インターネットを巡る旅

はてなー、ピッカー、ヤフコメ民、コマッチャ〜ネットを賑わす「コメント欄」

今や幅広い世代が利用しているインターネット。「ネット上での『コミュニケーション』の原点は?」と質問したら、返ってくる答えは人によって異なるんじゃないかと思います。

 

ある人は2ちゃんねる以前の電子掲示板かもしれないし、チャットが初めてだったという人もいるかもしれない。文通よろしくメールでのやり取りが日常だった人もいれば、昨今のSNSが最初の一歩だったという世代も珍しくはないでしょう。

 

特に最近は、TwitterやFacebookなど、自らのアカウントページを持って交流するSNSがメインであるというイメージもありますが、他方では各ウェブサービスに独自の「コメント欄」を設けているところもまだまだ主流です。

 

自己紹介ページのようなものはないけれど(あっても重要視されない)、ハンドルネームやIDによって互いを認識しているようなサービス。今回は、そんな「コメント」による交流が活発なウェブサービスをいくつか抜粋し、その性質と印象をまとめました。

 

はてなブックマーク【はてなー】

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株式会社はてなが運営するウェブサービス群を利用するユーザーのことを、一部では「はてなー」と呼んでいるそうです。はてなダイアリー、はてなブログなど多彩なサービスがありますが、ここでは中でもユーザー数の多い「はてなブックマーク」に絞る形で説明します(ブックマークユーザーのことは「ブクマカー」と呼ぶのが一般的?)。

 

はてなブックマークは、ウェブ上で自分のブックマークを他人と共有することができる「ソーシャルブックマーク」サービスの国内における代表格。単にウェブ上のページをブックマークするだけでなく、自分のコメントを残すことができ、他ユーザーのコメントを読むことも可能です。

 

その用途は人によってばらばらで、他ユーザーと関わることなくメモ代わりに利用している人もいれば、ブックマークページにコメントを残し、交流することを前提としている人も少なくありません。はてなブログ・ダイアリーを運営している人にとっては実質的な「コメント欄」として、ユーザー双方で日常的なやり取りをしている風景もよく見られるものです。

 

 

2013年のデータによれば、ユーザーの6割が男性。かつ30~40代が中心層となっており、古くからインターネットに親しんできた層が少なからず利用しているように見えます。実際、業種もエンジニアが3割を占めており、技術系のブログはよく読まれているようです。

 

そういった「ネットに慣れている人が多い(らしい)」という性質もあってか、はてなブックマークに付けられるコメントは他の匿名サービスと比較すると、わりかし“理性的である”と捉えられている印象があります。ただ罵倒したいだけの悪口や罵詈雑言は、あまり見られないのではないかと。

 

しかし一方で、既存のネットサービスとしては歴史が長いということもあり、独自の文化圏・文脈が築かれているという一面も。そのような雰囲気ゆえか、あるいは“揚げ足取り”とも思えるような殺伐としたやり取りがたびたび散見されるせいか、新規参入するにはハードルが高いサービスだと思われている面もあるのではないでしょうか。

 

NewsPicks【ピッカー】

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「ソーシャル経済ニュースメディア」として、サービス開始当初から一部ネットユーザーの間では話題となっていた「NewsPicks」。既存のページを“Pick”し、コメントを残すという点では先程のはてなブックマークと似ていますね。

 

NewsPicksの特徴は、それが「経済」に特化している点。各ウェブ経済誌を読むことができるだけでなく、NewsPicksを利用している業界の専門家や友人をフォローし、どんな話題にどのようなコメントを残しているかが確認できます。それによって、自分だけの“経済誌”を読むことができる、と。

 

NewsPicksは「経済」の話題に限定しており、しかも専門分野の肩書きを持つユーザーが各々のコメントをしているので、ひとつの話題に関していろいろな角度から考えることができるという利点があります。単なる賛否に留まらず、ユーザー同士で議論を交わすような場面もありますし。

 

ユーザー層としては若い年代のビジネスマン、もしくは最新情報に敏感な大学生などが多く利用しているようです。一人で新聞を読むのではなく、専門家も含めた多様性あるコメント群も一緒に読むことができるというのは、情報に貪欲な若者にとって魅力的に映るのではないでしょうか。

 

 

ところが、2015年初頭くらいから、全体的に「コメントの質が落ちた」という意見が挙がるようになってきました。Facebookと連携して本名で利用しているにも関わらず、平気で誹謗中傷のコメントをしている人がいたり、意味のない“ツッコミ”が目立つようになってきた、と。

 

とは言え、それもユーザー側の使い方次第。フォローする人、しない人のバランスを考慮することで、ある程度は対応できる部分なのではないかと思います。はてなブックマークもそうですが、その辺の調整は悩みどころだけれど、「慣れ」でもあるのではないでしょうか。

 

Yahoo! ニュース【ヤフコメ民】

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おなじみのポータルサイト「Yahoo! Japan」内のニュース配信ページ、「Yahoo! ニュース」で日常的にコメントを残している人を、一部では「ヤフコメ民」と呼んでいるようです。2013年まで運営されていた、「Yahoo! 掲示板」のユーザーも同様に呼ばれていました。

 

いずれのサービスも等しく「Yahoo!」内のものであることから、その利用者層・論調はほぼ同じであると言われています。この点について、ニコニコ大百科では次のように指定されています。

 

日本最大のウェブサービスにおける掲示板であるが、全体的な風潮としては、いずれも政治的な誹謗中傷や陰謀論、差別的な発言、あるいは単なる罵詈が野放しになってしまっている。「Yahoo!」という初心者向けの牧歌的なイメージに反して、2ちゃんねるの負の面を濃縮して、ネット初心者の低いリテラシーを追加したとも言われる殺伐として荒んだ掲示板であるのが現状である。

Yahoo!掲示板とは (ヤフーケイジバンとは) [単語記事] – ニコニコ大百科

 

 

先日、上記スタッフブログで説明された内容によれば、投稿者は男性が80%以上を占める現状にあり、30~50歳の男性が50%以上。コメント機能に関しては、“特に40代が突出して高い傾向”にあるという話でした。

 

さらに、24時間体制でのパトロールによる悪質なユーザーのアカウント停止、ガイドライン違反の投稿を自動検出し削除するなどの対応もこれまでしてきたとのことですが、それでも捌ききれていないという現状がある、と。

 

「2ちゃんねるよりも酷い」と評されることもあるヤフコメですが、国内最大のポータルサイトとして、多くの人の目に入るホームページでもあります。せっかく有益な情報が共有されている場所なのだから、意義あるコメントと交流が行われる場になってほしいですね。

 

発言小町【コマッチャ】

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読売新聞社が運営するニュースサイト内にある女性向け情報サイト、「大手小町」に併設された投稿コーナー。1999年にスタートし、電子掲示板形式の基本構造は変わらず、現在に至るまで国内最大の「女性の悩み相談」サイトとして存在感を発揮しています。

 

ユーザーは95%ほどが女性。メインユーザーは主に30代から40代、50代で、ユーザー全体は10代から70代までと幅広い。

読売新聞の神崎氏が「発言小町」運営の苦労や裏話を語る

 

少し前のデータになりますが、やはり利用者層の大多数は女性となっている様子。そんな彼女らのことは、「コマッチャ」と呼ぶのが一般的になっているそうです。……ですが、実際のところはどうなんでしょうね……?

 

また、一応は「ニュースサイト」「Q&Aサイト」というジャンルで運営されている発言小町ではありますが、嘘の話題を投稿して注目を集めようとする「釣り師」が多いサービスである、とまことしやかに語られているのも有名な話。

 

読者を「怒らせたい」「楽しませたい」「注目を集めたい」などその動機はさまざまですが、それが釣り投稿であるかどうかを見極めるのはそう簡単ではありません。さらに、他ユーザーからのコメントも本気で言っているのかどうかわからないため、発言小町をよく知らない人からは「なんか怖いところ」と認識されている一面もあるようです。

 

発言小町の大きな特徴としては、すべての投稿についてサイト運営者側が検閲・編集している点。投稿はリアルタイムで反映されず、問題があると判断された単語や表現は編集側によって削除された形で投稿されるため、そこに独特の文脈が生まれやすい――ということらしいです。

 

 

ほかには、こちらのトピックなんかはそこそこ有名なものなのではないかと。「引きこもりの兄が部屋から出てこない、働いてほしい」という内容でトピックが立てられ、それに対して「甘えるな」という叱責を主とした莫大な数のレスがついています。

 

……が、こちらは知っている人が読めばピンとくる「釣り」であり、フランツ・カフカの『変身』を元ネタに物語を展開させていることがわかります。

 

中にはそれに気づいたかのようなレスを投稿している人もおり、あえて釣られにいっている人、そうとは気づかず本当に怒っている(ように見える)人など、ひとつのトピック内でさまざまな感情が渦巻いている様子。こういった「釣り」を含めた文脈を読み取るのが好きな人は、「コマッチャ」としてこのサイトを存分に楽しむことができるのではないでしょうか。

 

まとめ

以上、4つのサイトとそのユーザーの特色をざっくりとご紹介しましたが、それも実際のところは、私個人の印象論でしかありません。

 

いずれも数多くの利用者を抱える以上、「ユーザー層の多くはこういう人たちだ!」と一概に断言することはできませんし、そのコメントの性質も各々の記事によって異なることがあります。

 

加えて、「コメント欄」の使い方も人それぞれ。あえてネタに走ったり、“釣り糸を垂れる”ような人がいる一方で、交流せず独り言を残している人がいたり、感情的にツッコんでいる人がいたり、意図的に“釣られている”ような人も少なからず存在します。

 

結局、それぞれのサービスにどのような人がいて、どのような楽しみ方ができるのかは自分で使ってみないとわからないのではないかと。個人的にはどれも魅力的なサイトだと思っていますし、読み比べることで見えてくる特徴もまだまだあるはず。良かったら、実際に使ってみてください。

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けいろー

フリーライター。ネットカルチャーと共に育ってきたゆとり世代。執筆実績として『HATSUNE MIKU EXPO 2016 Japan Tour』公式パンフレット等。

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