酒と泪と女と女

恋愛は“男女の社交術”にすぎない? 結婚には人として向き合う“自己開示”が必要
桐谷ヨウ(ファーレンハイト)× 福田フクスケ × 川崎貴子対談(第3回)

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「なぜ、男性は結婚にコミットしないのか?」元外資コンサル出身で人気恋愛コラムニストの桐谷ヨウ(ファーレンハイト)氏と、非マッチョ・文系の“くすぶり男子”代表であるフリーライターの福田フクスケ氏をお招きし、その謎を紐解いていきます。

(文/福田フクスケ

 

恋愛は不安の共依存、結婚は安心の共同構築

古越:男性は、結婚に対して“責任”という漠然とした重荷を抱えていたり「まだモテるはずだ」という“呪い”に縛られていたりするんですね。そこへ、女性が「私の不安を解消するために結婚してほしい」というスタンスを露骨に見せてしまうと、余計に結婚にコミットしたくなくなってしまうんだろうなと思いました。

 

福田フクスケ(以下、福田):今はまだ、生活を安定させるためや、不安を解消するために結婚したい女性が多いのが現状ですよね。でもこの先、女性の賃金や待遇が男性と対等になって、女性が一人でも安心して生きていけるようになれば、今度は逆に「結婚かあ、どうしようかなあ」と迷っている男性はどんどん置いていかれて、結婚したい明確な意志を持った人しか結婚できなくなっていくと思うんです。男も女も、基本自分の足で立っていることが理想の相手の条件になっていくんじゃないでしょうか。

 

川崎貴子(以下、川崎):私も、女の人には常々「自分で食べていくことが基本だよ」と言ってるんですけど、自立していれば、女性も選ぶ立場になれて、相手にヘタに固執せず、自分のタイミングで結婚できると思うんだよね。

 

桐谷ヨウ(以下、桐谷):それは経済面だけの話ではなく、“精神的に自立して生きる”という気概も含めてですよね。そういう女性はめちゃくちゃ魅力的な存在だと思う。

 

福田:たまに人から恋愛相談を受けていてすごく感じるのが、女の人は相手の一挙手一投足に不安になりすぎで、逆に男の人は相手の不安に鈍感すぎで、その2人の共依存みたいな関係によって成り立っている恋愛が世の中にはすごく多いなってこと。でも、結婚生活となると、その不安を2人でひとつひとつつぶしていく調整能力が絶対必要じゃないですか。

 

川崎:結婚って、安心・安定というステージを築き上げていくことだからね。

 

福田:恋愛のときは“男の役割”“女の役割”を演じていればよかったけど、結婚は役割を離れて“人間”としてぶつからないといけない。でも、相手を受け入れたり、自分を明け渡したりというコミュニケーション・スタイルが苦手な人は、男女問わず多いんだろうなって。

 

桐谷:僕は、外では甘えたがりのキャラって出してないんですけど、彼女といるときはすごくかまってちゃんなんですよ。

 

川崎:え、すごい甘えたがりだと思ってたけど。

 

福田:川崎さんには見抜かれてたね(笑)。

 

桐谷:それは川崎さんが海千山千のいい女だからですよ(笑)。フクスケさんが言うところの“男の役割”“女の役割”で接してくる人は、「あんまり弱みとか言ってくれなさそう」とか言うんです。でも、人間として「この人どういう人なんだろう」と見てくれている女性は、やっぱり甘えたがりなところを見抜くんですよね。

恋愛ってあくまで“男女の社交術”みたいなところがあるから、結婚を考えているような相手に対しては、それと同時並行で、怖がらずに“素の部分”を出していく技術を磨かないと、安心・安定ベースの関係を育んでいくのは難しいよなと思います。

 

福田:今はほとんどが恋愛結婚だから、みんな入り口はその“社交術”のスキルを使って交際が始まるんだけど、どこかで“人と人の付き合い”にシフトしないとうまくいかないよね。

 

“男女の社交術”から“人と人の付き合い”にシフトしよう

川崎:うちの夫は私と出会うまで、彼女と1年以上付き合ったことがなかったんですよ。人間関係の修復経験というものがなくて、何か嫌なことがあると「あ、なんか怒ってる、こわーい」って全部逃げてきた人なの。それでも、ダンサーだからクラブに行けばモテるし女の子が寄ってくるから、付き合う人には困らなかったんだよね。だから、最初は安心・安定のコミュニケーションを築くのが大変で。

 

福田:それだけ聞くと、まったく結婚に向かない相手に聞こえますよね。

 

川崎:何かを詰めようとすると逃げるから、まずは「おいこら、逃げるな!」って、比喩じゃなく首根っこをつかまえるところから始めて(笑)でも、繰り返しやっている中で二人のルールが出来て行って、彼は家事育児をしっかり担当してくれて本当に助かったよ。元々コミュニケーション力は低かったけど、コミット力は高いと見ていたから粘れたんだと思う(笑)

 

桐谷:それ、川崎さんだからできたって話で終わらせたくないですよね。逃げ癖のある男は、どうすれば相手に人として向き合えるんだろうか? っていう。

そういえば僕、会社員時代に尊敬してる先輩にけちょんけちょんに怒られたとき、「この人をここまで怒らせるってことは、俺、本当にダメなんだな」と思って、すげーがんばれたんです。それって男女の仲でも同じで、「彼女にそこまで言わせたら、自分は人としてヤバいな」と思えるかどうかって関係になっているかが大事だと思うんですよね。

 

川崎:女の人は「ダメだけどかわいい」「この人には私がいなきゃ」みたいな動機で動く人も多いけど、男の人は上下関係とか尊敬なんかでちゃんとコミットしてないと本当に言うこと聞かないよね(笑)

 

福田:それもやっぱり、“男女の社交術”としてではなく、相手に人として敬意を持てる関係になれるかどうかにかかってる気がします。

 

桐谷:関係をクロージングするまでは気取ったりかっこつけることも必要だと思うけど、いざ付き合い始めたら、早めに仮面をはずして、ほころびを見せるのが大事だと思ってるんです。

僕がいまの彼女を初めて部屋に呼んだときに、クドカンの『マンハッタンラブストーリー』って大好きなドラマの第1話を一緒に見たんですね。世間的にはマイナーだし、一見くだらないドラマなんです。でも、「俺はこんなバカっぽいのが好きな人なんだよ」ってニュアンスを確認しているんです。そういうノリに引いちゃう人とはずっと一緒にいられないし。彼女は、そもそもこのドラマが好きだったみたいで、「この人、間違いないな」と思いました。なんの話だ(笑)。

 

福田:人として向き合えるかって当たり前のことだと思ってたけど、“社交術”としての振る舞いに惹かれたまま、素の部分を自己開示できずに付き合い続けちゃうカップルって、意外と多いのかもしれないね。

 

桐谷:そこが乖離したままだと、仮面をしたまま付き合うことになっちゃうしね。なるべく早く自己開示しておくと、ミスマッチも防げるし、結婚につながる相手とのマッチングに近付けるのは間違いない。”多方面モテの次のステップ”だよね。

 

第4回に続く)

 

・桐谷ヨウ(@yohkiritani

・福田フクスケ(@f_fukusuke

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川崎貴子

リントス株式会社代表。経営者歴21年。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女のプロ」の異名を取る。プライベートではベンチャー経営者と結婚するも離婚。8歳年下のダンサーと2008年に再婚。12歳と5歳の娘を持つワーキングマザーでもある。著書に『私たちが仕事をやめてはいけない57の理由』(大和書房)、『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(ベストセラーズ)、『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(総合法令出版)、二村ヒトシとの共著に『モテと非モテの境界線 AV監督と女社長の恋愛相談』(講談社)等がある。

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