インターネットを巡る旅

バイラルメディア問題に見る、現代の「コンテンツ」に対する考え方

更新 :

先日、こちらの記事が話題になっていました。

 

 

ざっくり言えば、ウェブコンテンツの無断転載や悪質な画像利用をしているとされる「BUZZNEWS」に対して、ライターのヨッピー(@yoppymodel)さんが真意を問うべく話し合いに出向き、謝罪文を引き出すに至った、というものです。

 

かなり長文のレポート記事となっておりますが、読む価値アリです。

 

本件に関しては、他のブログやメディアでも取り上げられ、そもそもの「バイラルメディア」の是非を問うような話にも発展していますが、その辺りの話についてはここでは書きません。

 

個人的に共感したのは、記事の後半でヨッピーさんがまとめている3つの「提案」です。この点について、自分なりに思うことを整理しました。

 

 

1:メディア間で著作権の取り扱いに関して協定を作る

メディア同士で一度話し合いをしてみてはいかがでしょうか。
全員同じルールの上で戦うのなら公平ですし、勢いあまって法律を無視するようなメディアに追随するような風潮はある程度防げるかと思います。
大手と呼ばれるようなところが一度集まって同じルールを運用してみてはいかがでしょう。

 

僕個人の印象かもしれませんが、ウェブ上に限らず、メディア周辺の取り決めには「暗黙の了解」が多すぎるというイメージがあります。しっかりと明文化された「規則」ではなく、ずっと続けられてきた「伝統」や周囲に合わせた「マナー」のようなもの。

 

その全てが悪いものでもないとは思いますが、そのような独特の文化圏が形成されることで、無視されてきた人やモノもあるのではないでしょうか。

 

そういう意味で“協定を作る”までは行かなくても、現在、影響力のあるメディア人や有識者が集まる機会を設けて、「著作権」に関する意識を広く議論・共有することは有意義であると感じます。

 

 

2:元ネタにはリスペクトを

本音を言えば毎回確認を取るのが筋だとは思いますが、何万人もフォロワーがいる人に対して確認すると流れてしまうこともあるでしょうし、ネットの強みである即時性が失われる可能性もありますので、現実にはなかなか難しいかもしれません。

 

とはいえ、無断だとしても好意的に紹介していただく分には歓迎するクリエイターがほとんどだと思います。

(中略)

なので、コンテンツを食い散らかすのではなく、ちゃんと元ネタにはリスペクトを持って記事を書いてください。

 

正直に言ってこれは、メディア、消費者、クリエイターなどに関係なく、誰もがある程度は意識するべき最低限の「モラル」だと思います。

 

とにかく、ウェブ上にはコンテンツが多すぎる。

 

有料無料に関わらず大量のコンテンツが日々、生み出され、ものすごい勢いで消化され続ける中で、どうもそれらを「適当に扱っていいものだ」と勘違いしてしまっているような場面が散見されます。

 

僕も実践できているかどうかは怪しいので偉そうなことは言えませんが、元ネタ・紹介元のコンテンツに対して敬意を払うのは、それを消費する側として当然のことではないでしょうか。

 

たとえお金を払っている場合であっても、娯楽としての楽しさや有益な知識、あるいは刺激や気づき、学びといった何かしらの「情報」をその対価としてもらっている以上は、最低限の礼儀として、リスペクト精神は忘れないようにしたいものです。

 

 

3:権利侵害については各運営が厳正に対処

例えばBUZZNEWSの記事はクラウドソーシングによって集められたライターが書いたものが多数含まれております。
こういうクラウドソーシングのサイトを覗くと、「指定の記事をリライトしてください」というような案件も多数あるのですが、「リライト」って要するに「元ネタはこちらで指定するので、表現を変えて同じものを作れ」という指示ですね。

 

以前、ランサーズの案件にブチ切れたことがありますが、ああいうのがまかり通っていることが権利侵害を助長していることに間違いはありません。

ランサーズ編集部がまるで仕事をしていない事が判明(外部サイト)

(中略)

これらの企業に、もう少し権利侵害について敏感になっていただければ権利侵害に憤る人もだいぶ減るかと思います。

 

先日、“クラウドワークスがマザーズ上場”と話題になっておりましたが、クラウドソーシングサービスは非常に便利な半面、広く普及したことで問題点も指摘されるようになりました。

 

報酬の未払いや買い叩き、スパム行為の補助案件などの問題が指摘される中、ヨッピーさんの指摘する“権利侵害を助長する案件”も現実問題として存在しているようです。

 

スパムに関しては、気づいたユーザーらの指摘によって案件が削除されるようなケースもあるようですが、権利侵害に関しては外側からでは判断が難しく、たまに発見されても氷山の一角でしかないのではないでしょうか。

 

自然淘汰されるようなものでもないと思うので、この問題に関しては、どうにかして運営側に対処いただきたいものです。

 

 

まとめ

無理やり一口にまとめてしまえば、ふたつめの「元ネタに対するリスペクト」さえあれば、このような悪質なパクリがまかり通ることもないと思います。

 

広く言えば、「コンテンツに対するリスペクト」ですね。

 

いくらソーシャルメディアが普及したと言っても、自身が情報という名のコンテンツを日頃から発信しているという意識を持っている人は、まだ少ないのではないでしょうか。

 

言い換えれば、傍観者意識。自分は外側の人間で、ただただコンテンツ消費し続けているだけのように見えても、ひとたびその感想や情報をウェブ上で共有してしまえば、傍観者ではいられません。

 

シンプルな感情として、自分の発した言葉を一字一句マネされ、それが評価されているのを見てモヤモヤを抱える人は少なくないと思います。

 

誰もがみんな「発信者」たり得る現代のインターネットにおいては、誰もが「参加者」として、生み出されるコンテンツに敬意を払う必要があります。

 

でなければ、次に嫌な目を見るのは自分かもしれません。

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けいろー

フリーライター。ネットカルチャーと共に育ってきたゆとり世代。執筆実績として『HATSUNE MIKU EXPO 2016 Japan Tour』公式パンフレット等。

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