいお仕事でも助けていただけます。
こうした「自分から先に提供する」姿勢が、コミュニティを拡大させていくのではないでしょうか。
───iGC以外でも「ギブファースト」で実を結んだ例はありますか?
宮脇:iGCのほかに、私が経営するシステム会社・ミヤシステム株式会社の事例をお話しましょう。
ミヤシステムでは、お客さまにご相談いただいた際、自分たちにできること・知っていることを出し惜しみなくすべてお伝えすることにこだわっています。
その結果、大分県の小さな会社ながら、北海道から沖縄まで全国1000社のお客さまと関係を築くことができ、メーカーとして成り立っています。これは、自分たちからまず歩み寄る姿勢や、求めるのではなく提供することに軸を置いて取り組んできたことが実を結んだからです。
どんな事業においてもいえますが、相手に「ギブ」する姿勢が、良好な関係づくりにつながります。すぐに結果につながらなくても、よい関係をつくりつづければ、必ず頼っていただける日がきますよ。
インタビューを終えて
インタビューを担当させていただいた田崎愛です。情熱やこだわりをもってお話をしてくださる宮脇さまの言葉には心動かされるものがありました。ギブファーストのマインドで行動されていたからこそ、宮脇さまの活動が多くの方に支持されてきたんですね。
PRの根幹である信頼構築やファンづくりの重要性を改めて認識しました。
今後オンライン化の加速が予測されている中で、人と人とのつながりがますます大切になっていくのではないでしょうか。私自身も良好な人間関係を築くために、ギブファーストを丁寧に行動に移していきます。
(取材・執筆:PRライター 田崎愛 / 編集:PRライター 五十嵐綾子)
関連情報
・女性起業家・企業家プロジェクトiGC
・ミヤシステム株式会社