2016年6月、渋谷・道玄坂に新たな書店がオープンしました。
その名も、『BOOK LAB TOKYO』(ブックラボ トーキョー)。
オープン前からクラウドファンディングで資金調達を目指し、最終的には1500万円の目標金額に対して2700万円の支援を集めるという大成功を収め、各所で話題となりました。
今回はそんな『BOOK LAB TOKYO』さんをはじめ、クラウドファンディングによってあちこちに生まれつつある次世代型書店についてご紹介します。
つくる人を応援する書店『BOOK LAB TOKYO』
BOOK LAB TOKYO – 渋谷・道玄坂の書店、コーヒースタンド
『BOOK LAB TOKYO』のコンセプトは、「つくる人を応援する」。プログラミングやアプリ開発といった分野にとどまらず、自然科学に建築、料理といった広い意味で何かを「つくる人」を応援するべく立ち上げられたプロジェクトとなっています。
実際、店舗はそれら分野の専門書・ビジネス書を1万冊も取り揃えた「本屋」として運営されています。と同時に、本格的なコーヒーを飲むことのできる「カフェ」としても利用可能。さらには、最大80名規模までの貸切イベントにも対応しています。
本屋とコーヒースタンドが同じ場所にあるけど、ここはブックカフェとは少し違うものです。専門書も多いため、一部の見本紙などを除いて、会計前にテーブル席へのお持ち込みは基本的にできないようにご案内をしています。これは出版社とのコミュニケーションや交渉の中でも、重要なことであり、業界としては歓迎される取り組みでした。
(渋谷に新しい本屋を作りました。 | もっちブログ – Webサービス開発や起業日記 / Labit 鶴田浩之の個人ブログ)
本プロジェクトを進めてきたのは、株式会社Labitの鶴田浩之さん。スタートアップ企業の代表として活動されている鶴田さんが今回、ただのブックカフェではなく「スタートアップ書店」というコンセプトをまとめて立ち上げたのが、本プロジェクトとなります。
「知らない本と出会い、クリエイティビティが刺激されるような本屋さんを作りたい」との思いから、こうしたコンセプト・運営形態を選んだという鶴田さん。自分のまわりにも「また行ってきたよ!」と何度も訪れている人の話を聞きますし、これからの動向が気になるお店です。
本と人がつながる場所『森の図書室』
コンセプト書店と言えば思い出されるのが、同じく渋谷・道玄坂に店を構える『森の図書室』。2014年にクラウドファンディングでの資金調達に挑戦し、10万円の目標に対して950万円を集めるという大成功を収め、同年7月にオープンしました。
発起人・森俊介さんの「渋谷に夜の図書室をつくる」という夢から始まった、このプロジェクト。2016年3月には表参道ヒルズに2号店がオープンするなど、知る人ぞ知る人気店舗となっています。
『森の図書室』の特徴は読んで字のごとく、本を借りられる「図書室」であること。席料500円を入店の際に払えば、あとは店内の本を自由に読んだり、借りたりすることができます。さらに飲食メニューに加えて、夜遅くまで利用可能、お酒が飲めるというのも大きな魅力ですね。
「図書室」ということで少し性質は異なるかもしれませんが、「クラウドファンディングを利用して生まれたコンセプト書店」という点では、ネットのみならずマスメディアでも紹介されるなど、大きく話題になった店舗だと言えるでしょう。
まとめ
こういったプロジェクトの先駆けとしては、2013年に資金調達を行なった『天狼院書店』などの存在もあります。いずれも「本屋さん」であることに変わりませんが、各々に特有のコンセプトを持って運営されている、ちょっと変わった、でも素敵な書店です。
地域のコミュニティとして人が集まる場所になっていたり、一般的な書店では見られない品揃えが魅力的だったり、本を読みながら飲食をするなど思い思いに過ごすことができたり。
年々、街の書店の数は減りつつあると言いますが、一方ではこのようなコンセプト書店が注目を集め、しかもクラウドファンディングで莫大な資金が集まるほどには求められているという現状。「本屋さん」に求められる機能、あるいは立ち位置といったものが、徐々に変わりつつあるのかもしれません。
とは言え、いくら「ネットで話題!」と言われていても、読んだだけではピンと来ない人も多いのではないかと思います。まずはぜひ一度、それら書店を訪れ、店舗の雰囲気に触れて、選書を見て、実際に体感してみてはいかがでしょうか。