3月に入り、2016年卒業の大学生を対象とした、企業の採用活動が本格的にスタートしました。今年度から就職活動が大きく後ろ倒しされ、本格的な選考は夏期休暇に短期決戦的に行われるそうです。
はっきりと明暗の分かれる就職活動
採用活動が始まった他方では、昨年末からインターンシップの募集をしていた企業に既に応募し、まさに今、インターンに励んでいる学生たちも少なからず存在します。人気企業ではインターンもかなりの高倍率となっているため、採用活動の前哨戦のような様相も呈しているとか。優秀な学生の青田買いだとして、批判する声も散見されますね。
そのような就職活動では、人によってはっきりと明暗が分かれがちなものです。早い段階、それこそインターン期間中に実質的な内々定を得る人もいれば、選考活動が調子良く進み複数社から内定をもらえる人も。
しかしその一方では、思うように選考を通過できず、周囲の友人から置いて行かれるような、社会から全否定されているような印象を受けることで、精神的に追い詰められてしまったり、最悪のケースに至ったりすることもあります。
誰もが当たり前に、一斉に取り組むからこそ、学生の段階から成功者と失敗者が明確に分かれるからこそ、失敗したときの絶望感は並大抵のものではないと想像できます。“人生を左右する”、“間違えたら取り返しがつかない”などとやたらと周囲が煽り立てることも、その明暗を増長しているように見えてなりません。
就職活動を失敗した人の体験談
2015年春卒業予定の大学生の内定率は、80.3%。10人中8人は就職しているわけなので、結構な割合に見えます。失敗したのはたった2人で、他はみんな「成功者」だと。
ですが、卒業生が約50万人いるとすれば、うち10万人は内定をもらっていないことになります。自分と同様か、類似の境遇にある人が、日本国内で万単位でいるという事実。そう考えると、決して少数派ではないことがわかると思います。さらに、3人に1人が3年以内に離職することも鑑みれば、その数はさらに膨れ上がります。
- 連載◇就職活動に「失敗」したからこそ、伝えたいこと | Hijicho 大阪市立大学新聞
- 僕はこうして失敗しました! 蕎麦の就職活動失敗記 – びびび新書
- 就活で失敗した僕からしたら「就活ごときで自殺するな」っていう方が無茶なんだよ – 道しかひかない堀江くらはのブログ
- 就活に失敗して思うこと
- 就活失敗して良かった
実際、ウェブ上で自分の就職活動の「失敗談」を掲載している人も少なくありません。ちょっと検索しただけでもこれだけ出てきたので。
つまり、就職活動で「失敗」したからと言って、お先真っ暗だとは限りませんし、「就職」の選択肢はひとつだけではありません。新卒一括採用というシステムが肌に合わない人だっているでしょうし、誰もが「会社員」を目指す必要もないのです。
就職活動を失敗してしまった人、失敗することに不安がある人には、このような体験談が力になるかもしれません。書籍として、小野真由美さんの『傷口から人生。 メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった』、phaさんの『ニートの歩き方』といったエッセイ本もあります。
それでも、人生は続いていく
僕自身、学生時代には就職活動がうまくいかず、やきもきしていた時期がありました。厳選して応募した中小企業に尽く“お祈り”され、関心のない分野の大企業にも対象を広げて、片っ端から書類を送るような日々。結局、1社から内定を得た時点で妥協してしまい、そのまま入社しました。
仕事自体には楽しい側面もあったのですが、それも長くは続かず。もともと、一部では「ブラック企業」という評判もある企業だったこともあり、それをこの身をもって実感する結果となりました。1年半で退職し、無職としてしばらく過ごし、個人事業主として開業。今に至ります。
あの頃は「内定」を得ることがすべてであり、入社した企業では少なくとも数年働き続けることが当たり前だと考えていましたが、そんなことはありませんでした。
就職活動は人生の途上、岐路のひとつでしかなく、その後どのように動くかは誰にもわかりません。就職活動に「成功」したからと言って何もかもがうまくいくわけではありませんし、逆もまた然り。今この瞬間だって、ひとつの「過程」でしかないのだと思います。
だからこそ、就職活動に取り組むにあたっても、決して「それで人生が決まる」とは考えないで欲しいのです。“はっきりと明暗が分かれる”と書きましたが、それも“一瞬の明暗”に過ぎないものです。一瞬に全力を注ぐことが必要とされる場面もあるとは思いますが、それで燃え尽きてしまっては元も子もありません。
“人生は選択の連続だ”なんて言いますが、まったくもってその通りだと、今になって思います。どうか就職活動に挑む学生さんが、より良い「選択」をできるよう、応援しております。
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