こころをつなぐ翻訳の心得

翻訳会社から見た中国語。2種類ある中国語と使いかた

中国の料理である中華料理はとてもおいしくて、最近までは世界の工場と言われていながら、実は今でもmade in chinaが欠かせない毎日の生活。マーケットは国土の広さや人口の多さから世界最大級であり、最近ではインバウンドで日本へ旅行にやってきた中国人が「爆買い」という言葉で表されるように、日本でたくさんの消費をしてくれてます。

 

そんな中国は、日本とは切っても切り離せない関係ですが、翻訳でも中国語は英語に次いで需要が高くなっています。ただ簡単にはいかない中国語、翻訳では2種類あって、使い分けがとても重要となっています。

 

中国語翻訳の入り口

翻訳のお仕事で中国語のお問い合わせがくると、まずは中国語の種類を聞きます。「簡体字ですか?それとも繁体字をご希望ですか?」。この質問をすると、電話の向こうにいるクライアントが驚いた反応を示すことがあります。「え?それはどういうことでしょう」と。そして、中国語翻訳の説明から仕事が始まります。

 

書き言葉の中国語は、「簡体字」と「繁体字」の2種類があります。何が違うかというと使われている場所が異なっていて、簡体字は中国本土、繁体字は台湾や香港、マカオで使用されているのです。

 

日本語から中国語への翻訳で「どちらがおすすめですか?」と聞かれたら、どの国や地域で翻訳を使用するのか、ターゲットは中国人か台湾人かなどを確認してから提案を行います。気軽に「どっちでもいいですよ」とはお答えできないほど、この2種類の中国語には大きな違いがあるのです。

簡体字と日本の結びつき

簡体字と繁体字では、日本人にとってどちらが馴染み深いかといえば、繁体字でしょう。見た目が日本の漢字により近いですから。しかし翻訳ビジネスから見ると、中国語翻訳は圧倒的に中国本土で使用されている簡体字が多くなっています。

 

中国は日本のお隣の国であり、また日本企業が国内だけでマーケットをクローズさせずに海外へ展開しようとする時、中国の大きな市場は非常に魅力的だからです。そのため、工業技術や金融、芸術、漫画、アプリなど分野に関係なく、中国語翻訳は簡体字が優先されています。

これは中国があらゆる角度から日本のビジネスや生活に深く浸透していることを示していますが、同時に日本からも多くのものを送り出していることを表してもいます。

 

日本と中国は経済でお互いに利益をあげながら、同時に気持ちのレベルでもたくさんのことを同じように楽しみ、共感しているんだな、と中国語の翻訳のお手伝いをしているといつも感じます。

繁体字と日本語と希少言語

中国語翻訳のご相談を受ける時、繁体字のみであったり、簡体字と繁体字の両方をお願いします、とお話の最初から言われる時があります。このような依頼では、中国語のことをきちんと理解していて、ビジネスであれば明確な戦略があるなという印象を持ちます。繁体字は台湾や香港、マカオで主に使用されていますが、簡体字と比較するとマーケットは圧倒的に小規模です。

 

にもかかわらず、繁体字へ翻訳するということは、ターゲットを明確にしてビジネスを展開するということであり、翻訳を最大限に活用しようとする意図もはっきりみえます。このような案件は、翻訳会社としてはちょっと嬉しくもなります。ただ、この喜びは繁体字の翻訳に限ったことではなく、世界中の希少言語への翻訳の時にはいつも感じることです。

 

ちなみに日本語ですが、世界からみると日本人しか話さない言語であり、客観的には希少言語となります。日本語は世界から見ると稀な言葉であり、とても難しいと認識されてるんですよね。アルファベットしか使わない英語からすると、漢字やひらがな、カタカナの使い分け、確かに外国人には難しいだろうな、といつも思ってしまいます。

翻訳会社にとっての中国語

日本語は昔の中国からの影響を受けているので、日本語と中国語の漢字はとてもよく似ています。もちろん、同じ漢字でも意味の異なる場合も多いのですが、それでも言いたいことはなんとなく伝えることができ、また理解できてしまうのが漢字です。

発音が全く違って会話ができなくても、筆談で大まかなコミュニケーションがとれてしまう中国語。書き言葉と話し言葉で全く異なる二面性を持っていますが、翻訳会社としてはとても面白くてやりがいのある言語です。

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八戸秀一

株式会社桜想 代表取締役。フランスへ留学し、仏語を習得後にパリ大学へ入学。映画制作を学ぶ。留学期間約4年6ヶ月。帰国後は映像制作会社を経て、仏語教師やアテネ・フランセなどで語学教育に従事。その後、翻訳・通訳に携わり2014年に桜想を設立。多言語翻訳サービス、多言語・インバウンドコンサルティングを提供。

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