こころをつなぐ翻訳の心得

訪日外国人と呼ばれる海外からのお客さん。やっぱり怖い?

「訪日外国人」という漢字。見ただけでなにやら難しそうです。

「外国人」の部分は分かりますが、「訪日」がつくと、何の意味なのか不明なこの言葉。いったい何を指しているのかと、初めて見た時は疑問に思いました。実はこの言葉、日本に旅行でやって来る外国人観光客、つまりインバウンドビジネスの対象となるお客さんのことなのです。「もっと分かりやすく!」とも思いますが、言われてみれば分かる、という感じですね。

 

訪日外国人の方々は、文字通り日本を訪れてくれます。そして旅行を通じて結構な額のお金を使ってくれます。昨年は2,000万人に近い外国人が1人当たり平均でおよそ175,000円も消費してます。合計すると3兆5,000億円にもなりますから、ビジネスから考えるととても魅力的です。

ただ、ひとつ大きな問題があります。彼らは日本語が話せません。当然ですが困ります。とは言っても、英語で話しかけられても困ってしまいます。かっこいい英会話はハードルが高そうです。でも、英語さえ話せない人だとさらに困るし、いろいろ複雑ですね。

 

 

なんか恐そう

毎日の生活で、買い物に行ったりカフェやレストランで友達と一緒に過ごすと、日本人の店員さんが普通に日本語で話してくれます。最近は外国人の店員さんも増えてきましたが、それでも日本語でO.K.です。ただ、自分が店員になってインバウンドで外国人のお客さんに対応することになると、話はガラリと変わります。反射的に「なんか恐い」とつい思ってしまいます。

 

この「恐い」という感情は、今までずっと日本語で過ごしてきのだから当然です。ただ、訪日外国人のお客さんに対しては、そこまで恐がらなくてもいいかなという感じもします。なぜかといえば、外国人のお客さん達は日本の空港や港を出た時から、英語さえ通じないということを肌で実感しています。

「I can’t speak English.」というフレーズは何度も聞かされ、話しかけようとしたら逃げられた経験もきっとしています。英語以外ならなおさらでしょう。旅行初日の2~3時間で、スムーズなコミュニケーションには見切りをつけて、簡単な英単語を少し並べて最低限の知りたいことを聞く、このスタイルに変えている場合が多いのです。

インバウンドであれば、質問はいくつかのパターンに決まってくるので、それに対しての返答を用意しておけば大丈夫です。ただ、イレギュラーな質問や、粘り強い外国人ももちろんいて、ましてや英語以外だとどうしようもありません。そんな場合は、別の方法で解決します。ツールを使ってコミュニケーションをとるのです。

 

ツールを使ってコミュニケーション

ツールを使って解決、というと何か難しそうですが、言い換えると道具を使ってコミュニケーションをとるということです。このツールにはアナログとデジタルがあって、アナログは指差しツール、デジタルはスマートフォンやタブレットなどの翻訳・通訳アプリです。

 

アナログの代表である指差しツールは、長い間使用されてきました。しかし、現場での使用は手間と時間がかかるので、最近ではあまり使われません。そして何よりも、現代にはインターネットがあります。グーグルをはじめとして様々な企業が無料翻訳を提供していますし、英語だけではなくて中国語や韓国語、フランス語など多くの言語に対応しているのでとても便利です。

欠点としては、いろいろとかなり間違っているところですが、内容は十分に伝わります。そして、このレベルで相手に伝わるなら自分レベルの英語でもなんとかなると思うこと間違いありません。実際、何とかなりますから。

 

「恐そう」と思われる外国人の気持ち

日本に来て、数時間で言葉の通じないことが分かる訪日外国人。

ただ、日本人からすると言葉は通じないし、文化も違う。ましてや全く知らない人だから、申し訳ないけど恐いと思ってしまうことを理解してほしい、というところでしょう。この気持ちはよく分かります。今まで日本人と日本語でしか仕事や生活をしていないのですから。

でも反対に、「恐そう」な外国人はどんな気持ちなのでしょう?

調査によると、外国人観光客が日本でがっかりするのは、「逃げられる」の他に無視されたり、話しかけてもらえないということでした。せっかく日本に遊びに来てくれたのに、このような感想は寂しいし、外国人ももちろん傷ついています。

日本人や外国人という国籍や言葉の問題に関係なく、人の感情はみんな同じなんですよね。嬉しかったり悲しかったりするのです。親切にしたいのに、それができないジレンマ。日本人が大切にする「おもてなし」で接することができたらいいな、といつも思います。

 

恐そうに思えた外国人と一緒の風景に

恐そうな外国人におもてなし。

日本を楽しんでもらいたい気持ちはあっても、最初の一歩やひと声はとても難しくて、そんな自分をとてももどかしく感じてしまいます。今まで私達はグローバル化という言葉を耳にはしていても、仕事やプライベートで身近に直接感じることはあまりありませんでした。しかし今はインバウンドを通して外国からのお客さんを迎えるようになり、街中でも観光地でも外国人のいる風景は日常的になりました。

インバウンドという、やや意外なかたちでやってきた外国人との接点。ちょっと恐くてジレンマで、それでもツールや度胸を活かしてそんな風景に溶け込んでみませんか?けっこう楽しいものですよ。

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八戸秀一

株式会社桜想 代表取締役。フランスへ留学し、仏語を習得後にパリ大学へ入学。映画制作を学ぶ。留学期間約4年6ヶ月。帰国後は映像制作会社を経て、仏語教師やアテネ・フランセなどで語学教育に従事。その後、翻訳・通訳に携わり2014年に桜想を設立。多言語翻訳サービス、多言語・インバウンドコンサルティングを提供。

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