こころをつなぐ翻訳の心得

翻訳家として活躍したいあなたへ。翻訳者への入り口

翻訳者になること。

それは語学力を活かして、翻訳というソリューションで日本と海外の懸け橋となり、高度な知性や専門性、文章力を発揮して、ビジネスや社会のグローバル化に貢献することです。

翻訳者を目指す以上、語学力は最低限の条件ですが、今回は翻訳スキルについては触れません。語学学校や通信教育、独学などでしっかりと向上させてください。

翻訳者同士による情報交換でもない、翻訳会社の視点から翻訳者に求めることをお伝えします。

 

 

翻訳会社と翻訳者のコミュニケーション

翻訳会社への登録では、一般的には書類とトライアルによる選考が行われます。この選考では翻訳者の実力を測ることは当然ですが、同時に実際の発注までをイメージしたコミュニケーション能力も評価します。

翻訳会社と翻訳者の関係は、元請けと下請けになりますが、翻訳会社としては下請けに発注するというよりも、共同で作業しクライアントに品質の高い翻訳を納品するパートナーという考えがあります。納期の調整やクライアントからの要望をはじめとして調整することは多数あるので、お互いの意思疎通がとても重要なのです。

コミュニケーションスキルは、応募書類やメールの文面、その後のやりとりなどで判断します。ビジネスレベルでのコミュニケーションやマナーは、大切なポイントなのです。

 

応募書類について

翻訳会社では選考資料として、履歴書と職務経歴書の提出をお願いすることが多いと思います。

ただ残念ながら、不備のある書類が数多く見られます。応募書類の一方が欠けていたり、使いまわしで言語や分野、志望動機などの記述が不十分なケース、さらに誤字・脱字も散見します。

またメールアドレスを家族と共用し、守秘義務に対しての疑念をもつこともあり、これらの場合、たとえキャリアが素晴らしくても書類選考の段階で不合格となります。

 

応募書類については、ワードやエクセルで作成し、メールで送信することをおすすめします。桜想では履歴書に写真までお願いしています。

これは容姿の判断ではなく、PCスキルを知るためです。原稿には、文章だけではなく写真や図形、イラストなどが含まれていることがあります。さらに最近では、クラウド上でクライアントと原稿を共有し、翻訳を直接流し込む納品までありますので、画像データの処理やレイアウト調整、さらにインターネットのスキルまで翻訳会社としては把握しておきたいのです。

また、翻訳支援ツール(Tradosなど)が使用できる場合は、しっかりと明記してください。

 

書類選考では、文面以外から翻訳者としてのモチベーションや人間性までが伝わってきます。翻訳会社が書類選考でチェックルする項目は、翻訳者としての経歴、パソコンスキル、ビジネスとしての人間性です。この3つのポイントはしっかりとアピールしてください。

 

トライアルについて

書類選考を通過すると、次はトライアルです。ここからが翻訳者としての腕の見せどころです。ただ、翻訳会社からの指示はしっかりと確認してください。

 

トライアルではフォーマットを定めている場合があります。指定内容は書類のタイトルであったり、返信メールの件名、フォントなどです。この段階でもミスが非常に多く、採点にも大きく影響しますので注意してください。

 

トライアルの提出については、一般的には1~2週間程度でしょうか。翻訳ではスピードが重要なので、翻訳会社が送信した翌日に返信して頂けることもあります。もちろん、このスピード感はマイナスではありません。ただ、品質をより重視してください。このようなトライアルを拝見すると、納品は早くても固有名詞や数字など基本的な部分でさえ間違っていることがあります。

「そんなつまらないことを…」と思うかもしれませんが、皆さんが思っている以上にこの単純ミスは多いのです。そして、トライアルで求められるのは、プロとしての翻訳スキルです。受験レベルの語学力では全く通用しません。専門知識や文章の流れ、読み手に対しての配慮まで丁寧に行って翻訳会社に返信してください。

 

未来の翻訳者へのお願い

翻訳者として活躍するには、翻訳会社への登録が入り口であり、大きな難関でもあるでしょう。選考では、翻訳者としての実力とビジネススキルの両面を検討して合否を決定します。そのため、翻訳スキルへの行き過ぎた自信や、高いだけの意識や理想は忘れてください。翻訳は仕事なのです。

そして、ぜひ複数の翻訳会社に応募してください。翻訳の先にいるクライアントまで想定して書類やトライアルに挑むと、その先が見えてきます。翻訳会社は、皆様の想像以上に未来の翻訳者に期待していますし、そしてお待ちしております。

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八戸秀一

株式会社桜想 代表取締役。フランスへ留学し、仏語を習得後にパリ大学へ入学。映画制作を学ぶ。留学期間約4年6ヶ月。帰国後は映像制作会社を経て、仏語教師やアテネ・フランセなどで語学教育に従事。その後、翻訳・通訳に携わり2014年に桜想を設立。多言語翻訳サービス、多言語・インバウンドコンサルティングを提供。

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