インターネットの世界は栄枯盛衰。過去にウェブを賑わせたテキストサイトは数少なくなり、今やまとめサイトが跋扈する一方、情報収集はスマホアプリ内で完結しているような人も決して珍しくはありません。
他方、そんなネットの片隅では、実は続々と新しいウェブメディアが登場しています。
今となってはどのような分野でもほぼほぼ「大手」サイトが存在している中、いったいどんなジャンルをメインテーマとしてメディアを運営しているのか――と読んでみたところ、そこには「ニッチ」の一言では説明できない独特の「コンセプト」がありました。
そこで、ここでは4つの新興ウェブメディアを取り上げつつ、そこから(個人的に)感じられた特徴と共通点をまとめてみました。
SOLO
「おひとりさまで生きる人のためのメディア」をコンセプトに、さまざまな「おひとりさま」に向けたコンテンツを発信している、SOLO。ジャンルは「恋愛と結婚」「ライフスタイル」「フード」「エンタメ」と分類されており、女性目線・女性向けの記事が多いようです。
ライター陣も、家入明子さん、はあちゅうさん、まんしゅうきつこさんといった話題の女性ライターを数多く迎えており、固定読者も数多く獲得しているように見受けられますね。
一方では、角川書店から発売された『ひとりぼっちを笑うな』の売れ行きも好調な、蛭子能収さんへのインタビュー連載なども展開しており、幅広い「おひとりさま」を意識したコンテンツ作りをされている印象を受けました。
MTRL
一方こちらは、男子高校生~大学生あたりをターゲットとしているとおぼしきメディア。サイト概要が見当たらないので文面からイメージする形にはなりますが、「明日のモテるを配信中!」と銘打っていることから、最新の流行を積極的に取り上げ発信しているようです。
記事ジャンルも「ファッション」「HOW TO」「ビューティー」など、いわゆる“イケてるメンズ”を目指している読者層に受けそうな内容です。
また、文字ばかりの記事だけではなく、最新トレンドを意識したコーディネートを掲載する「SNAP」や「ヘアカタログ」といった写真コンテンツも充実しているのは魅力的ですね。
街角のクリエイティブ
広告キャンペーン、デザイン、プランニングなどを行う株式会社BASEの運営するウェブメディア。「世界のクリエイティブニュース」と題して、日本国内に限らず世界各地の街並みやショップなども紹介しています。
「広告用語で「鶴の恩返し」を読んでみた」( http://www.machikado-creative.jp/planning/2172/ )などで話題を集める一方、最近は就職活動生向けのハウツー記事もよく読まれているようです。
ライターにも若い世代が多く、世界を舞台に活躍しているクリエイターも数多くコンテンツを提供している模様。映画感想など参考になる情報も多いので、スキマ時間にざっと読むだけでも楽しめそうです。
灯台もと暮らし
灯台もと暮らし[もとくら]|これからの暮らしを考える情報ウェブメディア
「灯台もと暗し」をもじった名前が印象的。ネットに限らず、目まぐるしく変化する日常の中でふと立ち止まって、身近にある「暮らし」を見つめなおすことをコンセプトにしているメディアです。
昨今はある分野について網羅的に記した「まとめ記事」も多い中で、特定の街や人物、文具に商店など、ひとつひとつのモノ・コト・ヒトを丁寧に取り上げている記事が数多い様子。パッとサイトを見たときに、ナマの人間の表情が目に入るのは好印象ですね。
「営みを知る」「場に集う」「旬と遊ぶ」といったカテゴリーも一風変わっていますが、一箇所の街・地域に関して特集した「郷に入る」が雑誌的でおもしろい。これからコンテンツが増えていくことで彩りも鮮やかになっていくことが想像されるため、今後の展開が気になるメディアです。
まとめ
今回は4つのウェブメディアを取り上げさせていただきましたが、いずれも若い世代のフリーライターが参加し、活躍しているような印象を受けました。それも、もともと執筆や編集といった形の仕事に携わっていた人だけでなく、ブログやTwitterで有名になり、活動の場を広げているネットユーザーも多いように見受けられます。
一方で、それぞれのメディアがテーマとしているジャンルもさまざまで興味深いですね。特定のジャンル――それこそ「本」や「映画」といったものに絞らず、「おひとりさま」「モテる」「クリエイティブ」「暮らし」というように、特定ジャンルのコンテンツというよりは、独自の「コンセプト」を打ち出して何より大切にしているように感じました。
こういったコンセプトは、あるコンテンツのファン層をターゲットにしているというよりは、それぞれのメディアの価値観に「共感」してくれる読者を狙って運営されていると言えるのではないでしょうか。各メディアの方針や記事内容を見ても、大々的なバズを目的にするより、読んだ人の「共感」から固定読者を増やしていこうとしているように思えます。
基本的なポイントではありますが、これからウェブメディアで情報を発信していくのであれば、この「コンセプト」はより重きを置かれる勘所となってくることでしょう。大手メディアとの差別化という意味でも、固定読者を増やすという目的でも、運営者もライターも、そういった視点は不可欠になると想像されます。たいせつたいせつ。
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