インターネットを巡る旅

プロブロガー、イケダハヤトさんの語る「文章術」とは?

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何の感情も引き起こさないような、他の誰にも話したくならないような文章はこの世に生まれた意味がない、と言っても言いすぎではないでしょう。

 

こう語るのは、プロブロガーのイケダハヤト(@IHayato)さん。高知県に移住したことでも話題になりましたが、現在も高知で「まだ東京で消耗してるの?」とブログで情報発信をしつつ家族を養っています。

 

今回は、そんなイケダさんの著書『武器としての書く技術』から、プロブロガーから見た「文章術」に関する考え方をまとめました。

 

 

基本的な「文章術」から、ブロガー向けのハウツーまで

これからの文章術は、こうした、いわば「ゲリラ戦」に対応しなければなりません。偶然通りかかった人の足を止めないといけないのです。主にウェブにおける文章は、これまでのテクニックだけでは通じません。「てにをは」に気をつけたり、起承転結を重んじたり、臨場感のある描写をしたところで、そもそも読んでもらえなければ意味がないのです。

 

本書はタイトルの通り、文章を「書く」技術を「武器」として扱うことに焦点を当てて書かれています。正しい日本語の「言葉」や「文章」を解説するというよりは、「ブログ」における文章の「書き方」を記したような内容。

 

そういう意味では書店に並ぶ他の「文章術」の本とは一線を画したものであり、「ブログ」という媒体に特化した戦略を示すハウツー本の一種と考えることもできますね。

 

オイシイ文章を作るためには以下のレシピに沿って作るといいでしょう。

  1. その文書で何を伝えたいか(料理名を決める)
  2. まず書きたいことを箇条書きにしてみる(材料を集めてくる)
  3. どういう流れがベストか考える(手順を考えながら調理)
  4. 具体例などを入れながら肉づけしていく(味付け)
  5. 伝わる文章に味つけしていく(スパイス)

 

とは言え、本の序盤で指摘されている内容は、まだ一般的な「文章術」に近いもの。

 

第1章では、句読点や語尾の調整、文章にどれだけ「自分」を出すかのバランス、本音を書く、結論から始める、などを説明しています。

 

続く第2章も、その発展形。主に「読者」目線の書き方や、文章構成、タイトル付け、など。既にある程度はブログを続けている人はともかく、これからブログを始めるような初心者からすれば参考になる点の多い部分だと思います。

 

 

イケダハヤトの「ブログ論」

本書は基本的な「文章術」を取り上げたハウツー本でありながら、同時にプロブロガーとしてのイケダさん自身の考える「ブログ論」を知ることのできるものでもあります。

 

イケダさんのブログは、たまに「炎上」することもあるくらいに賛否両論の意見を巻き起こしやすいテーマを記事で取り扱っていますが、本書に書かれている「ブログ論」も、人によっては意見が分かれるところなのではないでしょうか。

 

文章を通して何かを伝えるときには、「パッケージ」を意識しましょう。自分の知識や体験を切り出し、まとめ、タイトルをつけ、読んでくれる誰かにパッケージとして届ける。そんなイメージです。

その意味で、文章、特にブログ記事は「贈り物」に似ています。人々が集う広場に「これ、誰かが役立ててくれるといいな」と受取人の顔を見ずに、プレゼントをそっと置いておくような、小粋な贈り物です。

 

例えば、こちらの指摘は僕自身も共感できる、素敵な考え方だと思います。この意識を持っておくだけで、ブログを多くの人に読んでもらうためのフックになるだけでなく、自分がブログを書き続ける動機付けにもなるでしょう。

 

まずシンプルにいえることは、誹謗中傷は気にする必要はありません。何を言われようが、基本的にスルーしましょう。書き続けることが最優先、無駄に心をすり減らすことはありません。

本心から語った言葉が批判を浴びたとすれば、それはむしろ、喜ばしいことです。なぜなら、あなたが語ったその言葉は、周囲の人々には理解できない「新しさ」を持っているということだからです。

「新しすぎるものは周囲には理解されない」というのは真実です。もし本心からの発言が強烈な批判を浴びるのなら、それは「新しすぎること」が原因であると考えるようにしましょう。

 

一方、こちらは賛否の分かれるところではないでしょうか。誹謗中傷に対してどのように振る舞うか、というのは人によって異なる部分ではあります。

 

イケダさんのように「新しいから理解されない」という場合も少なからずあるというのは分かりますが、全てがそうとは言い切れませんし、「誹謗中傷」と「批判」の境界を誤って意義ある意見をスルーしてしまうのはもったいないようにも思います。

 

無論「必ずこうしなければならない!」という論調ではなく、判断するのは僕たち読者です。そのように「考えさせられる」内容のある本には良書が多いと僕は考えており、本書もそのひとつと言えるのではないでしょうか。

 

 

何はともあれ、考え、ブログを書こう

自らのノウハウを公にすることが難しければ、とりあえず「備忘録」としてのブログを書き始めてみるとよいでしょう。

ブログには「外づけハードディスク」のような機能があります。本のなかで気になったセンテンス、受講したセミナー、刺激を受けた話などなどを、ブログという空間のなかに蓄積し、いつでも引き出せるようにしておくのです。これは間違いなくあなたの役に立ちます。

備忘録を書くときに、意識しておきたいのは「自分の意見」も同時に記録しておくことです。たとえばこの本ひとつとっても、あなたは固有の意見を抱くはずです。「なるほど、わたしもブログを書いているが、継続が難しいというのは同感だ」と思うこともあれば、または「デタラメだ。まったく参考にならない」と思う人もいるでしょう。こうした疑問点や意見は、単なる備忘録をあなた固有の「表現」にバージョンアップする、非常に重要な要素です。

 

僕が本書の中で特に共感したのは、この部分です。僕自身、備忘録としてのブログ運営を続けてきたこともあり、「自分がどうしてブログで書いているのか」ということを再考し、整理するきっかけとなりました。

 

ブログに対する自分の思いを語っている人は多くいますが、何はともあれまずは自分自身でブログを始めて、文章を書く習慣をつけなければ何も分かりません。知識としては「そういうのもある」と知っているだけで、実感するには至っていません。

 

そのようなことを鑑みれば、本書『武器としての書く技術』はブログを始める前の導入本、あるいは始めた後の入門本として、非常に適した内容であるように思います。AmazonでKindle版を試し読みすることもできますので、興味がありましたら、ぜひ。

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けいろー

フリーライター。ネットカルチャーと共に育ってきたゆとり世代。執筆実績として『HATSUNE MIKU EXPO 2016 Japan Tour』公式パンフレット等。

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